用語集の概要
by Scott
W. Ambler, Copyright 2003
用語集とは、用語の定義を集めたものです。会社ごとに社内に特有のことばがあり、それを理解できなければ、一緒に仕事をする専門家と効率的にコミュニケーションすることはできません。
用語集には、技術上の用語とビジネス上の用語の両方を含めるとよいでしょう。開発者はXPや、C#、J2EE、アプリケーションサーバといったことばの意味をすべて理解しているかもしれませんが、システムの利害関係者はおそらく理解していないでしょう。同じように、利害関係者は評議会や、助成金、成績証明書といったビジネス上の用語の意味を理解しているかもしれませんが、開発者の中には理解していない人もいるでしょう。関連する技術上、ビジネス上の用語を両方含んだ用語集を作成することで、開発者とユーザの間のコミュニケーションは大きく向上します。互いの使うことばを理解できなければ、効率的にコミュニケーションを行うことはできません。
「既にある資源を再利用しよう」というAMのプラクティスを思い出してください。組織ですでに用語集が作られているかもしれません。その場合にはそこから適切な用語を再利用してください。共通の用語について記述した特殊な辞書を業界で作っている場合もありますから、それも取り入れるとよいでしょう。
用語集の作成について1つアドバイスをするとしたら、現実的になるべきだということです。Websterではないのですから、完璧な定義をする必要はありません。何とか役に立てばよいのです。また、辞書のほとんどの単語には複数の定義が載っています。気にしないで同じようにしてください。理想を言えば定義は1つにするべきでしょう。しかし現実的に考えると、とことん議論するだけの価値がないことも多いですし、そもそも合意に至らないことさえあるのです。
用語集に関して重要なのは(むしろあらゆる成果物に関して重要なのですが)、人が見られるようにすることです。AMに「モデルを公開しよう」のプラクティスが含まれているのはそのためです。用語集は誰もがアクセスできる1つのHTMLページとして作成し、できれば誰もが編集できるようにするとよいでしょう(「共同所有」のプラクティスを思い出してください)。もう1つの選択肢として、特に重要な事柄について編集する場合には、Wikiを使うことも検討してください。
注: この成果物の説明は『The Object Primer 3rd Edition: Agile Modeling Driven Development with UML 2』より抜粋しました。本ではより詳しく説明しています。
アジャイルモデリング(AM)について詳しく知るにはこの本をお薦めします。
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