ObectSquare

[奇妙なクラスと実世界]


3.まとめ

3.1 オブジェクト指向モデルは組織化された超分散協調社会


オブジェクト指向が描くモデルは、「組織化された超分散協調社会」です。
これは、私たちが複雑な仕事を単純化するときに行う「役割分担」の考え方をより発展させたものです。
イメージとしては、現在の人間よりももっと能力の少ないコビトが、コンピュータの中で連絡を取り合いながら整然と働く世界です。

分析段階では、実世界に存在する実体や概念に着目してオブジェクトを導出します。
しかし通常、このようなオブジェクトに定義される振る舞いは、対応する実体や概念自身のものではなく、その「実体や概念を担当する」コビトの振る舞いなのです。

設計・実装段階では、この役割分担がさらに押し進められ、コビトの仕事は細分化されていきます。
この段階では、分析段階で導出されたコビトに加えて、ユーザー・インタフェースを担当するコビト、データベースを担当するコビト、ある種の計算だけを実行するコビト、あるいは自分では直接何もせずただ複数のコビトに対して特定の順番で仕事の実行を指示するボス・コビトなどが登場してきます。
そして最終的にシステムは、これらの小さな役割を持った個々のコビトがそれぞれの仕事を遂行し、それらが連携することで、全体として大きな仕事が達成されるようになるのです。

オブジェクト指向が目指すモデルはこんな世界なのです。


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