ObjectSquare [2014 年 2 月号]

[インタビュー]


3人じゃないと使えないソフトウェアコンテスト優勝チームインタビュー



■ はじめに

昨年11月14日に大阪で開催した学生の方々向けのソフトウェアアイデアコンテストである「3人じゃないと使えないソフトウェアコンテスト」本選で見事に優勝された「俺のノートパソコンがこんなに軽いわけがない」チームの方々をお招きし、コンテストを振り返っていろいろとお話を伺いました。

なお、優勝した作品のアイデアについては「3人じゃないと使えないソフトウェアコンテスト 本選レポート」の受賞作品のご紹介の中で、「アイデアを説明する文書」のリンクからご覧いただけます。

矢野さん 小川さん 上岡さん

俺のノートパソコンがこんなに軽いわけがないチーム:(写真左より)奈良工業高等専門学校 専攻科 電子情報工学専攻2年 矢野 完人さん小川 夏樹さん上岡 真也さん

インタビュアー:オージス総研 技術部アジャイル開発センター長 藤井 拓

■ コンテストに応募されたきっかけ

--- 今日はコンテストについてと、あと、そもそも高専ってどういうことを勉強されてるのかなというところも含めてお伺いしたいと思います。今回、コンテストに応募された動機というか、きっかけは何だったんでしょうか。

矢野: きっかけは、うちの学科の中に(コンテストのポスターが)貼ってあったんですよね。で、「面白いな」っていう話を、結構、他の研究室の人達ともしてて、何回か研究室でネタ出しをしました。

小川: 話題になって。

矢野: なんかお昼ご飯のときとかに、「これ、難しいテーマやんな」とか言いながら、「どんなん応募すりゃいいんやろね」とかっていう話をしながらネタ出しをして、でも結局、ネタがまとまらず。

小川: なんか難し過ぎることに気付いて、「これは結構、競争率が低いんじゃないかな」っていう。

--- そういう読みがあったわけですね。

小川: 結構、一発面白いネタがあれば、これは勝てるんじゃないかっていうところで、「なんか面白いのを考えよう」っていう話になったんですよね。

矢野: そうです、そうです。でも結局なんか、「もうこれだ」っていう、全員が「行け」みたいに言えるようなネタが出なくて。で、結局、皆でまとまって出さずにそれぞれで出したんです。

小川: 僕はすごい面白いネタを思い付いたんで出したんですけど、それが書類選考で落ちて・・・一次で。

--- そうですか。

矢野: で、私が出したネタが無事一次を通させていただいて。もともと私が一人で応募したときは、「もうこれ一人で賞金をゲットしに頑張ろうかな」とかって思ったんですけど、(コンテストのテーマが)3人じゃないですか。3人なのに一人で出て一人で実演するのか、と思ったときに、それはなんか寂しいし、絵にもならへんな、と思いまして。で、方向転換をしました。彼(上岡さん)は優秀なプログラマーなんで。

上岡: いえ、そんな、そんな。

矢野: 彼に声を掛けて、「コード書いてくれへん?」っていう話になって、とりあえずプログラミングに関してはすべて彼に投げることにして。で、もう一つ、あとまだ一人必要やな、と思ったら(小川さんが)「落ちた」って言ってたんで、もう一人ちょっと「来る?」っていう話をしました。

小川: 僕も一人で、賞金をかっさらいに行こうかなと思ってたんですけど、落ちちゃったんで。

矢野: で、彼(小川さん)に声を掛けて、「発表とかのときに頑張ってくれ」っていう話になりました。私はとりあえず資料とか揃えるからって。・・・あとはパパッという感じかな。

上岡: そうですね。僕はもう本当にコードしか書いてない。

矢野: 私は資料しか作ってないし。彼(小川さん)は・・・。

小川: 雑務ですね。なんか雑務をしてました。

矢野: (小川さんは)デモのストーリーを作ってくれました。物語の進行を制御するコードを書いてくれて。いわゆるスクリプトですね。

■ ここで高専について

インタビュー風景

--- 今、高専では何年生なんですか。いや、高専というと5年制というイメージがあったんで、みんなすごい若いのかなって、他のチームと比べて平均年齢が若いんじゃないかな、と思ってたんですけど。

