ObjectSquare [2013 年 12 月号]

[レポート]


3人じゃないと使えないソフトウェア コンテスト

3人じゃないと使えないソフトウェア コンテスト 本選レポート

株式会社 オージス総研 3人じゃないと使えないソフトウェア コンテスト事務局 宇佐美恭子


オージス総研が主催する学生向けソフトウェアコンテストも4回目を迎えました。
「将来 IT 技術者となる若い学生の皆さんに柔軟で大胆な発想力を駆使してソフトウェアの新たな可能性にチャレンジして欲しい、コンテストを通じて将来ソフトウェアの世界で活躍する日本を代表するような技術者が出てきて欲しい」との思いはそのままに、毎年、新しいテーマを設定しています。 今年のテーマは「3人じゃないと使えないソフトウェア コンテスト」。 「3人」ということをどのようにアイデアに反映するかが重要になりそうな気がしますが、参加者はどのように考えて、アイデアを広げていったのでしょうか?

2013年7月にエントリーを開始したところ、全国から多数のエントリーがありました。 新規のエントリーだけでなく、過去のコンテストの応募者や入賞経験者も多数含まれていました。
エントリーしたチームの中から35作品が寄せられ、一次書類審査、二次書類審査を経て、6チーム(6作品)が本選に進みました。
今回は本選に進んだ6チーム全てが近畿圏のチームでした。

本選は2012年11月14日、ドームシティガスビル(大阪市西区)で開催されました。
約5時間に渡り、各チームが熱のこもったプレゼンを展開し、各賞が決まりました。

本レポートでは、受賞した6作品のアイデアの内容紹介を中心に本選の様子をお伝えします。
また、受賞された各チームにご協力いただき、コンテスト応募の際に提出いただいたソフトウェアの「アイデアを説明する文書」をご覧いただくことができます。 各作品の説明の最後に付けた「アイデアを説明する文書」へのリンクからご覧ください。



受賞作品のご紹介

優勝

チーム 「 俺のノートパソコンがこんなに軽いわけがない 」
タイトル 「 知育アプリ「おとなトリオ」 」

奈良工業高等専門学校 電子情報工学専攻 矢野 完人さん、上岡 真也さん、小川 夏輝さん

優勝チーム 俺のノートパソコンがこんなに軽いわけがない

どんなアプリ?

3人の参加者同士で様々な社会活動を体験する知育アプリ。
スマートフォンやタブレットの普及は目ざましく、子どもが触れる機会も増え、知育アプリもたくさん登場している。 しかし、既存の知育アプリには人とのふれあいが少ない。 そこで、人とのふれあいがある知育アプリを開発しようと考えた。

特徴

- 社会の分かりにくい仕組みを、登場する役割を3つに省略することで分かりやすくした
- 社会活動の一部を切り取って「ミッション」とし、そのミッションをプレイヤが「うまく」終わらせることを目標とする

アプリの可能性

- 一つの物事でも複数の切り取りが可能
- 企業との連携

デモ機 デモ機で挑戦

デモ機[左写真]、審査員がデモ機でアプリを体験![右写真]

スマートフォンやタブレットに興味を示す子供はたくさんいると思います。 そんな子供たちが楽しみながら、スマートフォンやタブレットの正しい使い方を知ることもできそうです。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 知育アプリ「おとなトリオ」 」 (PDF: 約 1.8MB)


準優勝

チーム 「 チーム逆三角形Y feat.その他 」
タイトル 「 RGBオセロ 」

大阪工業大学 吉田 匠汰さん、平野 絵里さん、竹上 優希さん、服部 正寛さん、山崎 健一さん

準優勝チーム チーム逆三角形Y feat.その他

企画趣旨

RGBオセロは3人でできるゲーム、かつ子供から大人まで気軽に遊べる事を題材に企画した。
三原色を使うことにより、子供には遊びながらの三原色の勉強、また大人には3人での駆け引きや読みあいを狙いとしたゲームである。

概要

RGBオセロとは、その名前の通り赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三色の石を使うオセロである。
また盤面、マスの形、石の形が三角形で構成されており、オセロをベースにしてオリジナリティをふんだんに盛り込んだゲームである。

よりよくするために…

次のような機能が付加されれば、より楽しいゲームになると考える。
- 通信対戦機能
- 効果音やBGM
- 使用している言語を変更し、ゲームに文字を出す

三原色 盤面イメージ

三原色の説明[左写真]、ゲーム進行中の盤面イメージ[右写真]

