[技術書籍紹介]
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ジム・ハイスミス 著 ウルシステムズ 監訳 山岸耕二/中山幹之/原幹/越智典子 訳
翔泳社刊 |
オージス総研 オブジェクトテクノロジー・ソリューション部
坂坂屋の赤坂英彦
Akasaka_Hidehiko@ogis-ri.co.jp
■はじめに
はじめにお断りしておきますが、この記事はあくまで私が"個人的に"気に入ってお勧めする本の紹介です。 |
■ 適応型ソフトウェア開発のあらましこの本、適応型ソフトウェア開発のあらましについて以下の順に紹介していきます。
□ 訳者まえがきよりいきなりですが「訳者まえがき」より引用させていただきます。この本の特徴がうまく表現されています。
□ 特徴(複雑適応系をソフトウェア開発に適応)本書は、最近はやりの機敏さと人(開発者)を重視したアジャイル一派でありながら、 複雑適応系理論をソフトウェア開発に適応した、おそらく唯一の理詰めなプロジェクト管理の本です。 複雑適応系理論にちなんで、名前も「適応型ソフトウェア開発」、かっこ良いですね(笑)。 不確定なビジネス環境において生き残るには、変化とスピードが求められており、 これを実現するための著者James Highsmith氏の答えが、適応型ソフトウェア開発です。
従来のかっちり決まった手順(ワークフロー)と役割(ワーカー)によって
機械的、非属人的な開発を目指すものではなく、プロジェクトチームを生きている有機体とみなし、
開発手法は官僚的でも場当たり的でもない新たなモデルとして、
強制的秩序ではなく創発的秩序から「創発」を生み出すものです。 変化とスピードが求められる極限の状況では、より良い結果を求めるエージェントの知的相互作用は、以下の式で表現されます。
これらの考え方は、従来のアメとムチのプロジェクト管理とは異なり、極限に挑むソフトウェアプロジェクトをマネジメントするための優れたモデルになるそうです。
□ メタファーは登山
この本は極限状態のプロジェクトに挑戦するためのプロジェクト管理本です。
この本では、この厳しいソフトウェア開発プロジェクトの比喩として、
エベレストなどの登頂などが表現されています。 □ 対象となる読者(以下の方にお勧め)本書では、対象読者として
現在の変化の激しい世の中では、ビジネスニーズ(要求)も激しく変化します。これを常態と考えてプロジェクトを計画、管理、運営できなければ、スピードが求められる、リスクの高いプロジェクトを常に成功させ続けることは到底できないでしょう。 |
■目次と内容
本書のだいたいの構成は以下のような感じです。 第1部
第1部は適応型ソフトウェア開発の「概念モデル」です。
第2部
第2部は、適応型ソフトウェア開発の「開発モデル」です。
第3部
第3部は、適応型ソフトウェア開発の「マネジメントモデル」(リーダーシップ - コラボレーションモデル)です。
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■ おすすめポイント
この本を読んでの、私のおすすめポイントを紹介します。
□ プロジェクトが成功したかどうかのチェックポイント
1.は前提条件、2.は当たり前ですが、きちんとできているかどうかは怪しいと思います。 要件としてスケジュールとリソース消費を無視してスコープだけを満たして 成功と呼ぶプロジェクトなんてざらにありそうだし、 欠陥レベルをきちんと予測しているところは少ないでしょう。 この3つのチェックポイントでは、プロジェクト終了時点でチームが 健康だということを成功の条件に挙げていることが何より素晴らしいと思います(3.)。 特に新しいアイディアではないと思いますが、これをプロジェクトの事後評価で チェックしている会社は多くないだろうと思います。 特に凄腕マネージャの成功体験の中には、開発メンバーが疲労困憊ながらなんとか 完成に至ったプロジェクトも結構ありそうな気がします(その後のプロジェクトのメンバーは如何に…)。 また、この本の中ではこんな比喩も紹介されています。
□ プロジェクトに厳密さを適用するための8つの指針適応型開発プロジェクト私の解釈の範囲での説明になりますので、勘違いなど含まれているかもしれません。ではカオスの縁で均衡を保ち、創発を起こして望む結果を得るために、 マネジメントの指針を提供してくれています。その中で、特に重要と思える以下の指針を紹介します。
すみません。紙面の都合により、私のおすすめポイントの紹介はここで終了とします。
興味が湧いてきた、あるいは、もっときちんと説明してほしいと思った方は、
立ち読みコーナー(リファレンスを参照してね)からホンモノ(の一部)を読んでみて下さい。
きっと、そのまま購入したくなってくること請け合いです(笑)。 山岸さん曰く、
最後に、この本は、新しく難しい何かに挑戦したい全てのあなた (管理者、開発者、ソフトウェア開発に関わらず、全ての挑戦者)に きっと響いてくるものがあると思います。それでは、Chao !! |
■ リファレンス
上記で始まるスレッドなどを参照してみて下さい。
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