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[1998 年 11 月号] |
[Happy Squeaking!!]
1.はじめに
1.2 なぜ Smalltalk?
1.2.4 Pattern Sensitive
皆さんの中にはMVCという言葉を聞かれたことのある方がおられるかと思います。これはModel、View、Controllerの略で、もともとSmalltalkでのGUI作成のためのパターンとして考えられたものです。
MVCは、「デザインパターン」(ソフトバンク)の冒頭に、非常にオーソドックなデザインパターンの例として紹介されています。Smalltalkのクラスライブラリには、MVC以外にも、多くの示唆を与える重要なパターンが表現されており、この「デザインパターン」本に対して多くの影響を与えています。実際この本にも非常に多くのSmalltalkによるパターン実装例が紹介されています。
Smalltalkは、言語はシンプルである反面、環境とともに提供されるクラスライブラリ群は非常に膨大であり、それらは、Smalltalk-80からの長い歴史によって磨かれ「デザインパターンの宝庫」と呼べるほどに洗練された、豊富なものになっているのです。
日本語訳は出ていないのですが、「デザインパターン」本の姉妹編として、"Design Patterns Smalltalk Companion" (Addison-Wesley 1998) という本もあります。これはオリジナルのデザインパターン本でガンマらが挙げた23パターンをSmalltalkライブラリ内での別の例で、再び説明、補足したものです。これもSmalltalkライブラリが実に多くのパターンを保持しているということを示しています。
このようにデザインパターンとSmalltalkの関係は非常に親密であり、Smalltalkのクラスライブラリを学んでいくことによって、デザインパターンのよい実例を知ることができるのです。
以上、Smalltalkを教材として使う理由をまとめます。
1.
オブジェクト指向の考えが素直に表現されている。
2.
環境がインタラクティブなので、学習していて楽しい。
3.
メタクラスなど、他には見られない高度な概念もあり新たな視野が開ける。
4.
デザインパターンの良い例が随所にちりばめられている
Smalltalkは、残念ながら日本ではかなりマイナーです。その言語の持つ良さは多くの人の目に触れることはありません。しかしオブジェクト指向の先駆者である米国やヨーロッパでは、意外に広く産業界で使われています。商用の実装も多くあります。
グローバルな昨今、次の開発はSmalltalkということになるかもしれません.
ここらで食わず嫌いはやめてやってみましょうか
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