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レポート

時を○○するソフトウェアコンテスト本選レポート

本選の模様と受賞作品のご紹介
株式会社オージス総研 OSCA事務局 木村 めぐみ
2015年12月3日

今年で6回目を迎えるオージス総研主催のソフトウェアアイデアコンテストOGIS-RI Software Challenge Award 「時を○○するソフトウェアコンテスト」の本選と最終審査を2015年11月12日(木)に開催しました。本レポートでは本選の模様と、受賞した全6作品をご紹介します。

はじめに

本選の模様と受賞作品をお伝えする前に、まずは本コンテストについて少しご紹介したいと思います。

OGIS-RI Software Challenge Award「時を○○するソフトウェアコンテスト」とは

osca

OGIS-RI Software Challenge Award(OSCA)はオージス総研が主催する学生の方々向けのソフトウェアアイデアコンテストです。2010年から毎年秋に開催し、今年で6回目を迎えました。

コンテストでは毎年異なるテーマを設けています。今年のテーマは「 時を○○するソフトウェアコンテスト ~ドキドキする「時」を演出してみよう。~ 」でした。

審査では、以下のような観点で応募していただいたアイデアを評価します。

  • 独創性
  • 技術的な工夫
  • 実現可能性
  • 有用性(ビジネス/社会)
  • 面白さ(エンターテイメント性)

6月から始まるコンテストの戦い

コンテストの開催概要は6月頃にポスターやWebサイトで発表します。そこで初めて今年の募集テーマが明らかになり、ここから応募者の戦いが始まります。応募を決めたチームは、テーマを実現するためのアイデアを考え、エントリー後、アイデアを「アイデアを説明する文書」という形にして応募します。そして、当社社員による一次審査、二次審査を経て、本選に出場する作品が決定します。

コンテストの流れ

本選では各作品を各チームがプレゼン形式で発表します。その日のうちに6名の審査員によって厳正な審査が行われ、受賞作品が決定します。今年はゲスト審査員にSansan株式会社より塩見取締役をお招きしました。

審査結果の発表と表彰式は、本選当日に行われます。

たくさんのご応募をいただきました

今年のコンテストでは、エントリーされた40チームのうち30チームから39作品の応募がありました(本コンテストでは1チームが複数のアイデアを応募できます)。この中から一次審査を通過したのが17チーム20作品、二次審査を通過して本選に出場したのが6チーム6作品でした。

この場をお借りして、ご応募くださったすべてのチームの皆さんにお礼を申し上げます。

本選の一日

それでは本選の模様をご紹介しましょう。

和やかに始まった本選

本選当日の2015年11月12日(木)、会場となったドームシティガスビル(大阪市西区)の会議室に次々と本選出場チームが到着しました。本選当日にプレゼン担当としてご参加いただけるのは1チーム5名まで。今回も最大5名で参戦されるチームがあり、会場は若々しいエネルギーでいっぱいになりました。皆さん緊張の面持ちも見せず、和やかな雰囲気です。6チームすべてが集まり、予定通り11時半に本選がスタートしました。

審査員

まず本選の審査員6名をご紹介しました。今年はクラウド名刺管理で有名なSansan株式会社から塩見取締役をゲスト審査員に迎えました。Sansan株式会社の創業者のお一人である塩見取締役からコメントをいただけたのも、本選出場チームにとってはよい機会になったのではないでしょうか。当社審査員は女性役員1名を含む5名。専門分野が異なる複数のメンバーで審査を行います。

プレゼン順序決めはプランニングポーカーで

プレゼン順序決め

すでに和やかな雰囲気ではありましたが、プレゼンの順序決めを楽しいイベントにしたいと、今年は恒例のくじ引きスタイルを変更してプランニングポーカーで順序を決めました。期待通りの盛り上がりがあったのですが、来年のために詳細は控えておきます・・・。

用語注:プランニングポーカー
アジャイル開発における見積りテクニックの一つとして使う、数字が印字された4組~5組/1セットのトランプ型カード。チーム全員が集まって、それぞれが見積ったサイズをカードで一斉に出し合い、差異が大きければ話し合うことで、チームとして納得できる見積りを行うことを狙う。

本選のメインイベント!6作品のプレゼンテーション

会場

プレゼンの持ち時間は各作品30分。発表20分、質疑10分の中で、作品をアピールします。一作品のプレゼンが終わると15分間の休憩を挟み、休憩の間に次のチームがプレゼンの準備をします。