矢野: 若いですよ。一応、大学4回生と同じなんですかね。

上岡: 大学4回生と同じ、本当は高専の専攻科2年というところに居るんですけど、4回生と同じ学年です。

矢野: まあ7年生って言った方が分かりやすいのかな。7年生みたいなもんです。専攻科あるのってご存じですかね。専攻科っていって、大学の3、4回生相当のやつを用意していて。短大とかにもあるんですけど、高専にもありまして。なんで、高専を一応卒業してるんですよ、僕ら。で、高専を卒業して、高専の専攻科っていうところに、また受験して入り直してるんですよね。で、あと2年分やってるっていう中の2年生なんで、大学4回生と同じかな、っていう。

--- そうですか。大学院的なところ・・

矢野: 大学院ではないんですよね。ここからまた大学院に、全員進学予定なんで。なんで、大学院じゃなくて、3、4回生相当で、学位を取りにきました、みたいになるかな。高専本科で一応専門研究っていうのをやるのは5年生だけなんですけど、専攻科はもうフルで研究してるんで、3年ぐらい研究していることになるんですかね、私たちは、はい。


■ 作品の発想

--- 今回の賞を取られた作品っていうのはどういうふうに発想されたんですか。

矢野: ネタ出しの間に、実は今回のコンテストの本選に残ってらっしゃったチームに似た内容が大体出てたんですよね。でもどれもなんか最後の一押しが足りないなと。

上岡: 面白くなかったからね。

小川: いろんなのが出たもんね。親と子で核家族とか。太陽と地球と月とか。よく分かんないけど、3に関するものをいろいろ出したんです。

矢野: 出したんですけど、「なんかどれもやりにくそうだね」とかっていう話になって。このメンバーって実は、これまで、高専関連のプログラミングコンテストとかで、戦ってきてまして・・・

--- そうですか。

矢野: プログラミングコンテストでは、社会派のアプリっていうか、社会問題を解決しよう、とかっていうテーマが向こうから出題されてることがあって、そういう系で攻めようか、みたいな感じが私の中であったんですよ。で、なんか最近、結構スマホとかが好きなんで触ってると、知育アプリが増えてるな、っていうことに気が付いて、これはビッグウエーブだと。なら知育アプリで攻めたらいいかな、と思って。一番最初に知育アプリが出てきたんで、それに関連付けていこうと思って、3というのをつなげていったような感じだったような・・・あんまりちゃんと覚えてないんですけど、そんな気がしますね。

--- なるほど。

矢野: 多分一番最初のネタ出しの時点というか、応募させていただいた一次書類のときに、もっとすごい風呂敷は広げてたんですけど、最終案のアイデアは完全に出てた感じだったと思います。

■ 知育アプリとゲーム

--- 知育アプリっていうことだったんですけど、やっぱり3人の人がそれぞれ役割を持って、一つのシナリオの中で、体験、シミュレートするわけじゃないですか、実体験を。そういうところが割と面白いな、っていうふうにみんな思ったところじゃないかと。ロールプレイングを使うっていうこと自身は、どういうふうに発想が出たんですか。

小川: そうですね。恋愛をシミュレーションするゲームが好きな人が、やっぱり多いので、高専っていう学校は。ものすごいなじみ深いんですよ、僕らにとって。いろいろあると思うんですけど、もともとPSとかでやってたゲームが最近なんかタブレットになってたりしてて、例えば何でしょう、かまいたちの夜とか。要するになんかテキストを読んで、小説なんだけどサウンドが付いてて、サウンドノベルとか、そういう系はものすごくタブレットと相性がいいし、僕らもなじみ深いんで、多分自然とそういう形になったのかなって。

上岡: 自然とそういう形になった気がしますね。

---でもそれは自分たちがゲームをやって、例えば面白いっていう体験であって、それが教育に役に立つっていうところにまだ飛躍があるじゃないですか。それを無理くりくっつけて・・・。

