オブジェクトの広場編集員が贈る
新人さんへのアドバイス集
- 2007年 -


身内のお話で恐縮ですが、今年はオブジェクトの広場編集部にも例年になくたくさんの新人さんが参加しています。今回は、オブジェクトの広場編集部のメンバーが新人さんへのアドバイスとして、自分が新人だった頃の経験や勉強法、そして、当時の先輩から受けたアドバイスなどを紹介しています。また、リアル新人さんからも、現在進行中のお話を紹介してもらいました。
読者の方々も昔を振り返ったり、現在の状況やこれからの未来に思いを馳せてみてください。

目次

  1. 新人編集員のお勉強記
  2. 中堅(ベテラン!?)編集員のお勉強記
  3. 中堅編集員から新人へのアドバイス

新人編集員のお勉強記

まずは、今年度オブジェクトの広場編集員になったメンバーの現在までのお勉強記を紹介します。

■開発環境、言語の勉強

実際に開発するにあたって、必要になるツールの使い方の勉強や、コーディングするための規約を読んで、早く一人前にお仕事できるよう現在必死で勉強中です。

■お客様先の業務についてのお勉強

開発に直接関係する技術に関する勉強が必要なのは当然なのですが、仕事をする上で、お客様先の業務や機能、仕様を理解しないと開発も何もないという状態なので、用語や業務の進め方といった事も学んでいます。

(王将王子)

■ET ロボコン

組み込み開発をやっている部署に配属されて、最初の研修が ET ロボコンへの参加でした。ET ロボコンは、組み込みエンジニアが LEGO ロボットによるライントレース競技を行う大会です。UML などのモデル記述言語で書いた簡単な設計書も審査されるため、モデルを使った開発の基礎教育にちょうど良いということで参加しました。部署配属が6月11日日で、地区予選が7月1日であったため、実質2週間程度で、ロボットの組み立て、戦略の検討、モデリング、プログラミング、テスト、設計書の作成と提出を行いました。時間の限り精一杯がんばりましたが、試走コースと本番コースの環境の違いに対処できるようなプログラムになっていなかったため、あえなく予選敗退しました。競技では悔しい思いをしましたが、モデリングワークショップではモデル審査員より特別賞をいただきました。良い結果は得られませんでしたが、短い期間でのチーム開発の難しさと、目標に向かって開発をする楽しさを学びました。

■LED電光掲示板キットのインベーダーゲーム

プログラミング言語(C++)、開発プロセス、RTOS、UML などの研修を受けた後、研修の集大成として、5人チームによる秋月電子の32×16ドット LED 電光掲示板キットを使ったインベーダゲームの開発演習を行いました。最初に、作成するゲームの仕様や開発計画の検討を行い、次に要求分析・分析・設計の順に沿って、UML でゲームをモデリングしました。次に、モデルに従って C++ 言語 (一部C言語) でゲームのプログラムを実装しました。開発期間が実質10日ほどしかなかったため、モデル通りに実装できていなかったり、ハードウェア制御に苦戦したり、やや品質の悪いプログラムにはなっていたりしましたが、当初予定したゲームの機能は実装することができました。開発において、うまくいかない点が多かったですが、そのおかげでインベーダーゲームが動くようになったときのうれしさは大きくなりました。小さなものでも、実際に動くものを一から作りきる難しさと面白さを同時に学べたように思います。

(skelton_boy)

■毎朝の日課

私は平日は必ず毎日7時半〜9時までの一時間半をカフェで勉強する時間にあてています。一番心がけるのはとにかく「続けること」。最初はまず、とにかく毎日眠い体に鞭を打って、カフェに行くことを目標にしました。慣れてきたら今度は、日々の1時間半をどのように利用しようかというスケジュールに重点を置きます。現在は2冊の本を計画的に併読しているという段階です。最近では、曜日によって読む分野の本を変えてみようかと計画中です。