今年も各チームのプレゼンは素晴らしかったです。スライドに投影される資料も分かりやすく、デモや音声などをうまく活用されていました。想定質問用のスライドをしっかり用意していたチームでは、審査員から質問が出るとすかさず回答スライドを投影、あまりにも素早くて笑いが起きるほどでした。また、少々のハプニングが起こったチームもありましたがそれほど慌てていないように見え、本選出場チームの皆さんのプレゼンに関するスキルの高さと落ち着いた様子に感心しました。

休憩時間には異なるチーム同士で話をするなど、ピリピリとした空気は感じられず、本選の場を楽しんでいただけているように見えました。他のチームのプレゼンもしっかりと聴いていただき、活気あるプレゼンテーションの時間になったと思います。

こうして小さな休憩を挟みながら12時から16時すぎまで全作品のプレゼンテーションを行っていただきました。

審査の間は若手社員と懇談会

全作品のプレゼンが終わると、本選出場チームの皆さんは当社の若手社員との懇談会へ。グループに分かれてお茶を飲みながらざっくばらんに懇談の場を持ちます。社員が学生時代は何をしていて今はどのような仕事をしているか、など、歳が近いこともあり話は盛り上がったようです。

その間、審査員は審査室にこもって審査を行います。小1時間ほど経った17時すぎ、ようやく審査結果が出ました。結果は表彰式で発表されます。

表彰式は粛々と

真剣に挑んでいただいたコンテスト、表彰式は粛々と進行します。17時半になると当社社長の西岡を先頭に、ゲスト審査員の塩見取締役、当社審査員が表彰式の会場に入場しました。

いよいよ受賞作品の発表です。

受賞作品は準優勝、ゲスト審査員賞、優勝、審査員特別賞の順に発表されました。受賞チームは表彰状、トロフィー、目録を授与されました。

表彰

最後に、ゲスト審査員の塩見取締役、総合審査員代表の当社社員 山口より講評がありました。ゲスト審査員の塩見取締役からは、本選出場チームのアイデア力、プレゼン力を評価いただくと共に、今後の活躍に対するアドバイスもいただきました。

話は尽きないまま閉会へ

表彰式を終えた後は、引き続き懇親の場を持ちました。乾杯の後は、お昼前から飲み物以外、口に入れられなかった本選出場者の皆さんのお腹を満たすお食事もご用意。でも話が盛り上がり、なかなか手をつけられなかった方も多いようでした。

社長、審査員、懇談会に参加した当社の若手社員と受賞チームの皆さんで、受賞作品や学生生活について話の花を咲かせていました。こうして、あっと言う間に時間が経ち閉会の時間に。名残惜しい中、学生の皆さんには会場を後にしていただきました。

長い一日だったと思います。皆さんお疲れ様でした。

受賞作品のご紹介

それでは、ここからは受賞チームの方々にご了承をいただき、受賞した全6作品をご紹介します。各作品の詳しい内容については「アイデアを説明する文書」をご提供いただきましたのでそちらをご覧ください。

優勝

優勝

チーム「HMI」
タイトル「雨音傘」
和歌山大学 システム工学部 デザイン情報学科 松井 真子さん 今村 美聡さん 濱上 宏樹さん

HMIチーム

雨の時を楽しみ、外に出よう

日本は雨が多く、日本人の生活は雨と密接に関わっています。平安時代は雨音に耳をすませ和歌を詠んでいた日本人も、現代では雨は憂鬱なもの、と悪い印象を持ちがち。そんな日本の雨の時をもっと楽しみませんか?と、この作品は提案しました。雨音傘(あまねがさ)というネーミングも詩的です。

傘+IoT

HMIプレゼン

日本人一人当たりの傘の所持数は世界一位だそうです。そんな傘をIoTと組み合わせました。傘の開閉で電源をON/OFFし、傘の上部に付けた振動センサにより雨量を計測、露先にはLED、内部にスピーカーが設置されています。

スマートフォンでは位置情報、地図情報、天気予報を取得。アプリケーションはバックグランドで動作するため、携帯するだけでOK。雨の中、濡れるのを気にしながら操作する必要はありません。

傘とスマートフォンはBluetoothで接続して情報を送受信します。

雨の時を楽しむ機能

  • 雨の日のBGM
    場所、時間、雨量に合わせた音楽を傘のスピーカーから再生します。耳をふさぐイヤホンと違って雨の音とともに音楽を楽しむことができます。

  • 地図アプリと連携した周辺案内
    観光案内や店舗情報を傘から音声で流します。経路は露先に付けられたLEDが光で案内してくれます。

  • 傘忘れ防止
    傘が必要になる天気の日は、出かける前にスマートフォンに知らせてくれます。外出先で傘から離れると通知し、傘を忘れることを防いでくれます。

雨音傘の実演

HMIデモ

デモでは雨音傘の一部機能を実装したプロトタイプを使って雨量によって音楽の曲調が変わる様子を実演。雨を降らす代わりに指先で傘をたたき、たたく強さを変えると流れる音楽が静かな曲調からビートの効いた激しい曲調に変わりました。実際に雨の日に外に出て雨音傘をさし、時には遠回りをして雨の時を音楽と共に楽んでみようかなと思う提案でした。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「雨音傘」 (PDF: 約 1.5MB)

