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シリコンバレー オモテ・ウラ 第1回 |
こんにちは。10月からシリコンバレーに駐在になった大場です。前任者Iwade氏の跡を次いで、駐在員から見たシリコンバレーのレポートを(できるだけ ^^;)毎月お届けしようと思います。題名は「シリコンバレー オモテ・ウラ」。「シリコンバレーの光と影」なんてちょっと気取ったタイトルも考えたのですが、もっと率直に何事にも表と裏、いいところと悪いところがあるもので、そのあたりを経験を踏まえて紹介していければと考えています。
さて、近頃日本でも盛んになってきたクリスマスのライトアップ。アメリカが発祥かどうかは知りませんが、10年近く前アメリカのある地方都市で迎えたクリスマスは、鮮明に記憶に残っています。当時、日本でもすでにデパートや繁華街では盛んに行われていましたが、ごく普通の家庭がディズニーランドの夜のパレードのような飾り付けをするというのは驚きでした。今年も、早い家では11月のThanksgiving Dayあたりから、ライトアップを始めていました。
ところで、今年、カリフォルニア州では、このライトアップをできるだけ自粛するように、あるいは点灯時刻を夜7時以降に遅らせるように要請しています。現在、カリフォルニア州は深刻なエネルギー不足なのです。カリフォルニア州の多くの地域に電力とガスを供給しているPG&E(Pacific Gas & Electric Co.)によると、クリスマスライトを含む電力消費の増大と、現在複数の発電所が修理中であることなどから、州内の発電所だけでは需要をまかなうことができず、州外およびカナダから電力を購入しているとのことです。実際、オージスのオフィスのあるPalo Alto市のダウンタウン、University Avenueのライトアップも、最近自粛されているようです。また、私の自宅でも先日、電圧が安定しないのか、数分間にわたって数秒間の停電が起こりました。
州外、国外からの電力購入は、消費者に対して月々の電気代という形で跳ね返ってきます。米国では規制緩和が進んでいますが、エネルギーに関しては、あまりうまくいっていないらしく、競争による価格低下どころか、価格急騰を呼んでいるのです。PG&Eでは、すでに電力購入のための資金も底をつきかけているという報道も行われ、この問題は日々深刻化しているようです。
さらに追い討ちを掛けるように、天然ガス価格も急騰しているらしく、この冬のガス代は昨年度比5割増だそうです。やはり、暖房の温度設定を低くしましょうといった、メッセージが流されています。
エネルギーを湯水のように使う、光にあふれた豊かな国アメリカは、クリスマスライトともに消えつつあるのかもしれません。
米国に赴任が決まってから、楽しみにしていたのが、接続料が安いといわれている米国の常時接続インターネットサービスでした。日本では、3年程前から自宅の回線をISDNにして、64Kでも悪くないなとは思っていたのですが、最近日本でもDSLサービスが開始され、なおかつ自宅がそのサービスエリアに入っていないために、少し悔しい思いをしていたのです。>
そんなこともあって、こちらに赴任して自宅が決まった段階で、さっそく申し込みました、DSLサービスを。ご存知のとおり、ケーブルTVを利用するインターネット接続サービスもあるのですが、残念ながら、こちらはサービス区域外だったのです。
DSLに関する情報は、ほとんどDSLサービス提供業者のホームページから得ることが出来ました。私は、地域電話会社であるPacific BellのDSLサービスを申し込みましたが、自宅がサービス区域内であるかどうかなども、簡単にWebから調べることができました(同様のサービスはケーブルTV会社も行っています)。自宅がDSL接続可能であることを確認して、Web上の申込書に必要事項を記入して…と、さっそく申し込みです。「注文」ボタンを押すと、3営業日以内に担当者から連絡するというメッセージが表示されました。
さて、ここからが大変でした。というのは、現在DSLサービスへは申し込みが殺到しており、業者側の処理能力を超えているらしいのです。申し込みをしてから聞いた話ですが、過去に申し込みからサービス開始まで6ヶ月かかった人もいたという噂もありました。そして、予想通り3営業日を過ぎてもPacific Bellからは何の音沙汰もありませんでした。
そこで、こちらから拙い英語で何度も電話をかけることになってしまったのですが、その中からわかってきたことがいくつかありました。まず、Pacific Bellは申し込み窓口になっているだけで、DSLサービスはSBCという会社が提供していること、さらに接続に必要なDSLモデムなどのハードウェアを管理しているのはさらに別会社であるということ、そしてこれらの間の連携は、お世辞にもうまく図れているとはいえないことです。
結局、サービス開始までに、申し込みが正しく行われているか、モデムなどの装置がいつ届くのか、そしてインストールマニュアルの間違いによるセットアップの問題など、関係各社すべてに電話をかけることになってしまいました。ただ、救いは、電話をうけてくれるカスタマーサービスの人が、だいたいにおいてとても親切だったことでした。それでなければ、ここまで根気よく電話をかけつづけることはできなかったかもしれません。何しろ、出てくれる人は親切でも、電話がつながるまで、とても長い時間またされますし、これでもやはり、たらい回しには何回かあっているのです。
そして先日、申し込みから約1ヶ月で、自宅からも最高1.5MbpsのDSL接続環境ができあがりました。1.5Mが常時出るわけではありませんが、計測してみたところおおむね1M程度は常に確保できているようです。こうして、苦労して英語の問い合わせ電話をかけつづけたものが得られる、快適なインターネット環境が自宅に完成したのです。
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