矢野: 無理やりくっつけたというか・・・なんか、ゲームって、そういう系じゃなくてもいいけど、なんか結構勉強になることってあるなと思ってて。DSとかでもガチ勉強系のゲームじゃなくても、私が中学校のときにやってたアクションゲームでも、結構社会派の「戦争とは何なのか」みたいなのを考えさせるようなテーマを取ってたりですとか、なんか「仲間との関係とはどういうものなのか」みたいな、ストーリーを面白くするにはそういう内容も入ってきますよね。

---そうなんですか。

小川: ゲームが面白いから、そのゲームに関する知識が増えていく事があって、三国志のゲームやって三国志に詳しくなったりとか、サッカーゲームやって世界のサッカー選手に詳しくなったりとか。プロ野球とかもそうですし、最近だと戦艦に詳しくなったりとかっていうのもあるんで、そういうゲームが面白いっていうのが根底にあって。そこから教育に結びつく要素は大きいなというのがありますね。

矢野: で、なんか、普通に「勉強しないといけない」って言ってもなかなか社会なんか学べないっていうふうに思ってて。でもなんかこう、「一般常識」みたいなのを結構ゲームから吸収してるかな、っていうイメージが自分たちの中であったんで。絶対ゲームなかったら今の自分がない気はしてますし。

---なるほど。

矢野: なので、そのゲーム=(イコール)教育っていうの、あんまり僕らの中で壁がなくて。低いっていうか。

---つながってた?

矢野: そう。あんまり、違和感ないよね。ゲームで勉強したっていうか、社会のシステムを知るみたいなの。へえ、冷戦ってこんなんだったんだ、みたいなのとか、メタルギアやってたら出てきますからね。

小川: そうですね。なんかね、そういうのがないゲームをやってると、ちょっと僕はむなしさを感じるので。なめこ抜いてるだけじゃやっぱり、楽しいんですけど、何か別に・・・。

矢野: 学ばない。

小川: はい。知識が増えるわけでも、興味の対象が増えるわけでもないので、そこはやっぱり、なんか考えさせるもの、みたいなものがあったほうがゲームは楽しいし、なんかやり終わってから残るものがあるのが、僕はすごくいいなと思ってますね。

■ チームの分担は

--- 作品を作っていく上で、基本構想みたいな部分と、実際にソフトウェア作る部分と、あとロールプレイング、シナリオ考えていくっていうとこがあったと思うんですけど、そこら辺は分担されたんだっけ?

上岡: ソフトウェア。ソフトウェアだけです。

矢野: で、(私が)構想出して、資料全部作って・・・。

小川: シナリオ書きました。

インタビュー風景

--- そうですか。なるほど。そこ、三者、強みが融合したっていうか、シナジー効果があったわけですね。

矢野: はい。

小川: そうですね。

矢野: (これまでやってきた中で)一番よく働いてたもんね。全員が。

--- プレゼンの分担はどういうふうにされたんですか。

矢野: お恥ずかしながら、毎回のことなんですけど、彼(上岡さん)は前日、当日までコードを書いてまして・・・とりあえず、もう完全にデモができる状態を作ってくれ・・・。

--- 去年もそういう話ありましたけど(笑)。同じシチュエーションです。

矢野: 前日に、「もう頼んだぞ」って言って、「デモはこのまま作っといて」って言って、彼(小川さん)にはスクリプト・・・。

小川: そうですね。シナリオは僕が書いたんで、そこのデモのときの説明は僕がするっていうところに落ち着いて、それ以外は全部彼(矢野さん)が。

矢野: 「スクリプトを頑張ってくれ」って言って前日任せて、「私はプレゼンを頑張る」とか言って。前日、プレゼンが完成してなかったんで、前日の夜に完成した形で。

--- じゃあ練習なしのぶっつけ本番っていう?

