[オージス総研の本]
スコット・アンブラー著 (株)オージス総研 訳 翔泳社 刊 |
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本書は、最近話題になっているXPなどのアジャイル(機敏)なソフトウエア開発手法の考えをモデリングに応用することを提案するアジャイルモデリング(以降AMと略)という方法論に関する書籍です。 AMは、Software Development誌で連載を行うなど北米で著名なコンサルタントであるScott Ambler氏が提案する方法論であり、効果的にモデリングを行ったり、ドキュメント化を行うために心がけるべき価値、原則、プラクティスを提案するものです。 本書では、AMの価値、原則、プラクティスの意味するところを解説するとともに、AMの実践に有効なモデリングの作業場所やツールなどの実践上のヒントを提供します。また、XPや統一プロセス(UP)において各々AMがどのように実践できるかという具体的な例を提供します。 本書では、モデリングの心得や実践上のヒントを説明するためにUMLを中心として様々なモデリング手法で作り出されたモデル例が示されています。しかし、それらの個別のモデリング手法の記法やモデリング順序の解説はされていません。従って、本書を読むためにはUMLなどモデリング手法の初歩的な知識が前提となります。 また、本書の第3部、第4部ではXPやUP自身の説明はほとんどなされてないため、ある程度の前提知識がないと分かりにくい部分があります。XPやUPについての説明を理解するためには、ケント・ベックの本やフィリップ・クルーシュテンの本を併せて読まれることをお勧めします。
本書は、以下のような方々にお勧めです。 ・UMLなどのモデリング手法を既に実践している人-今までのモデリングのやり方を身軽にするヒントを本書は提供するでしょう。また、本書はUMLを同僚に広めるために参考になるでしょう。 ・UMLなどのモデリング手法を勉強したけど実践できない人-本書はUMLその他のモデリング手法を安全に取り入れ、実践するためのアドバイスを提供するでしょう。 ・XPにモデリングをどのように実践したら良いか悩んでいる人-本書はXPのアジャイルさを損なうことなく、様々なモデリング手法でXPを強化するためのアドバイスを提供します。 ・UPをもっとアジャイルにできないか悩んでいる人-本書は、UPのドキュメントを減らし身軽にしたり、アジャイルに作業を進めるためのアドバイスを提供します。 なお、本書の著者であるScott AmblerさんがAM公式サイトを開設しており、そちらのサイトには本書に記されてない新しいコンテンツも掲載されています。この公式サイトを翻訳したAM日本語サイトも、日本語訳の出版を契機に原則やプラクティスの訳語を統一するとともに、AM日本語リソースサイトとして新たなURLに移転しました。今後、AM日本語リソースサイトの翻訳コンテンツも順次追加する予定ですので、ぜひご覧になってください。 |
■内容本書は、5部から構成されています。 第1部では、AMの概要をまず説明し、さらにAMの価値、原則、プラクティスの意味を説明し、最後にこれらのプラクティスが互いを補なうものであり、組み合わせることで期待される相乗作用について説明しています。 第2部では、アジャイルモデリングを効果的に実践するための文化、道具、作業場所などに関するアドバイスを提供するとともに、AMから見たUMLの位置づけについて説明しています。 第3部では、モデリングを行わないと一般に思われているXPにおいてもUMLなどと異なる形のモデリング手法が使われており、XPのアジャイルさを損なわない形でさらにいくつかのモデリング手法を取り込めるということを例に即して解説しています。 第4部では、様々なドキュメントテンプレートが提供されており、とかくドキュメント駆動型になりがちなUPをより文書量が少なく、身軽にする方法を例に即して解説しています。 第5部では、AMを取り入れる際に直面する様々な問題やその克服方法について解説しています。 |
■目次
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■参照
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