ゲスト審査員賞

ゲスト審査員賞

チーム「三田のモコモコ」
タイトル「パパも一人でできるもん」
関西学院大学大学院 奥井 颯平さん 大槻 駿介さん 川田 佑弥さん 千秋 行鋭さん 柳井 美保さん

三田のモコモコチーム

妻にかかる育児の負担を軽減

家事や育児に関心のある夫は増加しています。しかし、実際のところ育児に取り組んでいる夫の数は増えていないそうです。夫が育児をしないのは、経験や知識がないからでは?そこで、夫の育児に関する経験と知識を補って夫の育児をサポートし、妻の自由な時間を確保する、そんなソフトウェアを提案しました。

赤ちゃんの時を共有するソフトウェア

三田のモコモコプレゼン
  • 経験不足をデータで補う
    普段育児をしている妻が赤ちゃんの体温・脈拍と授乳・排泄時刻を記録しておくと、赤ちゃんの生活のリズムがグラフで可視化されます。育児の経験が少ない夫も赤ちゃんのいつもの生活リズムを把握でき、育児がしやすくなります。体温・脈拍はウェアラブルセンサを用いて記録し、負担を軽減します。

  • 赤ちゃんに関する知識を蓄積
    すべての赤ちゃんに共通の知識と自分の赤ちゃんに特有の知識を蓄積し、育児の疑問に答えます。赤ちゃんが好きな抱っこの仕方など知っていれば一人での育児も安心です。

デモ

三田のモコモコデモ

夫と妻がそれぞれソフトウェアを操作する様子を、実際の画面をスクリーンに映しながら実演しました。自分の子供が小さい時にこのソフトがあればよかったと嘆く審査員と、自称(?)イクメン審査員との間で意見が違い、「追加で機能が必要なのでは」「いやいや、実際使うとこれで十分だ。提案いただいたので正しい」と審査員間で議論が起きるほど盛り上がりました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「パパも一人でできるもん」 (PDF: 約 1.4MB)

準優勝

準優勝

チーム「いしなみ。」
タイトル「ハートに想いをのせて」
和歌山大学 板倉 七海さん 白子 知恵さん 中谷 亘皓さん 南本 翔さん

いしなみチーム

幸せな時を共有しよう!

人生で大切な行事である結婚式。たくさんの友人を招待したくても費用のことを考えると難しかったり、招待された側がやむを得ない事情で参加できなかったりすることもあります。そんな新郎新婦と友人たちがターゲット。招待できなかった友人や参加できないゲストが、結婚式当日、リアルタイムにお祝いのメッセージを送り、幸せな時を共有します。

シャンパンシャワーでおめでとうを届けよう

いしなみプレゼン

使い方は簡単。ゲストは事前にアプリからメッセージを入力しておきます。結婚式当日、アプリから式場の様子も見ることができます。カウントダウンが始まると端末の画面にシャンパンが現れ、端末を振って音声メッセージを吹き込むと・・・シャンパンからハートのコルクが飛び出し、式場にハートのメッセージが送られます。

式場では送られたメッセージが次々とスクリーンに現れ、それが積み重なってひとつの大きなハートになります。会場も自然と笑顔に。

審査員も操作しました

いしなみデモ

審査員にスマートフォンが渡され、ゲストとしてアプリを操作しました。事前に設定された時間になると実際にカウントダウンが始まり、式場にメッセージが送られる様子が実演されました。BGMに結婚行進曲も流れ、さながら結婚式場のようでした。

アイデアを説明する文書「ハートに想いをのせて」 (PDF: 約 2.4MB)

審査員特別賞

審査員特別賞

チーム「STC…」
タイトル「時をコーディネートするソフトウェア ~ Spare Time Coordinator ~」
同志社大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻 佐々木 雅茂さん、京都大学大学院 情報学研究科 社会情報学専攻 野坂 智司さん

STCチーム

不意に生まれた空き時間をコーディネート

STCプレゼン

予定に追われる生活の中で不意に生まれる空き時間。そんな空き時間を有意義な時間にしてくれるのが「時をコーディネートするソフトウェア」です。ユーザーの位置情報と、入力された空き時間の長さを基にプランをコーディネートして、複数のプランを表示してくれます。もし、旅行先など知らない街にいた場合も有意義な空き時間を過ごすことができます。