矢野: 練習してないです。

小川: してないね。

上岡: はい。で、プレゼンファイル見たの、僕、会場だよね。

小川: そうですね。

矢野: 夜中に一応、ドロップボックスの共有を、全員にURL上げてたんですけど、誰も多分見てないんで。

小川: 見て、なんか軽くコメントしたんですけども、前日だし修正効かないよね、みたいな。「まあまあ、こんな感じで、まあ、こう、ざっくり、こうかな」みたいな、ざっくりな話しかできなくて。修正効く部分だけこうしたらいいんじゃないでしょうか、っていう。

--- じゃあ本選はもうかなりドキドキだったんじゃないですか。

矢野: どうなんかな。でも・・・。

小川: 慣れっこですね。

矢野: そう。慣れちゃ駄目だと思うんですけど、慣れっこになっちゃってて。で、話の中で、デモが動いてちゃんとできたらいいところまでいける、っていう話が共通の認識であって。なんで、もうデモがとりあえず、まあ、結構動く状態になってきてたんで、これはデモ推せば勝てるぞ、って思ったんで。そんなにすごい緊張はしてなかったかもしれないですね。

小川: あんまりプレゼンに作りこむリソースよりは、動くものをどう良く見せるか、みたいなほうに向いてたかな。

矢野: なんで、動かなかったとき・・・動かなかったあのときが一番ドキッとしましたね。

--- あれはちょっと、かなり・・・。もうちょっと時間がたってしまったら、多分あれでもう、かなりマイナスイメージになって。

矢野: そう。かもしれないんですけど。まあそこは神様が味方してくれたというか、運があったというか。

■ 作品を作り上げる過程

--- どうやって自分たちのアイデアを、お互い話し合ったんですかね。例えばプログラミングする人と、全体構想とシナリオって、それぞれどう考えてるか、っていう話をうまく融合していかなくちゃいけなかったじゃないですか。

矢野: そんなに融合させてないですね。もう完全に、私の(頭の)中でどういうのを作りたいっていうのがあって、でも風呂敷広げ過ぎてるんで、実現可能性っていう意味で低い部分が結構たくさんあったんですよ。なんで、(上岡さんと)二人でとりあえず、一番最初は「サーバーも要るかな」っていう話をしてて、サーバーがもしあったら私がコードを書くっていうことになってたんですけど、風呂敷の広げ過ぎな話をしてて、技術的にどこまでできるかっていう話をここで(上岡さんと)すりあわせて。

上岡: 納期とか考えて、今の形に。

矢野: 「とりあえずこの機能とこの機能は要るから、絶対に実装してくれ」っていう、「見せる段階でそれが絶対要るから」、みたいな形でしたね。ここで完成した、その用意されてる機能の中で、彼(小川さん)がいかに面白いシナリオを作るか、みたいなのを考えてくれたんで。

小川: あんまり根元は揺らいでなくて、機能の話ばっかりじゃないかな。

矢野: そうそう。一番最初のコンセプトは、もう一次資料を送った時点で決まってたんで、一次資料が通ったんで、このネタで進んじゃってもいいかと、私の中で思ったんで。

--- その一次審査のときの書類をベースに、全部、詳細は上岡さんが決めていったっていう感じですか。ソフトウェアとして細かいところを。

上岡: そうですね。必要なところを二人で話して。

矢野: とりあえず、なんかサクサク動いてほしいっていう、ヌルヌル動くのが、やっぱり重要かなと思ってて、画面のヌルサクさを一番最初に私が要求したんです。それで、その中で一番何で作るのがいいかな、っていう話から始めたんですよ。で、TitaniumとかPhone Gapっていうようなフレームワーク使って作るほうがいいのか、それともネイティブのJavaたたいて作るのがいいのかっていう話を二人でして。TitaniumとかPhone Gapを調べてると、Bluetoothとかをたたくときに、大変だっていう話があって、「プラグイン買わないかんらしいで」とかっていう話になって、「それ、なんか大変やね」っていう話になったんですよ。で、彼(上岡さん)がその中で、「Webkitのコントロールを放り込んで、HTMLファイルでヌルサクを実装すれば、きっとサクサク動くんじゃないか」って言いだして、「Webkitで(イベント処理とか)実装できんの?」ってこっちが言ったら、とりあえずその日のうちに実装してくれたんで。

--- なるほど。

矢野: 「ああ、ほんじゃ、この方向で行けるんか」っていう話をして、あとは画面構成を適当に彼(上岡さん)が考えてくれて。

上岡: 実装ベースに、すんなり。

矢野: 結構、本当にコードベースというか実装ベースで。で、画面の構成も多分書きやすいように、彼(上岡さん)が書きやすいコードで上がってきたものを微妙に、「ここの部分、何色にならない?」とかっていうのを修正してもらって、完成したような形ですね。なんで、上がってきたものを、例えば「しゃべってるキャラが分かりにくいから、大きくしてよ」とかっていうようなのを、後からちょっとずつ要望して、「それぐらいすぐできる?」って言ったら、彼は「ああ、余裕、余裕」って言うんで、「そんじゃあ、頼む」って言って、そういう感じで完成したのかな。