毎日コーヒー一杯分のコストがかかるのですが、1時間半をコンスタントに自分を磨きつづけられる環境を僕は気に入っています。さて、これが高いか安いかわかるのはいつの日でしょうか。

(everpeace)

■得意分野を1つ作る

僕は「得意分野を1つ作る」ということをテーマに、勉強しています。現在、業務で行っている SOA に関連した、システム連携にまつわる技術要素の本や、サイトを見ています。実際に自宅 PC に環境を構築したり、プログラムを弄って遊んでいます。

あと、技術関連の本を読むとき、リファレンスになりそうなページに付箋を張り、「○○(コマンドや一覧)はこの本の付箋にある」と、頭のなかにインプットします。ウェブページのブックマークを張る感覚です。全ての知識を記憶しておくのは難しいので、「欲しい情報がどこを見ればわかるのか」といったことを主眼に本を読んでいます。。

(SS)

一口に新人編集員と言っても、人それぞれ様々なことを勉強したり経験したりしていますね。皆さんの新人のころと変化はあったでしょうか?新人読者やまだ社会に出ていない方々は、新人編集員の経験やスタンスを参考にしたり自分と比較してみるのもおもしろいですね。


中堅(ベテラン!?)編集員のお勉強記

続いて、ベテランと言うと怒られてしまいそうなので、中堅編集員(注:ここで言う中堅編集員とは新人ではない編集員のこと)のお勉強記を紹介していきます。時代の流れとともに変化はあるのでしょうか?

■自分が興味を持っている分野のコミュニティに参加

最近と違って、当時はモデリングや方法論のコミュニティが盛んだったので、これらのコミュニティに参加し、社外のできる方々からいじめてもらっていました。コミュニティに参加して良かった事は。。。

(MY)

■毎日30分、技術書を読む

技術を学ぶことはもちろんですが、一番は技術を学ぶ習慣を付けることだと思っています。敵は飲み会ですが、くじけずまた翌日から頑張れば良しです。

■仕組みや理論を考える

Web が発達したため、ノウハウや解決法を見つけるのが容易くなりました。ツールもたくさんすぐに手に入るようになりました。でも、表面的に解決法を知っても自分の力になりません。その裏にある仕組みや理論を考える姿勢を持って欲しいです。

■手を動かす

書籍や Web を見て、解かった気になって痛い目をみたことが何度かあります。プログラミングであればコードを書く、思考のツールであればそれを使って考えてみる、というように、自分の労力を惜しまず手を動かして欲しいです。

(仕事の変化に戸惑う中堅)

■プロの仕事

初めて仕事でプログラミングをやったとき、ある変数をスクロールしながら目で探していたら、先輩がおもむろに「プロはこうやるんや」と言いながら検索フォームを開き、ものすごいスピードで変数を探し始めた。それ以来、プロはスピードが命、プロはとにかく検索フォームを使え、ということを叩き込まれた。

■洋書を読むことを日課に

洋書を読めるようになるため、新人の頃から「年5冊」という目標を立てて洋書を読むようにしていた。最初のうちは、1時間英語を読むだけで頭がクラクラするのだが、それを1年間続けていくとだんだん頭が英語脳に変わっていって、ストレスを感じずに読めるようになっていく。最近では、技術書の英語については何の問題も無いので、ビジネス書の英語を読む訓練をしている。最終的には、文学を英語でスラスラ読めるようになれば完璧。

■金を惜しまず技術を追求

何か新しい技術の知識が必要になったら仕事中でも即座に本屋へ飛んでいき、金に糸目をつけずに速攻で必要な技術書を買ってくる先輩がいた。当時、バイトでプログラミングをしていた貧乏学生だったので1冊数千円の技術書を買うのには抵抗があったが、それ以来、プロは技術書を買い惜しみするな、ということを教わった。確かに、時給2000円の技術者が本を買わずに自力で問題を解決しようとして、調査のために2時間手を取られたら、4000円の本を買ってすぐに問題を解決するのとコストは同じになる。さらに、本からはその場限りでない、もっと広範で体系的な知識が得られるし、短縮できた2時間で他のことにもチャレンジできる。技術者は、本当に本を買い惜しみしてはいけないと思う。

