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[OOSE法 言いたい放題 ]


OOSE法のお気軽な紹介を座談会風に語り合うページです。

Jacobson氏の名前と彼の提案した「ユースケース」概念は現在のオブジェクト指向開発ではなくてはならないものとなりました。ここらで、元々のオブジェクト指向とユースケースの不適切でない関係をもう一度根本から見直しておく必要があるかもしれません。
そういえば、Jacobson氏はクリントン大統領をずいぶん評価しているよう(インタビュー参照)。
ともあれ、前半の柔らかい記事から後半のユースケース殺人事件までお楽しみ下さい。

ユースケースが流行るわけって...
SmalltalkとObjectory
秘宝。Objectory万年筆
ユースケースって何?
「用例」はどうでしょう?
やっぱりOMTが好き
ナイーブから現実主義へ
ユースケース殺人事件
続・ユースケース殺人事件
怪傑編・ユースケース殺人事件

ユースケースが流行るわけって...

OOSEといえばやっぱりユースケースだけど、あれを始めて聞いたときには、「そんなの当たり前のことじゃん」と思ったものでした...
あのユースケースがそこまで受けたのは、他のオブジェクト指向方法論が、「実世界をそのままモデル化する」ということを強調しすぎた反動じゃないかと思いますよ、絶対に。

(COBOL61)

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SmalltalkとObjectory

Smalltalkでは、MとVとCを分けてシステムを作ります。これは設計時の話ですが、分析時にもなんとなくこれらのオブジェクトの区別をつけることは重要なのではかねてから考えていました。
そんな時に出会ったのが、ヤコブソンのOOSE。ちゃんとドメイン分析で、ビューとコントローラとエンティティを分けているではないですか! こりゃCool!
と、いうわけで一気にOOSEのファンになった私です。この考えがUMLにも反映されて一応満足。
#ただユースケースごとにコントローラを一個つくるのはあまりに技巧的すぎる気がしてたりして。

(Bigdealer)

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秘宝。Objectory万年筆

私のお宝といえば、Objectory万年筆です。いまはRational社に吸収されましたので貴重品。以前Objectory社が日本に営業をかけていたときにいただいたのでした。大事にしよーっと。

(Bigdealer)

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ユースケースって何?

以前、どこかの翻訳会社になにかの訳をたのんだときのこと、"use case"が"使用事例"と訳されてきました。そのときは「"ユースケース"だよぉ」と思って修正しただけだったのですが、後で「"use case"を日本語にするとしたら、どうなるんだろう..」と考え込んでしまいました。なにかいい訳語を思いつく方はいらっしゃいませんか?("使用事例"はシナリオ?)

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「用例」はどうでしょう?

私の知り合いで、ユースケースを「用例」と訳した人がいましたが、どうでしょう?
この人が翻訳してたら今頃は「用例」になっちゃってたかも...

(♪ヨーロレイヒー)

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やっぱりOMTが好き

OOSE本の最後の章で、当時の他の方法論について述べているのを知ってますか?
その中でOMTの紹介がされているんですが、これが意外なことに「紹介した中でもっとも野心的なものである」と非常に高い評価を与えているんです。(ちなみにBoochのことはけなしています。)
ユースケースやコントロールオブジェクトなんかを強調しているので、どうもOOSEは胡散臭いと思っていた当時の私でしたが、この章を読んで「なんだ、実はJacobsonもちゃんとオブジェクト指向をわかってやってるんだな」などと勝手なことを思ったものでした。

ところでスリー・アミーゴの人間関係ってうまく行ってるんでしょうかね?

(ランボーは乱暴)

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ナイーブから現実主義へ

オブジェクト指向という美しいけれどもうさんくさい夢幻の世界と、実際に役に立つ動く大規模なシステムの間を埋める、泥臭いけれど現実的な開発技法、それを初めて明示的な形で提案したのがヤコちゃんこと奴さんじゃなかったJacobson氏でしょう。

大胆にも彼は、オブジェクト指向方法論の中にオブジェクトとは水と油の「機能」を持ち込みました。
機能なんていうとオブジェクト指向の仇敵「機能主義」と疑われるから敢えてユースケースという違う名前で登場させたわけです。最初の頃、Jacoちゃん自身もその位置づけに困ったのでしょう、彼は、「ユースケースはクラスの一種である、したがってユースケースどうしの継承もある」などと説明してみんなを混乱に巻き込みました。(いまでもそのときの混乱が若干続いているようですが)

この説明ではJacobson自身、いわゆるモデルに登場するオブジェクトやクラスと、方法論の構成や考え方を説明するためのメタ記述(一種の比喩)としてのクラスとをごっちゃに使ってしまい混乱が広がったわけです。実際に彼が言いたかったのは具体的な個々の「シナリオ」を束ねてひとまとめに管理・記述したものが「ユースケース」だ
その意味でユースケースがシナリオと対比すればクラス的存在だ
ということです。したがって、ユースケースを本物のクラスと考えてモデリングの中でも勘違いしてクラスと関連で繋いで登場させたりする人がいますが、考え物です。

