ObjectSquare [2002 年 5 月号]

[OOエンジニアの輪!]

OOエンジニアの輪!

〜 第 15 回 安藤 利和 さんの巻 〜

今回のゲストは、あの「こんぴゅーたさま」や「ZapZapZap」で有名な 安藤 利和さんです。安藤さんは 某電機メーカーに勤務されている傍ら、雑誌の記事やご自身の HP などで オブジェクト指向関連の情報を発信するなど、大変幅広く活動されています。 仕事と趣味の両立をどのように実現されているのかなどについて伺いました。



尊敬する人 こんぴゅーたさま
好きな言葉 ZapZapZap
(どちらもテーブルトーク RPG 「PARANOIA」に登場する表現) 「PARANOIA」を紹介する Web ページを安藤さんにご紹介頂きました。  http://www.na.rim.or.jp/~raoul/rpg/paranoia.html )

原田さんとは Java つながり

-- それでは、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

--なんだか、原田さんと安藤さんとで、キャラクターが全然違いますね(笑) 何つながりなんですか。

Java 関係の HP を持っているのですが、「面白い HP がある」という噂が 「Java でごはん」という ML に流れたんですよ。それを見た原田さんが私の HP を見てくれて、という感じです。Java つながりですね。


まともに書いても面白くない!

インタビュー風景

--安藤さんの HP を拝見したのですが、大変おもしろいスタイルですね。 あのスタイルはどの辺から来ているのですか?

あれは、外国のテーブルトーク RPG でそういった感じのものがあったんです よ。それで、漫才形式でやったらおもしろいかな、と思って。漫才形式で やるのって、コンピュータ系の記事などでは時々あるじゃないですか、あれ をもっと面白くできたらな、と思って。

--なるほど。漫才形式というか、対話的というか。

そうですね、対話的。

--安藤さんは JAVA PRESS などに記事も書かれていますが、記事の方も独特 のスタイルですよね。オブジェクト関係の記事にしては他と毛色が違うと いうか。

そうですね。まともに書いても面白くないっていうか。オブジェクト指向関連 の記事や本って、結構難しそうに書いてあるのが多いじゃないですか。もう 少し平易に書きたいという気持ちがありまして。

--どういう経緯で雑誌の連載の依頼をされたのか、という点は読者の皆さんも 興味がある所だと思うのですが、安藤さんの場合は Web からですか。

元々、他の人のページで Emacs Lisp について書かれた Web ページがあった のですが、そのページを編集者の方が見て出版にこぎつけたという話を聞いて、 じゃあうちもやってみよう、そのうちなにか起きるだろうという思いもこめて やっていたらいつの間にかああなっていましたね。

--連載の反響はどうでしたか。

Java のコミュニティ関連でおつきあいのある方々からはそこそこの反響が ありましたが、職場の人たちからは「なんかやってるらしいね」程度の反応 しかありませんでしたね。職場周りはファーム屋さんばかりなので。


今のお仕事について

--現在のお仕事について聞かせていただけますか。

ネットワーク関連ですね。交換機側のプロトコルの設計・実装です。言語は 主に C 言語を使っています。

--最終的にお客様の所にある端末とやりとりをしている部分ですか。

そうですね。ファームウェアに当たる部分です。大学時代から通信系をやって いまして。

--そうすると、お仕事の中でオブジェクト指向を使うということはほとんど ないですか。

ないですね。オブジェクト的な考え方っていうのはありますけど。Java とか オブジェクト指向っていうと、趣味的になってしまいますね。ただ、今の仕事 はオブジェクト指向とはあまり関係ないですが、これはこれで自分の方向性に あった仕事だと考えています。

--日頃 Java などを勉強されている経験を活かして、積極的にオブジェクト 指向を会社に持ち込もう、という感じはあまりないですか?

あまりないですね。オブジェクト指向的な考え方みたいなものは活かしたい、 と思いますが。


日曜プログラミング

--いつ頃からオブジェクト指向に関心を持たれたのですか?

