ObectSquare

[奇妙なクラスと実世界]


2.銀行アプリケーションの事例

2.4 両替商モデルから大銀行モデルへ


先ほどの明治時代の銀行モデルには、銀行に勤務する職員として「銀行員」だけが登場していました。私は経済史の専門家ではないので詳しいことは知りませんが、はじめてこの世の中に銀行が登場した時点ではおそらくそうだったのではないでしょうか。もっともそれは明治よりも以前の、江戸時代の両替商の話かも知れませんが。

もし現代でも銀行には「銀行員」という一種類の役割を持つ人しかおらず、その人がすべての業務を担当しているとしたらどうでしょう?
今日の銀行業務は非常に複雑なものです。伝票の書き方やお金の数え方といった基本的な事務処理手続きから始まって、多種多様な預金商品や融資商品の知識が必要で、おまけにビッグバンの時代ですから国際業務の知識も必要とあっては、一人ですべての銀行業務をマスターするのは物理的に不可能でしょう。

これに対応するためにどうすればよいのでしょうか?
そうです、それは「役割を分担すること」です。
これも銀行に限らない話ですが、会社には、営業部門、研究部門、製品開発部門、顧客サービス部門、経理部門のようにそれぞれ異なる役割を持つ組織があり、各々の組織は独自の使命を持っています。実際には「xx営業部」「xx開発課」といったさらに細かい組織に分割されているでしょう。
先ほどの銀行の例でも、現実には「支店長」「窓口係」「渉外係」などのように、各々異なる役割の人が協調しながら全体としてひとつの仕事を行っているはずです。


© 1999 OGIS-RI Co., Ltd.

Prev.

Index

Next