■ ちなみにアジャイル開発は・・

--- ちなみにアジャイル開発、というのは意識されて開発されてたりしなかったんですか。

矢野: アジャイル。基本、アジャイル。

--- いや、例えばスクラムの場合、プロダクトオーナーっていう人が、こんな機能を作ってほしいっていうのと、優先順位を設定してて、開発チームがどこまで作るかっていうのを判断して、2週間とか1週間のスプリントサイクルで動くソフトを作っていくって形なんですけど、お話聞いてると、優先順位とかユーザーストーリー的な機能の要求をまとめていく形は似てるかな。ただ、多分サイクルが長かったり、短かったり、一定のサイクルじゃないのかな、っていう気が。

矢野: あんまり意識はしてない。結果論ではね。

小川: そうですね。自然と、っていう感じですね。

矢野: デザインとかの部分では、なんか、多分全員の共通認識があって、画面構成、下にこういうものが出てて、ここになんか選択肢が出るとかっていうのは、多分全員の認識があったんで、何も言わなくてもそれっぽいのが上がってくるだろうっていう信頼があったんで、事実上がってきたんで、何も問題なく開発が進んだという感じですね。

--- 大体アジャイル開発とかスクラムの場合は、プロダクトオーナーが抽象的に「こんなものを作ってほしい」って言うものを、開発者側が細かいところは自分たちで決めて具体化してレビューしてもらって、「ここ違うね」って言ったら次にまたそれを修正していく、っていう感じにしていくんで、それを、本当に共通イメージを持って開発されたっていう。

矢野: そういうことですね。彼が何のコードを書くのが得意とか、彼のやろうとしてることを、この技術を使ってどういうふうに実装するのか、っていうのも、何となく分かってたんで。

■ 本選当日のこと

--- 本選当日、他のチームの発表を聞かれて、どう思われました?一番ライバルと思ったチームはどこだったんですか?強敵。

小川: 多分それぞれ違うんじゃない?

矢野: 多分違う。私は戦隊もの。

小川: 僕はやっぱりチケットが。いいアイデアですよね。(自分も近いことを)思ってたし・・・。

--- 共感します?

小川: はい。それに、動くものがあったっていうこともあって。ちゃんとアンドロイドで作ってあったし。デモが動かなかったのはちょっと痛かったですけど、でもやっぱり、いいネタだな、と思ってたんで。

上岡: そうですね。

矢野: 私は戦隊ものかな。やっぱりデザイン系の学科だってお伺いしたんですけど、「プレゼンとかがきれいだな」っていうお話をしてて、見せ方もお上手だな、と思ったんで。動くものがなかったけども・・・。プレゼンは良かったし、やりたいことも分かりやすくて、やばいんじゃないかな、っていう話をして。

小川: デザインも良かったよね。

--- 教育系でぶつかった、っていうのもあるんですね。シチュエーションがちょっとかぶってる。

矢野: 微妙にかぶってますもんね。

--- とはいうものの、結構自信があったわけなんですよね、きっと本選が終わった段階で。

矢野: どうなんかな。本選が終わった段階では微妙。

上岡: うん、微妙。

--- そうですか。表彰式とかは、じゃあちょっとドキドキ?

矢野: ドキドキでしたね。

--- どこら辺に行くと思いました?

矢野: えーっと、3位以内には、何とか賞って付くぐらいにはなってるかもしれないよね、っていう話を、してはいないけど、何となくそう思ってたよね。

--- 期待はあったと。で、決まった瞬間は、どうだったんですか。

矢野: いやもうなんか、3位から発表やったっけ?3位、2位ぐらいで、お、これは来たんじゃね?みたいな。ただオセロが2位になるっていうのがあんまり思ってなかって、2位、オセロと来たか、っていう、どうなるのやろ、っていうのはあったんですけど。

--- 自分たちのライバルと思ってないチームが来たから?

