アナパタ勉強会に参加して

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  アナパタ勉強会に参加して


株式会社デュオシステムズ 梅田 明由




■アナパタ勉強会って?

オージス総研のメーリングリストでも時々みかける「アナパタ勉強会」って何のことでしょうか?ほとんどの方はご存知と思いますが、これは名著であるが難解ということで有名な、マーチン・ファウラー著の「アナリシスパターン」という書籍を、みんなで勉強しましょうという、自由参加の勉強会のことです。2000年7月に第一回目の勉強会が開催されてから、月1回程度のペースで継続して実施され、すでに1年半近くが経過しています。2001年11月現在でほぼ10章までが終了しており、まもなく第一部11章までの勉強会は終了となる予定です。そこで、何度か勉強会に参加した者として、アナリシスパターンについての思い出や勉強会の感想などを簡単に述べてみたいと思います。なお、アナリシスパターンがどんなものかを知りたい方は、以下を参照してください。




■アナリシスパターンとの出会い

私が始めてアナリシスパターンを知ったのは、日本語版が出版された1998年のことでした。当時オブジェクト指向に興味を持っていろいろ書籍を物色していましたが、初めて手にしたときにOdellノーテーションを見て「なんだこりゃ?」と思ったのを覚えています。デザインパターンに似たタイトルに引かれてしばらく立ち読みをしてみましたが、立ち読み程度でその奥深さが理解できるはずもなく、「俺とは違う世界の本だな」と勝手に結論付けてしまいました。
その後、私自身しばらくはアナリシスパターンという名前にも触れることはなかったのですが、オージス総研のMLで勉強会を開催することを知りました。勉強会が始まった経緯などは、以下に詳しく述べられていますので是非ご覧下さい。




■アナパタ勉強会への参加を決意

勉強会がスタートした当初、勤務地が遠かったことと業務が繁忙期に入ったことでなかなか参加する機会がありませんでしたが、ようやく業務に一区切りがついた頃オージス総研のMLから勉強会開催の連絡が届きました。すぐに参加の申し込みをしたいと思いましたが、勤務地の関係で会社を早退しなければなりません。また、こういった勉強会自体に参加したことがなかったため、「場違いでなければ良いが」などと迷っていたこともあり、なかなかメールの送信ボタンが押せませんでした。しかし、何事も一歩を踏み出さなければ物事は始まりません。恥ずかしい思いをしても、それも良い経験だと自分に言い聞かせてメールを出しました。
ところが、そこからが大変でした。アナリシスパターンがどこにも売っていないのです。出版社に頼めば入手できるということはMLで知っていましたが、勉強会の日までそんな時間もなく、仕事に余裕のある日を見計らっては、会社を早退して何度か都内の書店を回りましたが見つかりませんでした。明日は勉強会という日の夜8時頃、なかば諦めの境地で店員に尋ねたところ、数分後「最後の一冊でした」と言いながらアナリシスパターンを持ってきてくれました。本当にラッキーでした。




■勉強会の進め方

アナパタ勉強会は講義形式で行われるのですが、講師はボランティアで決定されます。
講師は一人の時もあれば、2名程で担当することもあります。講師担当の方は、勉強会の当日までにパワーポイントなどに講義範囲の内容を簡潔にまとめ、その内容に沿って説明を行ってゆきます。講義の多くの時間は、OdellノーテーションをUMLのクラス図に置き換えることと、例題などをオブジェクト図(インスタンス図)で表現することが中心となります。当然のこととして、参加者により解釈に違いが出ることもあり、異論・反論が多数出てきます。結論がひとつにまとまることもありますが、平行線のまま「どちらもある」という玉虫色の決着となることも少なくありません。そんなときは、自分ならどう考えるかということを自問自答することも大切です。
私が初めて勉強会に参加したときは、講義内容の難しさもさることながら、この議論すらちんぷんかんぷんで、随分ショックを受けてしまいました。はっきりいって玉砕です。最近では、ようやく多少なりとも議論に参加することができるようになり、継続は力なりを実感しています。




■勉強会の楽しみ方?

アナパタ勉強会を単なる勉強で終わらせるのは、とてももったいないことです。是非楽しみ方を知って、知識と同時に有意義な時間を過ごすことが大切です。では、どうすれば勉強会を楽しむ事ができるのでしょうか?一番正しい勉強会の楽しみ方は、発言することです。間違っていてもかまいません。私も、よく頓珍漢な発言をしたりしますが、そのとき思った正しいと考えることを述べてみるのが大切です。すると、おそらく他の方から反論なり、賛同の意見が出てくると思います。そしてどんどん議論に参加しましょう。とはいえ、これがなかなか難しかったりします。もし、そんな勇気がない方は、懇親会で大いに話しましょう。おいしいピザを食べながら話しをすれば、すぐに知り合いになれて、次回以降は議論に参加する勇気が持てるようになります。それも難しいという方は、是非二次会に参加してください。お酒の力をかりて、舌のすべりを滑らかにしましょう。二次会目当てで参加するというのも、「あり」だと思います。
勉強会を楽しむ一番大切なことを忘れていました。それは事前に書籍を読んで予習をしておくことです。私は、これをしばしばさぼってしまいます。




■アナパタ勉強会で得たもの

アナパタの勉強会に参加して私が得たものは、実務の面での分析・設計時の考え方の視野と幅が広がってきたと思えることです。特に、アナリシスパターンの2章で解説される責任関係などは、この書籍を理解するための肝でもあり、壁でもあるのですが、実務のちょっとした場面でも活用できるのだということを、最近よく思うようになってきました。
もう一つ、勉強会で得たものとして多くの方と面識を持てたことを忘れるわけにはいきません。私が知識として得たものも、実際には書籍に書かれた図や説明からではなく、勉強会に参加している方との意見交換を通じて得たものの方が多かった思います。最近では、勉強会を通じて面識が広がったことのメリットとして、ちょっとしたセミナーへの参加に楽しみが増えたということがあります。




■おわりに

アナリシスパターンの書籍の勉強会はまもなく終了します。しかし、その後マーチン・ファウラーの本家サイトで紹介されている新しいパターンについて、引き続き勉強会を実施しようということになっています。あまり肩肘をはらずに気楽に参加するだけでも、アナリシスパターンの「におい」というものを感じることができて、とても有意義だと思います。ちょっとでも、アナリシスパターンに興味を抱いたあなた。是非、勉強会でお会いしましょう。


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