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[オージス総研の本]


事例で学ぶ
オブジェクトデータベース活用技法

原題:Object Database in Practice
Akmal B. Chaudhri, Mary Loomis著 松本一夫, 藤原淳一監訳
株式会社プレンティスホール出版 3,990円(税抜き3,800円)

『監訳者まえがき』より 『監訳者まえがき』より
『目次』より 『目次』より

REFERENCE

書籍紹介 書籍紹介:自我自賛的お気楽書評

『監訳者まえがき』より

オブジェクト指向データベース(ODBMS)が市場に登場し始めたのは1990年前後のことでした。それからおよそ10年が経ち、市場における過当な競争も落ち着きを見せています。現在入手できるODBMS製品は、皆競争に勝ちぬくだけの品質と性能を備えたものであると言えるでしょう。しかし、そのような製品の進化とは対照的に、それらをどうやって自らの環境で活用すればよいのかについては、適当な指針がなかったというのが現状でした。

初期の適用分野であったCADシステムなどでは、比較的素直にODBMSを使用することができたため、特別な指針は必要ありませんでした。しかし、企業の基幹システムや大規模な分散システムにおいて、特に既存のシステムと組み合わせて使うような場合には、それ相応の工夫が必要となります。それは、実際にはODBMS固有の問題という単純なものではなく、既存のレガシーシステムとオブジェクト指向システムを組み合わせる際の一般的な問題を含むものでもあります。データベースという、システムの基盤とも言える部分に、どのようにオブジェクト指向技術を適用すれば良いのか? ホストコンピュータなどで既存のデータベースやシステムが稼動している場合に、どうやって新しいODBMSを統合し、移行すればよいのか? 本書は、そういった疑問に答え、様々なアイデアを提示してくれます。

本書で紹介されている事例は、基幹システムや分散システム、超大規模データベースシステムなど、従来のリレーショナルDBMSでも難しいとされていた分野にODBMSを適用したものです。いずれも長期間にわたる開発や利用の経験に基づく内容のため、各ODBMS製品の最新ではないバージョンを使用したものもあります。それでも、どのような問題をどういう点に着目して解決したのかは、これからODBMSを使用される方にとって大変参考になることと思います。各ODBMS製品ともに問題点の改善や機能の追加がなされているはずですから、最新の機能や仕様について、それぞれのベンダや代理店に確認されることをお勧めします。

参考までに、それぞれのODBMS製品が、何章で取り上げられているかの一覧を記しておきます。

製品名 章番号
GemStone 14, 16
O2 5
Objectivity/DB 7, 8, 10, 11, 12, 14, 18
ObjectStore 4, 14, 15, 17
VERSANT 6, 9, 12, 13

ここで、本書の編者であるAkmal Chaudhri、Mary Loomisの両氏について、簡単に紹介しておきます。

Akmal Chaudhri

Chaudhri氏は、ロンドンのThe City Universityでオブジェクトデータベースのパフォーマンスに関する研究に従事されています。ネットニュースcomp.databases.objectでも頻繁に発言されていますし、各種カンファレンスでのチュートリアルやOOPSLAでのワークグループの主催など、多岐にわたって活躍されています。

Mary Loomis

アリゾナ大学のMISの教授、Hewlett-Packard社のR&Dマネージャを経て、Versant Object Technology社の技術副社長を務め、1993年からHewlett-Packard社のソフトウェアテクノロジーラボのダイレクタの任にあります。技術雑誌においてODBMSに関するコラムも担当されています。著書に、OBJECT DATABASES: The Essentials(邦訳『オブジェクトデータベースのエッセンス』 トッパン)などがあります。

両氏ともにODBMSの世界では有名人であり、どのベンダにも属さない中立な立場で、この成功事例集を編集されました。これだけの事例を集められた、両氏の努力に敬意を表したいと思います。

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『目次』より

第1部 システムアーキテクチャ
第1章 オブジェクト指向データ統合
第2章 オブジェクトデータベースへのアクセスレイヤ
第3章 EndGame設計手法の使用
第4章 アクティブデータベースを使用したプッシュベース情報システムの構築
第2部 アプリケーションおよび設計
第5章 フライトシュミレータデータベース:オブジェクト指向設計と実装
第6章 生医学研究のためのオブジェクト指向画像データベース
第7章 オブジェクト指向ソフトウェアエンジニアリングフローフレームワーク
第8章 構成管理アプリケーションにおけるオブジェクト指向データベースの使用
第9章 MISアプリケーションにおけるオブジェクト指向データベースの使用
第10章 マルチペタバイトデータベースの構築
第11章 オブジェクト指向データベースに対する天文学者の見解
第3部 オブジェクトデータベースの選択および移行
第12章 OODBMS技術の獲得
第13章 戦場センサ環境のモデリング
第14章 資本市場におけるトランザクション処理
第15章 ObjectStoreデータベース管理システムへのオブジェクト指向ベクトルプロダクトフォーマットの移行方法と視察
第3部 パフォーマンス
第16章 OODBアプリケーションのパフォーマンスチューニングとツール
第17章 OODB金融アプリケーションのパフォーマンス評価と最適化
第18章 Objectivity/DBに関する主観的考察
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