ObjectSquare [1999 年 8 月号]

[オブジェクト指向モデリング言語 UML]
   - 情報処理 VOL.40 NO.1, NO.3より -


UMLと開発プロセス

アーキテクチャ中心

RUPはシステムに対するモデルとそれを実現する実行可能なソフトウェアシステムそのものとを並行して開発を進めていく.つまり単なる机上のモデルではなく実際に動作させ,機能性・信頼性・安定性等のソフトウェア特性を確認しながらシステムの「アーキテクチャ」を進化させていくことを提唱している.システムに対する要求をサポートし,ミドルウェア/プラットフォームの制約や非機能的要求を反映した実行可能フレームワークをここではアーキテクチャと呼んでいる.そのアーキテクチャの上に段階的に個々のアプリケーションを実現するクラスを載せていく.

図-19 UML各モデル図とアーキテクチャ・コード

したがって,アーキテクチャは複数のビューで相補的にモデル化されるが,基本的なビューは図-20に示す4+1個考えられる.1)機能や論理的な構造を表現する論理ビュー,2)それを実現するサブシステムやコンポーネントの構成管理を表現する実装ビュー,3)効率やスループット,スケーラビリティを検討する並行性ビュー,4)システムのトポロジーや物理的な分散・配布を表現する配置ビュー,5)システムの要求や振る舞いを管理するユースケースビューの5つのビューでシステムのアーキテクチャの管理項目を多次元的に表現する.

図-20 4+1ビューとアーキテクチャ

このアーキテクチャが以後の繰り返し開発のベースラインとなり,この上に個別のユースケースや詳細な設計情報が実現されていく.その意味で,本格的な繰り返し開発に入る前に安定させておく必要があり,各ユースケースに相当する機能を実現するアプリケーション開発のメンバとは別の「アーキテクト」が中心になって,構築フェーズに入る前に作業を進めておく.


© 1999 OGIS-RI Co., Ltd.

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