[インターネット時代のオブジェクト指向入門]
データのストレージにオブジェクト指向を利用する動きも始まっています。通常のWWWアプリケーションでは、画像や音声などのマルチメディア系のデータが利用されます。これらのデータはHTML文書とともにファイルとして、特定のディレクトリに置かれているのですが、数の増加とともに管理がしきれなくなってくるのは明らかです。そこでこれらをデータベースに格納して管理する必要が生じてくるのです。また、WWWの分散オブジェクト化が進むと、ネットワーク上に張り巡らされているものは、単なる静的なHTML文書ではなく、処理実体としての生きたオブジェクトになります。その際に、動作中のオブジェクトの状態を、他のオブジェクトとのリンク関係などを保持したまま、適切に保存しておけるような仕組みも必要になります。現在企業内で広く使われているRDBは、文字列や数値を表形式で格納するデータベースです。このため、マルチメディア系の複雑なデータや、オブジェクトを扱うのには適したものではありません。そこで着目されてきているのが、RDBをオブジェクト指向対応に拡張したORDBであり、オブジェクト指向データベースであるOODBです。ORDBではRDBと同じようにSQLが使えるという点で、今後徐々にマルチメディア系のデータなどを格納したいといったユーザに適しているでしょう。OODBは、最初からオブジェクトを格納するために作られたものであり、プログラム言語から、SQLなどを介さずに直接オブジェクトを操作することができます。一次記憶であるメモリに存在するオブジェクトと、ディスクなどに書き込まれる二次記憶上の永続オブジェクトを全く同じように扱うことができるので、オブジェクト指向言語を使用していた場合には開発の効率を非常に高めることができます。
オブジェクト指向データベースの標準化団体であるODMGは、C++やSmalltalkといった主要なオブジェクト指向言語で、普段のプログラミングと同じような形式で、オブジェクトを格納、検索できるインターフェースを規定しています。残念ながら、Javaについては、まだ新しい言語であるため、現在仕様の策定段階にあります。今後の動きに注目する必要があります。
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