矢野: でも、どれもデモがちゃんと動いてた系なんで、そっちのほうが重視されてるのかな、っていうのが。

--- それは偶然ですね。とはいえ、これまで4回コンテストを開催したんですけど、その優勝チームのうち3チームはソフトウェアのデモしてましたね。

矢野: やっぱり。

--- ただ、アイデアが本当に飛び抜けてたら、そのアイデアのレベルでちょっと見劣りしたものが動くものであっても、負けるかもしれないです。

矢野: それはそうですよね。

■ 優勝の反響

--- コンテストで優勝された後、反響とかどうだったんでしょう。学校とかで、同級生の方とか、研究室の方とか。

矢野: 反響。いや、出るからには優勝を目指してたんで、一応「頑張って優勝するぜ」みたいなことを言ってたけど、誰も信用してなかったんじゃないですかね。なんで、帰ってきて、「おう、マジで優勝したぞ」っていう話をしたら、「おう」って本当に驚いてた人が多かった気がしますね。

小川: 「いいね」はたくさん付きましたね。

--- よくある話は、その後、「おごってください」っていうのが例年のパターンなんですけど。

矢野: おごってくださいは、あんまりなかったんじゃないかな。

小川: なんか彼、ずっと「勝つと車を買う」って公言してて・・・。むしろ「車に乗せてください」っていうのが多かったですね。「乗せて。ラーメン食いに行こう」みたいな話ばっかりですね。

矢野: はい。あとは研究室の指導教員の先生にえらく喜んでいただき。

--- そうですか。それは良かった。

矢野: 一応、このメンバーで初めて優勝したんで。積年の、これまで辛酸をなめられ続けてた中での、最後、高専最後で・・・。学科のホームページにも載せて頂きましたし。

--- そうなんですか。

矢野: はい。歓迎していただきました。だいぶ、教員方に喜んでいただいたっていうか。ボスは大喜びでした。トロフィーは研究室に置いてあります。

--- 今回、コンテストに出場して、良かった点はなんでしょうか。

矢野: いや、本当に優勝できたことが良かった点。本当に、はい。昔、参加したコンテストで、開発総指揮みたいなのをしてたんですけどマネジメントに失敗して、なんかすごいグチャグチャってなって、結局彼(上岡さん)がデスマーチをして、ものすごい一人でコードを書き続けて、あー、っていうふうに思った経験があったんで、とりあえずなんかいい思いをさせてあげたいな、って思ってて、そういう気で資料も作ってましたし。勝って、最後だし、なんか記録に残したいなっていうような、罪滅ぼしができたみたいな、良かったかな、みたいな。

小川: そういう意味では成長を実感できたのかもしれないですね。

■ ところで、皆さんの趣味は?

--- 皆さん、趣味はどんな?

インタビュー風景

矢野: 趣味は何ですか。面白いこと言えよ(笑)

上岡: コード書くぐらいしかたしなめないです。

矢野: そうなんですか?・・まぁ最近コードしか書いてないもんな。

上岡: コードしか書かないですね。

矢野: 最近Haskellにはまったらしくて。ここ1、2週間ぐらいはずっとHaskellの話をし続けてる・・・なんかそんな人ですね。

小川: 僕はシミュレーション全般が好きなんで、恋愛シミュレーションとかも好きなんですけど。人間の思考を、どうなってるのかな、みたいなのを考えるのも趣味だし、SNSとかで人間を観察するのも趣味だし。あと僕、将棋が好きなんですよ。将棋を毎日指してて。将棋もシミュレーションの世界なんですよ。僕、人生は将棋だと思ってて。この話、長くなるんでやめときますけど、いろんなものを将棋で考えるくせがあって。趣味を聞かれたら将棋って言うことにしてます。

矢野: お風呂でずっと、毎日打ってるらしいですよ。

小川: そうなんですよ。スマホを持ち込んで、入浴中に絶対3局、毎日3局指して。

--- 3局指すの?

