ObjectSquare [1999 年 5 月号]

[トレーニングの現場から] 序章


■ はじめに

ようこそ、「トレーニングの現場から」へ。
これからしばらく、連載を受け持たせて頂くことになりました。

皆さんはOOトレーニングに参加されたことはありますか?
参加された方の中には、現場でOO技術のリーダをされていらっしゃる方も多いのではないでしょか?新規開発のためにOOトレーニングを受講する予定の方もいらっしゃることでしょう。新人育成、あるいは、技術リーダー育成やプロジェクトリーダー育成のための、OOトレーニングを企業ベースで検討されている管理職の方もいらっしゃると思います。
       ** OOは、Object Oriented の略で、オブジェクト指向をさします。

■ OO技術の適用現状

オブジェクト指向が研究対象として扱われていた時代は過ぎ去りました。
今では、Windowのクラスライブラリや、JavaやActiveXやCORBAなど、ソフトウェアの基盤技術として定着してきています。
オブジェクト指向がどういうものか?というのをちゃんと知っているわけではなくても、知らず知らずのうちにOO技術の恩恵にあずかっているというのが今の状況です。JavaやVisualBasicのプログラミング読本でも、OOの概念についてやさしく記述しているものを見かけることが多くなりました。
OOアプリケーション開発実績は増加しており、OO技術の長所や問題点を、実績ベースで議論できる段階に入ってきたように思います。研究者によるテスト的な開発ではなく、技術者を多く養成して、現場のアプリケーション構築を行っていく段階に入っています。

■ OO技術を学ぶ人々

トレーニングを受けに来られるお客様は、実に多種多様です。

年齢層は、
新入社員、中堅層(プロジェクトリーダー層)、 部長クラスの方などなど。

開発経験は、
実践開発ばかりをしてきた人、プログラミング経験の一切ない人、開発第一線からはずれて長い人、勉強でプログラムを作成した経験はあっても、実践開発のない人、 プログラミング経験はあるが分析や設計経験のない人、分析や設計が主な作業となっている人などなど。

言語的背景は、
 C、アセンブラ、Basic、COBOL、 Java、 FORTRAN、 Smalltalk、 4GLなどさまざま。

そして、受講の理由は、、、

OOで実システムを開発することになったので勉強にきた、
来期からオブジェクト指向で開発を始めるため、
お客様からOOで開発してほしいいわれて勉強にきた、
従来の手法とどうちがうのか見極めるため、
プロジェクト管理の方法を知りたい、
会社をあげて導入するための前調査に来た、

と、目的や緊急度をとっても多種多様です。

OOに魅了されてずっと独学で勉強してきたが、Javaで開発するにはちゃんとOOの勉強しておかなければならないと、上司を説得して受講に来た、

部下や世間がオブジェクト指向だと騒いでいるので、知っておかなければならないという危機意識を持って調査に来た、

実行速度が問題で泣く泣くOO技術を捨てたが、(マシン環境が整った)今こそOOをやる時だと思ってやってきた、

というような方もいらっしゃいます。
            ** トレーナーとしては熱き思いを分かち合えるので嬉しい限りです。

最近の傾向としては、評価のためのパイロット開発を終え、実開発段階にはいった企業の方が来られることが多くなりました。そして、実動部隊の開発者・リーダとなる方々が増えてきたように感じます。

■ OO技術の現場への導入

OO技術を現場に導入していくにあたっては、解決しておかなければならないことがたくさんあります。
OO技術は歴史的には25年以上を経過していますが、実用レベルで考えると未成熟な点がまだまだあります。このため、実際の現場で、試行錯誤しなければならないことも多いのです。

トレーニング期間中、様々な疑問や悩みが、休憩時間やトレーニング終了後あるいは、演習の時間に飛び出してきます。

この連載では、そういった質問をご紹介しながら、OO技術を導入していくうえでの問題について考えていきたい思っています。


次回、最初に取り上げる質問は、
「構造化手法とオブジェクト指向の違いは何ですか?」についてです。

お楽しみに。


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