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オージス総研の本[10日でおぼえるデータモデリング入門教室]





10日でおぼえるデータモデリング入門教室

10日でおぼえるデータモデリング入門教室

(株)オージス総研
筒井彰彦




2003年11月に「10日でおぼえるデータモデリング入門教室」(翔泳社刊)という書籍を出版しました。そこで、本記事では、「10日でおぼえるデータモデリング入門教室」についてご紹介します。

巻頭ページからの抜粋

昨今、JavaやC++などの普及に伴い、オブジェクト指向手法によるシステム開発が一般的になってきました。また、UML(Unified Modeling Language)という表記法に対する関心が、図の記述方法から、図を使いこなす方法に移行しています。UMLは、オブジェクト指向手法の考え方を取り入れた表記法です。オブジェクト指向手法を使う際に"基本"とする表記法は、事実上、UML以外には存在しません。

このように、システムを開発する人は、オブジェクト指向手法やUMLを無視できなくなってきました。今後、データ中心手法だけでシステムを開発するケースは、減ると思います。

しかし、データ中心手法で使われてきたER図は、オブジェクト指向手法によるシステム開発でも必要です。なぜなら、リレーショナルデータモデルをソフトウェアとして実現したRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)が、依然として新規のシステムで使われているからです。

ところが、オブジェクト指向手法のコミュニティでは、ER図やデータモデリングが取り上げられることは、あまりありません。その理由として、データモデリングがシステム開発の一部にすぎないという点、および、データモデリングに関する手法がすでに確立している点が挙げられるでしょう。

そこで、本書「10日でおぼえるデータモデリング入門教室」では、書名のとおり、あえてデータモデリングに焦点を当てました。なぜなら、たとえデータモデリングがシステム開発の一部であったとしても、データモデリングを知ることは、システム開発者にとって必須であると考えるからです。

ただし、データベース関係の書籍は多数あります。数ある類書と比較した場合、本書は以下の特長を持っていると思います。

ここで、読者に伝えたいことがあります。本書では、表記法(IDEF1X)、データモデリングツール(ERwin)、RDBMS(Firebird)の使用方法を学びますが、これらはツールであり、手段にすぎないことに注意してください。読者には、「データモデリングを行うには、これらの手段で何のために何をするのか」について習得していただきたいと思います。データモデリングの目的が、データモデリングで行う作業内容よりも重要であり、データモデリングで行う作業内容が、ツールの使い方よりも重要です。なぜなら、表記法にせよ、データモデリングツールにせよ、RDBMSにせよ、本書で採用したツールを実プロジェクトで使うとはかぎらないからです。

補足

この場を借りて、本書について何点か補足したいと思います。具体的には、「データモデリングツール」「RDBMS」「クラスとテーブル」について補足します。

データモデリングツール

本書では、データモデリングツールについては、シェアの高いERwinを選びました。フリーのデータモデリングツールを掲載できたらよかったのですが、なかなかよいものがありませんでした。

ただし、安いデータモデリングツールなら、いくつかあります。例えば、以下のようなデータモデリングツールが挙げられます。

日本語の文字化けなどの問題が発生するかもしれませんが、一度、DeZignやCASE Studioも試用するとよいかもしれません。

RDBMS

本書では、RDBMSとしてFirebirdを使っています。ここでは、Firebirdを初め、いくつか無料で使えるRDBMSを列挙します。

Firebirdでは、CREATE VIEW文を使えたり、副問合せ(サブクエリー)を実行できたりします。また、UDF(User Defined Function)という機能で、利用者が独自に関数を作成できます。このような点で、Firebirdの機能は豊富です。

このようなFirebirdに対して、PostgreSQLやMySQLについては、書籍やWebページ等での情報が豊富です。利用実績や、管理ツールの充実、性能などの観点で、Firebird、PostgreSQL、MySQLをいろいろと比較すると面白いかもしれません。

クラスとテーブル

本書では、(オブジェクト指向手法でいう)クラスとテーブルの対応づけについては、テーマからそれるので説明していません。しかし、クラスとテーブルの対応方法については、パターン化して、各パターンの長所と短所、適用箇所を整理しておくと便利です。この点については、機会があれば言及したいと考えています。

参考


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