大学時代の研究で C++ をやっていまして。画像を圧縮して流すんですけど、 そこにノイズが入った場合の試験をしたことがあったんです。そのときに 画像をオブジェクトみたいに扱って、ノイズをパラメータとして持たせたり して試験していたんです。そのころに Java アプレットが流行って、「Java もやってみましょうか」って感じで。そのうち、「Java の Web ページでも 作ってみましょうか」という感じになって。詳しく勉強しだしたのは会社に 入ってからですね。

インタビュー風景

--すごいな、と思うのは、単に趣味だけだとわからない部分ってあると思う んですよ。実際に色々と作ったりして経験してみないと。我々は実際に 仕事をする中で覚えることができますけれど。その辺りってどうなさって いるんですか。 もともと安藤さんは「言語好き」っていう部分があるんですかね。

結構そういうところ、言語好きっていうところもあるかもしれないですね。 Perl とか、Emacs Lisp とかをやっていますし。

--安藤さんの HP を拝見していると、Java も全般的にかなり細かいところ まで解説されていますよね。

そうですね。あのコンテンツは・・・。一応 Java の GUI を全部網羅して 全部覚えようというところから始まったんです。AWT のころは良かったん ですが、Swing が出たときはつらかったですね(笑)。

--一つお聞きしたいな、と思っていましたのが、仕事とプライベートの時間 の使い分けについてなんですよ。どうやって時間を捻出されて HP の制作 等をされているのでしょう?

HP の作成は趣味的な感じでやっているので、あいてる時間にちょこっと いじったりして作っているんです。ネタを思いついたらコンテンツに追加して、 という感じですかね。気合いが入ると結構没頭してしまうんです。

--平日も Web の制作等、なさるんですか。

平日はちょっときついですね(笑)。土日しかないです。日曜プログラミング ですね。


オブジェクト指向の好きなところ、嫌いなところ

--オブジェクト指向の好きなところ、嫌いなところ、ってありますか。

やっぱり早く作れるって言うのはオブジェクト指向のいいところですかね。 あと、スコープを小さく作れるというのもいいですね。

インタビュー風景

--なるほど。ただ、人によってはあんまり分割統治してしうと今度それらを どう組み合わせたらいいかっていうのが逆に大変で、かえってベタに書い てしまった方がいいという意見もあったりするんですが。

小規模だったらそういうこともあるかもしれませんね。ただ大規模になっ たときにはオブジェクト指向の方がいいかなと。

--今後のオブジェクト指向はこうなってほしい、ですとか、こうなって行く んじゃないか、とかありますか。

そこまで大それたことは・・・(笑)。不満な点も今のところはないですね。 今結構気に入った環境があるので、日々少しずつやっていこうかなという 感じです。

--UML はあまり使われないんですか。

使うことは使います。ただ Web だと表示しづらいですよね。初心者向けの 内容で UML を使ってクラス図とか書くと逆にわかりづらくなっちゃうんです よね。UML の図があって、それを見てもわからなくて。で、シーケンス図を 見て、やっぱりわからなくて、ソースコード見てやっとわかる、みたいな。 それよりは、ソースコードベースでやって、考え方はこうなんですよって いう説明を書いた方がいいと思うんですよ。使うのはユースケース図くらい ですかね。

--実は、今度、オブジェクトの広場の編集委員で JavaWorld 誌に初心者向けの UML 講座みたいなものを連載する予定なんですよ。Java プログラマの方に 入門レベルで UML をどう紹介していくのか、みたいなことをやりますので、 ぜひご覧になってください。

そういうのは、ソースコードとクラス図の対比がちゃんとある、みたいな。

--そうですね。どちらかというと、すごく抽象度の高い説明って多いじゃな いですか。それだと、現場のプログラマって全然うれしくないんですよね。 プログラムのソースを全部見なくてもソースのかたまり感がわかる程度 のクラス図を示してあげれば、モデルのメリットってわかって頂けると思う んですよね。


実は秋葉系!?

--オブジェクト以外の趣味などはありますか。

以前はテーブルトーク RPG でよく遊んでいましたね。あとは、ジョブナイル 系の小説を読んだりとか。

--「テーブルトーク RPG」や「ジョブナイル系」とは何でしょう?

テーブルトーク RPG はボードゲームみたいな感じの物ですね。ジョブナイル 系の小説というのは、意味的には三文小説みたいな感じですかね。昔で言うと ロードス島戦記とかですね。今だと都市シリーズとか出ているんですが。

-- SF 小説ですか?