■本の内容のステップアップ

ある程度技術的なスキルが身についてきたら、入門的な本や技術の表面だけを紹介した本を読むのを止めて、技術の背景に流れる原理/原則を説明した腹に堪える本格的な本だけを読むようにした。本を買うときも、これは本物か本物じゃないかを常に見極めるようにしていた。

(ハナオ)

■モノを作り続ける

ひとりで開発するテーマを決め、最初から最後まで動くソフトを作った。そして、定期的に、同じソフトを作り直した(5回くらい)。毎回、作り方に変化(成長)があり、勉強になった。

・テーマは自分が好きなものを選ぶのがポイント。そうすれば飽きずに続けやすい。

(坩堝)

■教育的配慮

新人の頃の思い出で一番印象に残っているのは、オフショア先から納品された成果物に対する、受入時の不具合指摘です。コードを読むとありがちな問題だとわかり、回避策も即座に思いつけてしまうようなものでした。しかし、オフショア先に伝える際には、まず発見した問題が「問題である」ことを認識させることに集中して、先に回避策を提示してはいけない、と言われたことを覚えています。

オフショアというと何よりもコストを意識してしまいがちですが、長い目で見るとこいうも欠かせないものなんですねと理解しつつ、一方で自分にはそういう教育的な配慮をしてくれていたかなと思うとどうだったか忘れました。

(2年目の耳心)

■常に、客先の市場を意識して、仕事をするように。

これは、新人だった頃、先輩から指摘された一言です。当時、私は、自席と客先でのみ、仕事をしていました。先輩から、この指摘を受けてから、自席での仕事時間を減らし、市場調査もするようにしました。それだけでなく、毎晩、飲みに行って、流行をチェックしていました。その成果が数字として現れる直前、人事異動で他部署へ異動になってしまいました。常に、客先の市場を意識して仕事をする姿勢は重要だと思います。例えば、金融系 SE の場合、金融の知識も、製造系 SE の場合、製造業の知識も、習得することも大事です。

(ミナミ)

■わからなくてもまずメモを取る。

先輩同士や先輩との会話でわからない単語はすべてメモしておいて、家に帰ってから全部調べる。これを毎日やる。

■通勤電車(当時片道約40分)は、毎日技術書を読む。

飲み会の帰りも読む。ベロベロになっても読む。

■わからなくても読み続ける。

わからなくてもいいから業界雑誌を年間購読して、それを読むことが生活の一部となるまで読む。暗号のような用語もそのうちわかってくる。人間ってスゴイ!

■年間を通して試験を受けて受けて受けまくる。

電気通信やマイコン (組み込み) など含めピーク時、年 6〜7 回ほど受験してました。

(技術屋二代目)

■先輩の苦手なことを勉強しました。

新人の頃、営業マンでした。製品知識を習得したり、販売方法を学んだりの毎日でしたが、ある日、ある先輩から次のようなアドバイスを受けました。「先輩の苦手なことが得意になると良いよ。例えば、パソコンとか。」そのアドバイスを忠実に実行したため(?)、現在、SE として生活しています。どの部署でも、先輩の苦手なことを勉強しておくと、とても重宝がられます。

(元営業マン)

■LAN ケーブルの手作りをきっかけに、資格を取得しました。

10年ほど前、SE になりたての頃、LAN ケーブルを手作りしてました。LAN ケーブルを適当な長さに切って、先端を向いて、RJ-45のコネクタに入れて、圧着機で「ガッチャン」してました。手先が不器用なため、使える LAN ケーブルが出来なくて、先輩に迷惑をかけていました。そんな苦い経験の反面、クロスケーブルの順番を覚えるなどの勉強をしました。その成果があって、数年後、Cisco/CCNA 資格を取得できました。

(不器用貧乏)

