【チュートリアル】 - 設計編

bn_haiti.gif (1084 バイト)

2. モデル・図の作成
2.7 配置図の作成
jun 今度は、ハードウェアにソフトウェアをどのように配置するかという観点から考えていこう。これを表したものが「配置図」なんだよ。
 
<<配置図 >>
◆配置図ってどんな図?
  • 実行時のシステム構成を管理するもの。
  • コンポーネントがどのノードに割り当てられるのかを示す。
◆配置図

 wd_haiti

ノード 

  • コンピュータ資源を表す実行時の物理オブジェクト。
  • ノードの性格を強調したい場合は、ステレオタイプを使うことができる。
  • ノード間に引く実線により、コミュニケーションが行えることを表す。たいていは、ハードウェアの直接の結合を意味する。

 

 

jun 配置図では、ノードとノード間の関係によって、システムの実行時に必要なオブジェクトの構成と、それらのコミュニケーションパスを表すんだよ。コミュニケーションパスというのは、チャネルやネットワークの種類やプロセス間通信などのことだよ。
chen では、OSや機種などのスピードやメモリ容量などについて考慮する必要がありますね。
jun そのとおり。配置図を作成するときには、レスポンスタイムやシステム・スループット、パフォーマンス、フォールトトレランスなどについても考慮するんだよ。また、マルチプロセッサのハードウェアや分散システムといった問題もシステム設計時に解決しておく必要があるんだ。

ill_20

chen ノードには、ステレオタイプを付けられるのですか?
jun うん、ノードやノード間の関係には、ステレオタイプを付けることができるよ。ノードのステレオタイプとしては、プロセッサ(<<processor>>:プログラムを実行できるもの)やデバイス(<<device>>:端末など)が一般的だよ。
chen 分かりました。ノード内では、どんなことを表すのですか?
jun ノード内には、実行時の計算リソースであるオブジェクトやコンポーネントの構成を表示することができるんだよ。そして、コンポーネント間に依存関係を引くことによって、クライアントとサーバの関係を明示することもできるんだ。配置図には、コンポーネントがどのノードに割り当てられるかを示す役割もあるからね。
chen Jun先輩、ノードは、実体として存在するものを表すのですね?
jun そうだよ。だから、配置図は、コンポーネント図を実体化したものだと思ってくれればいいよ。
chen 分かりました。
jun ではChen君、今回のシステムではどんな配置図が作成できるかな?

 

19_tit_4

 

 

図2.7 Chen君が作成した配置図

dep1

 

chen 「本社PC : サーバ」と「顧客係PC : クライアント」をそれぞれノードとして接続しました。「サーバ」のノード内では、「Order Management System(注文管理システム)」コンポーネントが、既存システムである「Stock Information Management System(在庫情報管理システム)」コンポーネントと「Customer Information Management System(顧客情報管理システム)」コンポーネントに依存した構成になっています。また、注文管理システムの実行により生成される情報を、データベースである「注文テーブル(Order)」と「配送テーブル(Delivery)」で管理するようにしているので、注文管理システムが依存している構成になると思いました。
jun うん、よくできたね。「Order」と「Delivery」については、<<database>>というステレオタイプでまとめたんだね。
chen はい、そうです。
jun 配置図ではこのように、ノードにコンポーネントを割り当てることができることが分かったかな?またこのとき、コンポーネントには、プロセスやスレッドが割り付けられるんだ。プロセスやスレッドは、アクティブなオブジェクトとして、コンポーネントの中に記述すればいいよ。
chen 分かりました。
 

bn_note_hai.gif (1193 バイト)

 

jun 設計段階はひとまずここまでだよ。オブジェクト指向による設計の進め方が分かったかな?

 

Prev. Next Home Top