好評だった時計型UI

STCデモ

ユーザーが入力するのは空き時間だけ。時間の入力は直感的な時計型のUIを採用し、時計の長針を回すようにスライドして時間を入力できます。このUIは審査員にも好評でした。

本選会場で時をコーディネート

デモでは、実際に本選会場でソフトウェアを操作する様子をスクリーンに映しました。空き時間を入力すると、複数のプランが表示されました。お隣のhu+gミュージアム(大阪ガスの食と住まいの情報発信拠点です)、や飲食店が。これは便利そうです。

アイデアを説明する文書「時をコーディネートするソフトウェア ~ Spare Time Coordinator ~」 (PDF: 約 599KB)

審査員特別賞

チーム「チームModality」
タイトル「生活状況を伝えるモダリティボリュームによって時の感覚を変えるソフトウェア」
関西大学大学院 総合情報学研究科 中 祐介さん 吉田 直人さん

チームModality

見守る側と見守られる側の双方に配慮した見守りをサポートするソフトウェア

Modalityプレゼン

遠隔地にいる高齢者を見守る方法として映像を伝達する方法がありますが、緊急時に何が起こったか確認するために時間がかかったり、プライバシーの点で見られたくない情報があったりするなど問題もあります。このソフトウェアは、伝達するメディアの詳細度をモダリティボリュームとして定義し、レベルに応じて伝達方法を変えることでそれらの問題を解決します。

場面と状況で変える状況の伝え方

Modalityプレゼン2

場面と状況に応じて、伝達方法を映像、環境音、ピクトグラム(表象的視覚表現)、サウンドグラム(表象的聴覚表現)、オノマトペ(擬音語表現)の中から組み合わせて状況を伝えます。

たとえば以下のように使い分けます。

  • 私的で平常 → オノマトペ
  • 私的で緊急(トイレでこけた) → 環境音
  • 通常で平常 → サウンドグラム
  • 通常で緊急(廊下でこけた) → 映像

見守る側と見守られる側の双方に配慮したやさしいソフトウェアでした。

アイデアを説明する文書「生活状況を伝えるモダリティボリュームによって時の感覚を変えるソフトウェア」 (PDF: 約 587KB)

審査員特別賞

チーム「ネタバレ劇団」
タイトル「夢を実現する時間を共有するソフトウェア"ClouDream"」
奈良工業高等専門学校 情報工学科 齊藤 裕介さん 三上 徹朗さん

ネタバレ劇団

夢を実現するClouDream

夢を持っていない人には夢を持つきっかけを、夢を持っている人へは初めの一歩を踏み出すきかけを提供します。夢に向かって行動した時間を集め、夢を見つけたい人や夢を実現したい人にその情報を提供します。

夢を実現するきっかけ

ネタバレ劇団プレゼン
  • 夢をもっていない人
    自分と同じ時間の使い方をしている人を探し、その人がどんな夢に向かって行動してきたかを知ることで夢を見つけるきっかけを作ります。
    たとえば、学生時代に同じような時間の使い方をしていた人が今は最先端の技術を扱うエンジニア!自分には無理だと思っていたエンジニアを身近に感じ、夢が見つかります。

  • 夢を持っている人
    自分が持つ夢と同じ夢に向かって行動してきた人を探し、その人が過ごしてきた時間を知ることで夢を実現するきっかけを作ります。
    たとえば、地方に住んでいる自分には叶えられないと思っていたプロ棋士への夢、ネット将棋という上達法があった!自分には叶えられないと思っていた夢も実現できるかもしれません。

夢の検索

ネタバレ劇団デモ

関連する夢を一緒に検索して夢を実現する可能性を広げます。たとえば、プロ棋士が夢だったけど指導棋士や観戦記者という職業もあるのか、と自分では知らなかった夢への実現方法を見つけることができるかもしれません。いろいろ検索してみたくなる機能でした。

アイデアを説明する文書「夢を実現する時間を共有するソフトウェア"ClouDream"」 (PDF: 約 1.7MB)

おわりに

本レポートでは2015年度に開催したソフトウェアアイデアコンテスト OGIS-RI Software Challenge Award の本選の模様と受賞作品をご紹介しました。

本選に参加してくださったチームの皆さん、本コンテストに応募してくださった全てのチームの皆さん、どうもありがとうございました。全力で戦ってくださった皆さんに、心から今一度感謝の意を述べたいと思います。ありがとうございました!