■新人の頃、生産ラインに立っていました。

私は、新人の頃、第2次産業の会社にいました。新人研修の一環として、3交代で、工場の生産ラインのアシスタントをしました。生産現場の社員と一緒になって、製品の梱包をしたり、プラント内を走り回ったりしました。24:00〜8:00の夜勤のフィルムの検品作業がとくにつらかったです。高速で巻き取られるフィルムの右端から左端まで、均一であることを確認するだけですが、朝日が上る頃には目がチカチカしてました。そんな夜勤明けのビールとお好み焼きはとてもおいしかったです。

(元第2次産業)

■気分転換方法を教えました。

新人時代は、慣れない仕事に追われて、ストレスがたまるもんです。ストレスのあまり(?)、体を壊して入院してしまった新人君もいました。そんな新人君を、J リーグの試合や、森高千里さんのコンサートなどに連れて行って、気分転換方法を教えてあげました。

(気分爽快)

中堅編集員になると、より様々な経験をしているメンバーがいるようですね。皆さんと同じような経験をされている編集員はいましたでしょうか?分野や経験は様々ですが、何かを続けることが今に生かされているという経験を持った編集員が多かったようです。


中堅編集員から新人へのアドバイス

最後になりますが、そんな中堅編集員からこの業界の新人に向けてアドバイスを寄せてもらいました。新人の方々は参考にしてみてください。また、新人でない方々も自分が新人を教育する時の参考にしてみてはいかがでしょうか。

■工数管理をしっかりとやって欲しい。

自分が取り組む作業について時間計測をする癖をつけてほしいと思います。会社に入社すると、工数入力があって何に何時間っていうことをシステムに入力することになると思うのですが、それは会社が必要とする項目の時間であって、自分が確認したい項目でないことが多々あります。たとえば、自分はどれくらいで議事録が書けるのか、そういった自分のパフォーマンスを正確に認識することが、自分を成長させる第一歩だと思います。

(ひろやす)

■ドラッカーの「経営者の条件」を読んで欲しい。

プロとしての考え方や、自己の向上のさせ方など大いに参考になります。しかも、読んでいて痛快かつ爽快です。

■本も良いけど、動くものを作って欲しい。

どうせ作るなら、改造などではなく0から作って欲しい。優秀なのに0から作ったことが無いということで、引け目?を感じていたり、思い切ったことが言えなかったりする人に何度も出会いました。

■会社以外のコミュニティに参加して欲しい。

いろんな考えの人に出会えて刺激を受けたり、視野が広くなったりと、良い効果があります。

■ソフトの中身を何でもいいから追っかけて欲しい。

利用者の観点と、制作者の観点、両方重要で使い分けが必要ですが、少なくとも、制作者の観点を身につける良い方法だと思います。ある程度汎用性のあるターゲット(ライブラリなど)がおすすめ。 自分は、新人の頃ではありませんが、boostのライブラリのコードを追っかけて、かなり勉強になった経験があります。

(坩堝)

■慣れない街もエンジョイしようね。

就職をきっかけに、初めての土地に住むようになった人もおられると思います。新人時代の私も、その1人でした。長野県出身で、大学時代は関東地方だったのに、配属先は、大阪でした。プロ野球は、G 党で、J リーグは、ジュビロサポのため、肩身の狭い生活と思いきや、周りを探せば、同志がいました。週末は、同志達に案内してもらい、大阪だけでなく、京都や、神戸もエンジョイしていました。

(大阪に5年住んでも大阪弁が全く話せないSE)

■社会人なんだから、自分が飲める酒の量くらい、把握してね。

先日、部署の新人歓迎会の時の話です。1次会でも、2次会でも、無理やり飲ませたつもりないのですが、2次会の最中、新人2名が寝込んでしまいました。その姿を見て、私だけでなく、部署の先輩全員、超ドン引きでした。2次会の幹事だった私は、新人2名に向かって「がっかりだよ!」と叫びたくなってしまいました。

( 梅塚やっくん )


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