[奇妙なクラスと実世界]
1.オブジェクト指向モデルと実世界
1.2 実世界に即したモデルを作ることへの疑問
この「実世界に即したモデルを作り、それをそのまま実装する」というのは果たして本当でしょうか?
私はオブジェクト指向に関わりを持つようになった最初の頃、このことにずいぶんと悩みました。
なぜならば分析段階のはじめのうちは良いのですが、だんだんとモデルが詳細化されていくにつれ、そこに登場するクラスはどんどん「現実離れ」していくように思えたからです。
逆にモデルを現実世界に近づけようとすればするほど、対応するソフトウェア構造は、きわめて貧弱で保守性や柔軟性に劣るものになってしまいます。
私はこのことについて、長い時間をかけて自分なりに考察を行い、その結果、あるひとつの結論に達しました。 おかげでそれ以来、この問題で悩むことはなくなりました。
しかし実際にオブジェクト指向技術を用いたシステム開発やコンサルティングを経験する中で、開発者がこのことを正しく理解していない場面にしばしば出会います はじめて分析作業を経験する場合には特に混乱することが多いようです。
以降では、この「オブジェクト指向モデルと実世界の関係」について、具体例を使って考察していきます。
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