そうですね。SF 小説です。コミックの小説版みたいなものです。秋葉原に よくいる人たちが結構読んでいたりしますね。

--秋葉原にはよく行かれるんですか。

結構行きますよ。秋葉原のゲームセンターにはよく行きます。

インタビュー風景


--最近特にこれにはまっている、っていうゲームとかありますか。

タイトーさんの出しているシューティングゲームとかが好きですね。やっても すぐゲームオーバーになってしまうんですが。画面を見ているだけでも楽しい んですよ。

--じゃあ、休日は Web のコンテンツを制作するか・・・

あとは秋葉原に行って遊んだりですね(笑)。



こんぴゅーたさま、ZapZapZap

--これもお聞きしたかったんですが、HP に「こんぴゅーたさま」などが出て きますが、あれって何ですか?

ああいうのを紹介しているページがあって、それを見たときにめちゃめちゃ 笑ってしまったんですよ。それで、こういうので作れないかなと思ったんです。

--もともと海外でああいうのがあったんですか。

そうです。ZapZapZap は完全に元ネタのですね。

--あれはレーザー ・・・

レーザーピストルの発射音です。でもレーザーピストルって、音は出なさそう ですよね。アメコミの擬音みたいな感じなんですかね。

--「処刑」などの表現もよく出てきますよね。あの辺って、雑誌の編集者の 方から何か言ってきませんか?

インタビュー風景

特には言われませんでしたね。一度、プログラムの中で「デザインパターンを やらなければ、死ね」って書いたら、「死ねはまずいでしょう」ということ で、「やらなければ、×ね」と「死」の部分が伏せ字になっているってことは ありましたね。

--あのスタイルはちょっと他にないですよねー 。

目立つには、それくらいやらないと目立てないっていうのはありますね。 今から Java のページを立ち上げても、たぶん流行らないと思うんですよ。 もういろいろ出ちゃってますから。その中で目立つことを考えると、奇抜な ことをやるか、あとは切り口を全く変えるとかしかないですよね。



最近の活動

--最近、具体的にモノを作ったりなさっていますか。

epojava というのを作りましたね。元々ある人が YaTeX とか yahtml などを作られていたんですが、それを C とか Java とかに拡張できないかな、と思って yajava とかやっていたんです。今度、その YaTeX を作っている方が EPO (Editing Process Organizer)っていうのを作って、じゃあそれを Java にカスタマイズしようってことで、 epojava を作ったんですよね。

--他に、何かこの場で宣伝したいことなどありますか。

epojava を皆さんに使って頂けたら、というのはありますね。あと、本が出版 されるんです。デザインパターンって難しいですよね。今の日本の土壌って、 オブジェクト指向がまだそんなに浸透してない感じで、それでいきなりデザイン パターンとか言っても難しいかなっていうのがあって。その辺を、オブジェクト 指向の基本からやっていこうという内容なんですけど。まだ発売日は決まって いないんですが。

--今後、HP であの辺のコンテンツはこうしよう、などの方向性はありますか。

この前、Jakarta の ORO のあたりをちょっと書いたんです。まあ、その周辺って 感じになると思います。この前は Ant をやって。assert とかも書こうかと思った んですけど、あれ、見た感じあんまりよくないかなと思ってやめてしまったん ですよね。

--最近 Java もエンタープライズ系にかなり行ってしまっていて、なんだか趣味 で楽しくっていうよりは、話がだんだんビジネスよりになってきていますよね。 今後その辺はどうなさっていくんですか。

そこまでまだたどり着けないっていう人は結構いると思うんですよ。その辺の 中間くらいでやっていこうかな、と。

--基本的な、足腰の部分でやっていこうと?

教育とかで 「Java 勉強しました」っていって、それでちゃんとオブジェクト 指向ができているかっていうと全然ダメでっていうことがあって。「Java 覚 えました」って言って、「じゃあ作ってください」って言うと何もできない ってこともあると思うんですよ。その辺の橋渡し的なことができたらな、と 思っているんです。デザインパターンにしてもそうで、覚えるだけじゃなくて、 根底にある考え方みたいのを学ばないとだめだと思うんですよね。

--今日お話を伺っていて感じたのですが、フットワークがとても軽いですよね。 興味を持った所は、パッパッっとすぐにお調べになって。それはやっぱり、 お好きだからなんでしょうね。 本日はありがとうございました。



記事の内容を5点満点で評価してください。
1点 2点 3点 4点 5点
記事に関するコメントがあれば併せてご記入ください。
  



© 2002 OGIS-RI Co., Ltd.
Prev Index Next
Prev. Index Next