小川: はい。しかもアプリで課金して、プロの対局の配信とかあるんですけど、僕、課金して毎日見てます。最近は「艦これ」よりも将棋が熱いですね。

矢野: すごいなんか真面目な趣味の話すんね。・・・最後、私か。結構、にわか系のオタクなんで。

--- それ、どういうことですか。

矢野: 難しいですけど、なんかこう、例えば「アニメが大好きです」とか、「ゲームが大好きです」とかって大手を振って言えるほどそれらに情熱を注いではいないんですけど、なんか流行ってるアニメがあったらボーっと見てたりとか、流行ってるゲームがあったら、最近だと「艦これ」っていうゲームが流行ってるんですけど、それをバーッてやり始めたら、バーッてやってるんですけど、かといって一番になるほどやりこんでるわけではなかったりとかっていうような人ですね。唯一、ずっともう長く趣味にしてるのは曲、曲ですね。

--- 音楽?

矢野: 曲を聴くこと、消費することだけなんですけど、はい。なんか、アニソンでもないんですけどポップカルチャーな音楽があるんですけど、そういう系の音楽をすごく消費してます。多分、そういう系の曲がなかったら作業が進まないんで。すごい眠くなったときとかはもう、そういう系の曲を聴きながらバーッてやるしかない、みたいな。何回もレポートのときは助けられた感じで。

■ 今後の夢を聞かせてください

--- 皆さんそれぞれの、今後の夢というか、今後、何を目指していきたいのか。お一人ずつどうぞ。

上岡: 自分のこういうの語るの恥ずかしいんですけど、僕、今回のプログラム、書かせてもらったんですけど、でも僕、プログラマーになりたいと思わなくて、普通の研究者、大学とかの研究者で。その傍らで趣味でコードとか書けたら、幸せだなとは思っています。

小川: もう胃に穴は開けたくないってことですね(笑)

--- この分野は、っていう目指してる分野はあるんですか。

上岡: そうですね。今は、論理回路、集積回路とかやってるんですけど、そういう分野か、次の大学院で別の分野したら、そっちの分野に進もうかなと思ってます。

--- なるほど。先生を目指されてるっていうことですね、研究者。

上岡: まあ、そうですね。先生か、企業の研究者か、とは思っています。

小川: じゃあ、次は僕から。そうですね、人を幸せにする仕事がずっとしたいなとは思ってるんですけど、僕もプログラミングにあんまりこだわりはなくて、なんか人を幸せにする何かができればいいなと、ずっと思っているので。今、コンピューターが普及してスマホみんな持ってるんで、スマホで作ったもので結構人を幸せにできる可能性ってあるんじゃないかな、と思うんで、今、それをやってるんですけど。そこにこだわらず、人を笑顔にできる仕事ができたらいいなと思います。

矢野: すごい真面目な。

小川: はい、ありがとうございます。

矢野: 何でしょうね、夢。いっぱいありますよ。とりあえず、なんか幸せに死にたいな、とは思ってるので。最終的に、幸せな家族を持って幸せに死んでる、っていうのが最終的な目標なんですけど、すごいブランクがあるんで、これは・・・。

小川: すごい、すごい。そのためのゴール設定とかどうすんの?

矢野: ここのブランクは多分、未知の領域なんで分かんないんですけど、一応、IT系に携わってるので、今。この先、どういうふうな方向になるのかとか、この先、どういうふうに社会が変わっていくのかっていうのを考えるのが好きで。例えば、ついこの間までスマートフォンなんてなかったじゃないですか。なのにもう、今、スマートフォンをみんな持ってて、スマートフォン使いこなして、多分この10年でみんなのインターネットに対する一般の人たちの見方っていうのがすごい変わったと思うんですよね。なんで、もうこのままの勢いで行けば、どんどん、どんどん、多分生活とITってものすごく密接な関係になってくると思うんで、それこそSF映画の中にあるようなすごいかっこいい世界ができるんじゃないかなと、自分の中で思ってて。そういうようなところに携わっていけるような仕事に最終的に行けたらな、みたいな気はしてます。

■ おわりに

インタビューはここまでです。インタビューに応じてくださった「俺のノートパソコンがこんなに軽いわけがない」チームの皆さん、どうもありがとうございました。最後まで読んでくださった読者の皆さん、どうもありがとうございました。

インタビュー風景



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