「3人じゃないと使えない」というテーマを聞いた時、最初に思い浮かべたのがダイヤモンドゲームでした。
なので、3人で対戦するゲームのアイデアはいくつか出てくると思いましたが、このRGBオセロはルールに馴染みがあり、画面の見た目もカラフルで楽しくゲームできそうです。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 RGBオセロ 」 (PDF: 約 102KB)


若手審査員特別賞

チーム 「 NPうーさん 」
タイトル 「 チケットあるけど相手がいない 」

関西学院大学 山村 太樹さん、中城 知美さん、松尾 瞭汰さん、松井 知美さん

若手審査員特別賞 NPうーさん

コンセプト

友達の友達の中から「行きたい」「趣味が合う」という人を紹介という形でマッチングするソフトウェア

使い方

1. 「友達Aの友達のリスト」から一緒に行きたい人、趣味の合う人を探す
2. 友達Aにどうゆう意図で友達を紹介して欲しいか送る
3. 友達Aは紹介するかどうか、判断する
チケット情報を登録しておくと、その情報を見て、自分の友達を紹介したり、共通の友達に紹介を頼むこともできる

まとめ

- 友人の紹介という形で人を探すので、身元が保証されており、安心して一緒に行くことができる
- SNSを検索する手間が省け、リストから趣味の合う人を簡単に探すことができる

目的 システム

目的[左写真]、システム[[右写真]の説明中

個人的には今回のコンテストで出てきたアイデアの中で一番欲しいと思ったのが、このソフトウェアでした。 こんなソフトウェアがあれば、友人に紹介をお願いするのもスムーズにできそうです。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 チケットあるけど相手がいない 」 (PDF: 約 2.39MB)


審査員特別賞

チーム 「 wisteria 」
タイトル 「 3PM〜3 Person Music〜 」

和歌山大学 佐藤 優美さん、山本 明依さん、竹之下 遼さん

審査員特別賞 wisteria

背景

音楽を愛する仲間が欲しい
音楽を通じて世界と交流したい
思いついたフレーズを試したい

そんなあなたのために3PMはあります

機能

曲調と楽器を選び、メンバーをマッチングする
演奏を行なうスタジオを選択し、3人でセッションする
音楽制作後は他の人が作った音楽を探したり、評価したり、ダウンロードすることができる

まとめ

3PMは、音楽を愛する世界中の人々が言語の壁を乗り越えてつながることのできるアプリケーションです。
世界中から集まったユーザーのさまざまな音楽の形に触れ、協力して制作する楽しみを感じ取ってもらうとともに、ユーザーの音楽を世界に発信するサポートをします。
発信された音楽が音楽業界の目に留まることで、新たなスターが生まれることもあるでしょう。

システムの流れ スタジオ

システムの流れ[左写真]、スタジオ[右写真]について説明中

これも使ってみたいと思ったソフトウェアです。 スマートフォンやタブレット上で作られた音ではなく、生の音を取り入れたり、いろんな広がりが考えられそうです。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 3PM〜3 Person Music〜 」 (PDF: 約 3.46MB)


審査員特別賞

チーム 「 WLD 」
タイトル 「 DELTA GUARD 」

和歌山大学 システム工学部 デザイン情報学科 住田 純さん、佐藤 千瑛子さん、金田 幸裕さん、川上 茉莉さん、渡邊 隆介さん、上西 綺香さん

審査員特別賞 WLD

コンセプト

子供を取り巻く問題点として、「先生や学校に対する親の不信感」「事件や犯罪に巻き込まれる危険性」「携帯電話からの有害な情報」などがあります。 DELTA GUARDはこれらの問題点から子どもたちを守り、親と先生に安心を届けるシステムです。

機能

状況確認(ミマモルンジャー):出欠を自動で管理。親と先生のコミュニケーションをスムーズにします。
危険通知(タスケルンジャー):危険場所にはICリーダーを設置。子供の移動速度も感知します。
連絡機能(シラセルンジャー):学校や公園に専用のタブレットを設置。携帯なしでも連絡がとれます。

DELTA GUARDのある社会

先生と親の平和を守る!
子どもを危険に近づけない!
携帯を持たせず子供を見守る!

