[レポート]
モンタビスタ ソフトウエア ジャパン(株)
技術本部 本部長
木内 志朗 氏
Linuxの組込み機器への適用の流れ
- 組込みLinuxの情報収集
- 組込みLinux実装方法の検討およびH/W設計
- 開発環境の整備
- カーネルの移植
- デバイスドライバの開発
- ユーザランドの整備
- アプリケーション開発
- ROM/Flash化
- テスト、評価
- GPL/LGPL準備
応用製品向け組込みLinux
特定分野向けに拡張された組込みLinuxとして下記のものを挙げられ、それぞれの拡張機能について紹介されました。
- キャリア向け
Carrier Grade Linux(https://www.osdl.jp)- コンスーマ向け
MontaVista Consumer Electronics Editionコンスーマ機器におけるキーテクノロジー
上記のうち、コンスーマ機器向けのLinuxには、次のような機能が拡張されているそうです。
- DPM(Dynamic Power Management)・・・省電力のために動的にCPUクロック/電圧を変更する
- メモリーフットプリント・・・カーネルおよびファイルシステムのコンフィグレーション、不必要な共有ライブラリのオブジェクトを削除
- Fast Boot・・・Linuxのブート時間の短縮(XIP等により実現)
- XIP(eXecute In Place)・・・アプリケーションおよびカーネルをROM/Flashから直接起動させることにより、RAM上への解凍/コピー時間を短縮
松下電器産業(株)
技監 コアソフト開発センター 所長
南方 郁夫 氏こちらでは、松下電器産業株式会社の南方 郁夫 氏が、 デジタル家電とそのシステム開発の動向と、『日経エレクトロニクス』2003年6月23日号(No.850)に特集「次世代Linuxは我らの手で - ソニーと松下が組んだ理由 -」が組まれたほど 話題になった「CE Linux Forum」(https://www.celinuxforum.org )の紹介をされました。
デジタル家電の動向
- '76〜 デジタル・コントロール家電(炊飯器、AV機器、アナログ携帯電話等)
- '85〜 デジタル・メディア家電(CD、カーナビ、DVDプレーヤ等)
- '93〜 デジタル・ネットワーク家電(PHS、i-mode携帯電話、DTV等)
このようなデジタル家電のネットワーク対応や、アプリケーションの規模の急速拡大により、 ソフトウェアの規模と開発コストが増大しているのですが、Linuxを共通のプラットフォームとして導入することにより、 共通のライブラリや共通の開発ツールを利用し、開発コスト・開発期間を削減できるのだそうです。
デジタル家電向けLinux(CE Linux)拡張機能
- リアルタイム性の向上
- メモリ消費量の改善
- 消費電力の改善
- 起動・終了の高速化
- 信頼性の向上
CE Linux Forumの活動
- デジタル家電が求める仕様を検討・定義し、公開
- フォーラム、コミュニティから仕様を満たす実装を収集し、公開
- デジタル家電でのCE Linuxの適用を促進
セミナーの最後に次のようなFAQを紹介されました。
Q. CE向けに別のLinuxを作るのか? A. 違う。現在のLinuxにCE機器に必要な機能を反映していくことが目的である。 Q. フォーラムでLinuxを開発するのか? A. フォーラムの活動は仕様検討が中心である。 Q. Linuxを誰が技術サポートするのか? A. 現在のLinuxと同じように、多くのLinuxベンダーが技術サポートすることを期待している。
CE Linuxの仕様書は、2004年初頭に公開される予定だそうです。
組込みシステムの規模の増大や開発期間の短縮に対する解決策として、 オブジェクト指向の導入とともに、プラットフォームの共通化が重要であることが認識できたセミナーでした。
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