また、以上の説明からわかるように、ユースケース間の「継承」関係というのもまったく「比喩的」なものであって、通常のクラス間の継承のように理解してはなりません。
ユースケース間の関係とはあくまでユースケースのテキスト記述の間の依存関係に過ぎない一種のハイパーテキスト内のハイパーリンクに過ぎないのです。
それを彼一流の韜晦趣味で「汎化」関係のシンボルなんぞで示したものだからしもじもは大混乱してしまったわけですね。

ほんとにナイーブなひとには誤解を招きやすい
したたかなじいさん、それがヤコブソン翁です。

(冷やっこ)

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ユースケース殺人事件

夢と現実を結び付けるのに彼が導入したのが「ユースケース」
つまりシステムの各ユースに関するケーススタディをしましょう
という超実践的な提案なわけです。
机上でいくらウンウン唸っていたからっていいオブジェクトが浮かんでくるわけじゃありませんよ、もっと具体的にシステムの使い方・使われ方をその動機や犯人(アクター)像に遡って実際のコンテキストの中で現場検証してみましょうよ
というこれが元々の「ユースケース」スタディの心ですね。

奴さん、ユースケースなんていいながら物を残していきましたぜ

ブツといえばオブジェクト、
オブジェクト指向といえば唯物論
ブツブツ交換といえば原始共産制
メッセージ交換といえば「オブジェクトの広場」

来年こそ よい落としを

(12月26日のサンタクロース)

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続・ユースケース殺人事件

机上でウンウン唸っている適切なオブジェクトを見つけそこなった運のないそこのあなた,ユースケース分析でっせ,これでうまく,いいオブジェクトが見つけられまっせ.
甘いコトバにたぶらかされて,皆さん,一所懸命にユースケース記述に励まれています.
いまや,ユースケースから始めないOO方法論はオブジェクト指向にあらず,
ってな勢いですな.

しかし考えてみますに,ユースケースってえのは
システムの利用者(アクター)から見たシステムの使い方だわな
そうやって識別されたユースケースの内容をこんどはコトバで書いていくわけだ.
お隣のミヨちゃんが貸出し要求を出しましたよ,
そしたら窓口の女将さんがこの草子は予約が入っているから貸せません
とくらー.

それともこんなケースもあるな
ご隠居さんがこの草子は私の孫に読んでやりたい
孫は川向こうの深川の産だ
而して深川といえば芸者
芸者といえばGeisha Girl
ところでCDとかいうものが借りられると聞いたが
...ご隠居の閑言は尽きず,貸出要求にたどり着くのはあと何分後か?

と極端な例と思われる向きもあろうが,ご隠居の例を
システム内部の振る舞いシーケンスの詳細と考えれば
そんなに極端なユースケース記述でもない.
実際,実装の都合を細かく述べたこうしたユースケース記述はよーく見かける.

つまりユースケースから適切な粒度の意味のあるオブジェクトを識別することがうまくできるためには,ユースケース記述の際に使われる語彙が適切な抽象度と粒度であらかじめ用意されていなければならない
というわけである.

ふふふ,これで,振り出しに戻ったな,奴さん.

やはり,物(ぶつ)は事件現場(ケース)にあらかじめ用意してありましたね
よくできたミステリではかならずそうですな.

(第2の人生は魔法の絨毯屋)

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怪傑編・ユースケース殺人事件

みなさん,早まってはいけませんよ.
オブジェクト指向の神髄は
スパイラル
にあり!
振り出しに戻ったと思ってもよーく見れば同じ場所ではありません.
ちゃんと一段上に上がって賢くなっているではありませんか.

つまり,ここでの教訓は,鶏と卵の問題ですな
ユースケース記述はオブジェクトの識別に役に立つ
しかし適切なユースケース記述のためにはあらかじめの
問題ドメインオブジェクトの識別がされていないといけない

システム化の対象となっている問題ドメインの理解を進めて
わかったところまでをドメインモデル(概念モデル)とし,
それを前提としてユースケース記述をし,
その記述内容からさらにドメインオブジェクトを識別して
ドメインモデルをさらに洗練・整合的なものにし,
それを土台にしてさらにユースケース記述を洗練させ
...
というわけです.
どちらが先というわけではないのです.
しかし,近年のユースケースの説明では
ユースケース記述ありき.そこからオブジェクトを識別せよ.
としかいわない.

というわけで,みなさん,騙されてはいけませんよ.
ちゃんと,自分の頭で考えましょうね.

では,ここで一句.

(ユースケース派に追いやられたナイーブオブジェクト指向を思いつつ)
冷や水に 業を煮やした オブジェ 苦闘

いやいや,正月なのでついでにもう一句
(携帯電話に会話を吸収され血も吸われかけてる若い人達を横目に)
酒に飲まれるも,システムに使われたかない 塵アクター

(冷やっこ)

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