WLD1 WLD2

迫真の演技ありのプレゼン[写真]

子どもを守るには親、先生、地域などの協力が必要で、それらの要素が戦隊ヒーローに例えられているのが面白いと思いました。 また、戦隊ヒーローが守ってくれるというのは、子どもにとって、夢のある設定かもしれません。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 DELTA GUARD 」 (PDF: 約 2.5MB)
アイデアを説明する文書「 DELTA GUARD 補足資料 」 (PDF: 約 198KB)


審査員特別賞

チーム 「 ACL 」
タイトル 「 Smile Innovation 」

立命館大学院 村上 希夢さん、山崎 亮さん

審査員特別賞 ACL

背景

近年、以下のような事態が起こっている。 - 少子化に伴う核家族世帯の増加
- コミュニケーション不足の顕在化

「Smile Innovation」は核家族のコミュニケーションを活性化し、コミュニケーション不足を解消し、家族の絆を深めるアプリである。

機能

掲示板へのメッセージ投稿
ユーザの誰かがメッセージを投稿すれば、参加者全員がそれを一度に見ることができる

コミュニケーションフォルダへのメッセージの投稿
通常は外から閲覧できないようになっていて、家族を驚かせたいことや家族が揃った時に言いたいことをメッセージとして登録しておく。 家族3人が揃い、それぞれがパスワードでログインした祭に初めて投稿した内容を見ることができる。

Smile Innovationのこれから

- ユーザの対象年齢の拡大
- 親元を離れている子どもとのコミュニケーションの活性化

ACL1 ACL2

プレゼンの様子[写真]

忙しかったり、離れて暮らしていたりして、家族全員が顔を合わせて会話できないご家庭はたくさんあると思います。 このソフトウェアが実現すればそんなご家庭で活用されるのではないでしょうか。

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。

アイデアを説明する文書「 Smile Innovation 」 (PDF: 約 434KB)




本選の様子

以下、本選の様子をご紹介してレポートを終えたいと思います。

本選スタート!

受付開始時間は11時。
ドームシティガスビル周辺が工事中のため、ビルの入口が分かり難いのではないかと気になりましたが、各チームとも受付時間内に到着。
受付を済ませ、決められた席に着きます。緊張の面持ちで座っているチーム、プレゼンに使うPCを取り出すチームなど、様々な様子で開始を待ちます。
当日の流れについて説明を受けた後、まずは発表の順序をくじ引きで決めました。
予定より前倒しの11時50分から作品ごとに20分間のプレゼンテーション、10分間の質疑応答を行ないました。 プレゼンではデモ機を用意するチーム、コスチュームを用意して寸劇を取り入れたチームなど、様々な工夫が行なわれていました。 質疑応答では審査員からの厳しい質問にも丁寧に回答したり、審査員からのアドバイスに耳を傾ける様子が見受けられました。 発表の間には15分間の休憩を挟み、16時過ぎまで6作品の発表が続きました。

審査員1 審査員2 会場

プレゼンに見入る審査員[左写真]、質問する審査員[中央写真]、会場全体の様子[右写真]

いよいよ審査へ・・・

発表終了後、審査員は審査のため別室へ移動し、各作品を評価し、受賞作品を決定します。
今回も若手社員による審査チームが編成され、2つに分かれて審査を行ないました。
審査の間、参加者の皆さんは懇談会場へ移動し、オージス総研の若手社員との懇談を行いました。約1時間と短い時間でしたが、良い交流ができたのではないでしょうか。

審査員 若手審査員 懇談会

審査中の審査員[左写真]、審査中の若手審査員[中央]、オージス総研技術者も交えた懇談会[右写真]

審査結果発表

17時30分、授賞式が始まりました。審査結果が発表され、各賞の授与を行いました。 授与後に各チームの代表者から一言コメントをいただきました。どのチームも物を作り上げていくプロセスの大切さや仲間と協力することの楽しさをあげていました。 各賞の授与が終わった後は審査員代表による講評、オージス総研社長 平山から「皆さんの今後がハッピーでありますように」との願いを込めたメッセージと続きました。
受賞式の後は懇親会が開かれました。参加者の皆さんは緊張から解放され、笑顔で歓談し、トロフィーや賞状を持っての記念撮影もしていました。 終了時間になっても、離れがたかったチームもあったようです。 最後に、受付でお渡しした名札を回収したのですが、「記念に持ち帰りたい」との御要望がたくさんありました。 去年参加された方の中には去年の名札を大事に持っている方もいるそうで、コンテストに参加したことを大事に思っていてくださることがわかり、事務局として嬉しく思います。

表彰 平山社長 懇談会

優勝チームの表彰[左写真]、学生の皆さんに向けて社長の平山がメッセージを伝える[中央写真]、懇親会の様子[右写真]


以上が本選の様子です。
本選に参加された皆さん、長い戦いの一日、本当にお疲れ様でした。 また、本コンテストに応募して下さったすべての皆さん、ありがとうございました。 皆さんに応募していただいて初めてコンテストは成り立ちます。 全力で戦っていただいた皆さんに心から今一度感謝の意を述べたいと思います。 ありがとうございました!

来年もオージス総研の「OGIS-RI Software Challenge Award」コンテストを開催する予定です。学生の皆さん、どうぞお楽しみに!




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