3. モデル・図の作成 |
3.1 ユースケース図(use case diagram) |
では、まずシステムの振る舞いから見ていくことにしよう。システムの振る舞いというのは、システムが外から見てどんなふうに動作し、反応するかということなんだ。このシステムの振る舞いを図で表したものが「ユースケース図」なんだよ。 |
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ユースケース図を作成するためには、ユースケースとアクターという2つのアイテムを使って、モデルを作成していくのですね? | ||
そうだよ。Chen君、今回の商品注文から配送までの流れの中で、役割を持っていると思われる実体(アクター)としてはどんなものが考えられるかな? | ||
まず、注文をする顧客、それからユニバーサルトレーディングで注文を受ける顧客係ですね。配送センターにも誰か担当者が必要かもしれません。 | ||
そうだね。では、これらのアクターの立場からシステムの機能(ユースケース)を発見して、今回のシステムに必要なアクターとユースケースの関わりについて考えていこう。ユースケースは、画面単位などの細かすぎる単位にならないように注意しよう。 | ||
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はい、分かりました。「顧客係」はシステムを使って注文を登録したり、注文を照会したりしますから、「注文を登録する」や「注文を照会する」というユースケースがあると思います。「顧客」は、「顧客係」に電話で注文したりお金を振り込んだりという動きをしますが、このシステムとは直接関わってこないので、アクターとして図に書いてもあまり意味がありませんね。配送センターにいる「配送事務係」は、「注文を照会する」に関わってくると思います。 | |
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そうだね。ところで、ここまで Chen君はアクターになりえるものとして人ばかり意識しているようだけど、既存のシステムやデータベースなどの外部のシステムもアクターになるんだよ。今回のシステムでは、「注文を登録する」ときに、顧客情報や在庫情報を参照するよね。これらの情報は既存のシステムが持っているから「顧客情報管理システム」や「在庫情報管理システム」もアクターとしてあげるべきだね。 | |
なるほど、そうですね。 | ||
では Chen君、発見したユースケースとアクターとの関係を考えて、ユースケース図を書いてみよう。ユースケースとアクターとの関係は、実線で表すんだよ。 | ||
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図3.1.1 Chen君が作成したユースケース図(その1): 「注文管理システム」
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「顧客係」アクターは「注文を登録する」と「注文を照会する」という2つのユースケースを実行します。そして、「注文を登録する」ユースケースを実行する場合には、「顧客情報管理システム」や「在庫情報管理システム」アクターも関わってきます。また、「配送事務係」アクターは、「注文を照会する」ユースケースに関わっています。 | ||
よくできたね。それからこれは補足だが、ユースケースとアクターとの境界線を明示するために、ユースケース群 (ユースケースの集まり) を大きな長方形で囲むと図が見やすくなるよ。そして長方形の内側の上部には、システムの名前を明記しておくといいよ。(図3.1.2) | ||
図3.1.2 Chen君が作成したユースケース図(その2): 「注文管理システム」
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