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[ソフトウェア開発3大メソロジスト来日特別セミナー 参加報告 ]


Session 3 「UMLとビジュアルモデリング」


1999月2月2日(火) 京王プラザホテルにおいて、James Rumbaugh(ジェームス・ランボー)氏による特別セミナー「UMLとビジュアルモデリング」を受講してきました。

参加報告の前に簡単な自己紹介をしておきたいと思います。
私もSession1,2をリポートした彼らと同じ、入社一年目の社員です。
現在の業務はシステム管理。
オブジェクト指向技術からは少し遠ざかった業務を担当しておりますので、「はたして話についていけるのか」と不安もありましたが、研修で教わった内容を思い出し、一生懸命聞いて参りました。
未熟者故、理解が浅く、講演内容を十分に還元できないかとは思いますが、
好奇心たっぷりで臨んだセミナー参加報告をお楽しみ下さい。


開場へ入場。
なるべく前で受講しようと思い、前へ進む。
到着した席はランボー氏の待機席の正面。
とても有名な方のセミナーなので、出番が来れば紹介されてステージの奥からの登場。
とばかり思っていたので少し驚き。
日本で言うと、講演前にドクター中松氏が開場の脇で待機しているのと同じ様な感じであろうか。


さて、肝心の講演の内容は

Part1 UMLの改訂作業と現状

UMLの概要、UML1.1からUML1.3へ改訂作業とその現状について語る。
UML1.3の最終リリースは今年の3月を予定しているようです。

UMLの今後の機能拡張としては、
・ストリームベースのモデル交換にXMLを使用
・動作する言語を使用した実行可能なモデルの意味づけ
を予定しているようです。

ランボー氏は
「ソフトウェア開発の規模が大きくなるほど洗練されたモデリングが必要」
故に
「その共通概念としてのアーキテクチャが重要」
そして
「その共通概念を持つための手段としてUMLは非常に有効なもの」
更に
「UMLを利用することでリアルタイムシステムや分散システムなど、複雑なシステム構築も容易にすることができる。そしてさらに完全なモノにするためにも現在洗練中」
と語る。

「文系出身、プログラム経験無し」でオージス総研に入社した私が最初に教わったソフトウェア開発プロセスはオブジェクト指向技術を用いたものでありました。
研修でもモデリングやアーキテクチャの重要性は教わってきました。
よく「手続き型の考えとは違い・・・」と言われるが、具体的にどのように優れているのか、ピンと来なく、今回の講演内容も「おっしゃるとおりです」という感心よりも「あたりまえ」といった感覚で聞いてしまうのです(実際にクールなモデリングができるかどうかは別にしてですが)。
これは私にとってとても幸運な事なのだなとよく思います。(そして、よく言われます)


Part2 UMLによる複雑なリアルタイムシステムアーキテクチャのモデリング

複雑なリアルタイムシステム向けUMLモデリングについて語る。

リアルタイムシステムのモデリングは ROOM(Real-Time Object-Oriented Modeling)をUMLに統合して利用することで実現できる。
ROOM とは Real-Time を実現するためのモデリング手法である。
そして ROOM をステレオタイプとして使用することにより、リアルタイムシステムアーキテクチャのモデリングが実現する。

ランボー氏は
「たった4つのステレオタイプを利用することで、UMLによる記述が可能になる。さらに、この技術は他の様々な分野に拡張していくことも可能」
「まだまだ拡張性の終わりには程遠い。だがだいたいの部分はカバーできている」
と語る。


その後の質疑応答では
「現在、構造的なモデリングは実現しているが、パフォーマンス等構造的でない部分についてはこれから考えて行くべき問題である」
と語る。

え!?
ということはリアルタイムシステム特有の同期、非同期、割り込み等の記述は
このノーテーション上で記述できないのか。
だとすると、構造的なモデリングのみを実装に移しても、手作業でのソース編集は結構な量になるのでは・・・。
勉強不足とモデリング経験不足により、納得行くまで消化できませんでした。
リアルタイムシステムの構築がどれくらい大変なものかというのも言葉による
認識のみで、頭での理解はまだまだ浅いようです。
ですから今回は、複雑なリアルタイムシステムもUMLを少し拡張することにより記述できるようになったことに対する感心と、「UML for Real-Time も2000年くらいを目処に標準化していくよ」と語るランボー氏の言葉に対する期待を胸にセミナーは幕を閉じることになりました。


最後に・・・

3大メソドロジストのランボー氏の講演を聴けたことはとても良かったと思います。
消化具合は別として、良い刺激となったことは確かです。
標準化されたUMLが拡張により様々な複雑なシステムに対応できるように進化していくのだろうな、ということをとても強く感じ、「勉強するぞ」というやる気が強くなりました。

帰りの電車の中で、(イメージだけに加速度付け)「数年後の私」は最高にクールなエンジニアになっていました。
*少しでもクールになれるように頑張ります*


おまけ - 余談 -

筆者ホテル入口30メートル手前、シュテフィ・グラフとすれ違う。
「まさか、グラフがこんなとこにいるはず無い」
しかし、ホテルに入って納得。
ちょうど東京で某テニストーナメントが開催されているらしく、ホテル内にそのトーナメントに関する何かの受付を発見。
「やっぱり本物やったんや。握手してもらえば良かった」
筆者、後悔とともに興奮も高まっての開場入りとなりました。


以上、2/2(火)、京王プリンスホテルにて開催されました特別セミナーの模様をお届けしました。


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