ObjectSquare [2004 年 12 月号]

[技術書籍紹介]


表紙カバー

「ラショナル統一プロセス入門(第 3 版)」

フィリップ・クルーシュテン著
藤井 拓 監訳
アスキー 4,515 円(税抜き 4,300 円)
ISBN4-7561-4554-X

bullet 目次
bullet 内容紹介

目次

第 I 部 プロセス

第 1 章:ソフトウェア開発の最善の実践原則
第 2 章:ラショナル統一プロセス
第 3 章:静的な構造:プロセスの表現
第 4 章:動的な構造:反復型開発
第 5 章:アーキテクチャ中心のプロセス
第 6 章:ユースケース駆動プロセス

第 II 部 プロセスの作業分野

第 7 章:プロジェクト管理作業分野
第 8 章:ビジネスモデリング作業分野
第 9 章:要求作業分野
第 10 章:分析/設計作業分野
第 11 章:実装作業分野
第 12 章:テスト作業分野
第 13 章:構成及び変更管理作業分野
第 14 章:環境作業分野
第 15 章:導入作業分野
第 16 章:典型的な反復計画
第 17 章:ラショナル統一プロセスの実装
付録 a :役割のまとめ
付録 b :成果物のまとめ
付録 c :頭字語集

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内容紹介

 本書が概説しているラショナル統一プロセス(略して RUP )とは、UML の原案の提案者である Jacobson らが参考文献 [1] で提案した統一プロセス (Unified Process) を具体化したプロセスフレームワークです。プロセスフレームワークとは、プロジェクトや開発組織の事情に合わせて自分自身のプロセスを仕立てる (tailor) ための素材集のようなものです。統一プロセスは、UML を活用するのためプロセスフレームワークであり、以下の 3 つの特徴を備えています。

 RUP は、このような統一プロセスの 3 つの特徴を備えるとともに、開発作業の詳細内容、成果物のテンプレート、各種ガイドライン、作業を支援する開発ツールの使用方法を含む膨大な知識ベースとして製品化されたものです。2001 年 3 月に本書第 2 版の邦訳が発行されて以降、RUP 製品版の日本語化がなされ、日本でも RUP への関心が高まってきています。本書第 3 版は、日本語版も提供されている RUP2003 の用語やワークフローにおいて整合するように改訂されている点が大きなセールスポイントになります。

 本書をご活用して頂く代表的な読者は以下の 3 種類の読者だと思います。

  1. RUP の製品版を開発組織の状況に合うように仕立て、適用しようとする場合
  2. RUP の製品版は導入せず、RUP の基本概念を参考にして独自の統一プロセスのインスタンスを定義する場合
  3. 開発者、プロジェクト管理者あるいは大学の専門課程の学生が RUP や反復型開発プロセスの基礎概念を修得する場合

 本書は 2 部構成になっており、第 I 部ではソフトウェア開発上の諸問題とそれらを解決するための実践原則(プラクティス)が提案され、さらに RUP を構成する以下の 5 つの要素が説明されています。

ついで、統一プロセス及び RUP の 3 つの特徴について解説しています。第 II 部では、RUP で定義されている開発作業のワークフローが開発作業の種類毎に概説されるとともに、それらの開発作業が開発の進行とともにどのように実践されるかという具体的なイメージが説明されています。最後に、RUP を開発組織やプロジェクトに導入するステップが説明されています。

 RUP の適用を成功させるためのポイントとして、私自身が最も大事だと思うのは「RUP の本質的な概念を理解する」ことだと思います。その点で、本書第 I 部、特に第 4 章「反復型開発」を理解することが大事だと思います。また、最近脚光を浴びているアジャイル開発を実践するうえでも第 4 章「反復型開発」が参考になると思います。一方、第 II 部以降は、RUP を仕立てる際の作業や成果物の取捨選択やワークフローの定義の参考になると思います。

 本書に少し先行してRUP関係の書籍である参考文献 [2][3] が刊行されました。[2] は RUP のマーケティング責任者である Per Kroll さんと 開発責任者だった Philippe Kruchten さんが執筆した RUP の導入に関するガイドであり、[3] は J2EE をターゲットとした RUP の実践方法をより詳しく解説した書籍です。本書とともに、RUP の導入や実践に非常に参考になると思います。

 第 2 版までの読者の参考のために、第 3 版において変更された重要な用語を以下に記します。

 これらの用語に加えて、章タイトルに使われている作業分野(discipline)という用語が新たに導入されています。作業分野は、ある分野の役割、作業、成果物、ワークフローをまとめて指す用語です。

 また、内容の面ではテスト作業分野及び導入作業分野の内容が大幅に改訂されています。特にテスト作業分野の役割、作業、成果物は大幅に変更されています。さらに、従来作業種別毎に細分化されていた「××レビュー担当者」が「管理レビュー担当者」と「テクニカルレビュー担当者」に集約されています。

参考文献

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