オブジェクトの広場はオージス総研グループのエンジニアによる技術発表サイトです

インタビュー

時を○○するソフトウェアコンテスト優勝者インタビュー

意見をぶつけ合える関係が生んだ優勝アイデア
インタビュアー オージス総研技術部アジャイル開発センター OSCA事務局長 藤井 拓
2016年2月9日

昨年の2015年11月12日に開催したオージス総研主催のソフトウェアアイデアコンテストOSCA(OGIS-RI Software Challenge Award)「時を○○するソフトウェアコンテスト」本選で優勝されたHMIチームの皆さんをお招きし、コンテストを振り返ってチーム結成やアイデア出しの過程などお話を伺いました。

優勝チーム「HMI」ご紹介

チームHMI

チーム「HMI」和歌山大学 システム工学部 デザイン情報学科
(写真左から)松井 真子さん 今村 美聡さん 濱上 宏樹さん

藤井- まずは大学での研究内容についてお話いただけますか。

松井- 私はWebのアクセシビリティをメインに研究をしています。最近、RIAというのが主流になってきて、Webが使いやすくなったり、Webアプリケーションが多様なレベルになってきたりはしているのですが、誰もが使える状態と言うのがおろそかになってきているので、どうすれば誰でも使えるようになるかという研究をしています。

今村- 私は、映像上で自分ともう一人隣にいる人の体を入れ替えて、その動きをそれぞれ逆に反映させよう、という研究をしています。よく、相手の気持ちになるとか、相手の立場になろうって言われますが実際はなかなか難しいので、じゃあ、相手の体を動かしてみたらできるんじゃないかな、と考えて映像上だけで体を入れ替えるという研究をしています。

藤井- 映画でありそうなシチュエーションですね。

今村- そうですね。それを、現実ではなかなか難しいので映像上だけでやろうという研究です。

濱上- 僕は離れている相手をいかに身近に感じられるか、というテーマで、今はテレビ電話を研究しています。テレビ電話越しの相手がいかに存在感があって近くにいるように感じられるかというのを、テレビ電話でどういう手法をとったらできるか、今、いろいろ作って試しています。今やっているのは、従来のテレビ電話だと映像と音声だけですが、そこに深度カメラというカメラを使ってどれだけ離れているか距離を取って、それを比較してどっちが近くにいるかなどを使った映像を出しています。

藤井- 皆さん研究室はご一緒ですか?

松井- 今村さんと濱上君が一緒で、私だけ違う研究室です。

応募のきっかけはハードウェアを使って何かを作りたかったから

藤井- 今回コンテストに応募された動機は何だったのでしょうか。松井さんは去年も準優勝チームでしたが。

松井- メンバー全員高専出身なのですが、大学がどちらかというとソフトウェアメインなので、Raspberry PiとかArduinoを用いてハードウェアが関わる何かを作りたいなと去年から思ってたんです。今年は授業がほとんどないので研究とは他にそういったものを作ろう、となったのですが、締め切りがないとなかなかできないので、じゃあコンテストに参加してテーマに沿ったものから考えられたらいいなというのが応募動機です。

藤井- ハードをいじり始めたのはいつからですか?

松井- 高専でソフトウェアとハードウェアどちらも学んでいたんですが、編入して大学に入ってからはハードウェアは一切触らずソフトウェアばっかりで。やっぱりソフトウェアばかりしてるとハードウェアが恋しくなる時期が来て、作ろうって二人に声を掛けました。

今村- 私は、松井さんと濱上君から誘われて、面白そうだなと思ってやってみました。

濱上- 松井さんが主体になって、僕ら二人は誘われた形なんですけど。僕も、今まで高専でハードをやって大学でソフト系の見せ方とか、アンケートを採ってきてニーズがあるものを探し出したり、発想して良いアイデアを出すという方法を勉強してたので、その集大成という訳じゃないんですが、一つまとまって何かを作りたいというのがありました。それで、彼女に誘われて受けたんです。コンテストだと自己満足で終わらずに、誰かに見てもらえて、実際に他の人と競い合って、自分らのものが良いかどうかというのを評価してもらえる機会ですから。見てもらえるのが一番、モチベーションです。

藤井- 皆さん高専出身ということですが、同じ学校だったのですか?

松井- いいえ、全く違う高専です。去年、同じ年に同じ学科に編入したというつながりです。

応募したアイデアに行き着くまでが本当に大変だった

藤井- 作品について伺いますが、どの時点から本選でプレゼンされたアイデアを着想されていたのでしょうか。

濱上- エントリーの段階からずっとアイデア出しをしてたんです。

松井- コンテストの情報が出てすぐの5月頃から2ヶ月間くらいずっとアイデアを考えてたんですけど、すごい迷走して。

藤井- 2ヶ月ですか。すごいですね。

濱上- あれは違う、これは違うって。そもそも、時を○○するというテーマをどう解釈するかっていうところから始まりまして。時とはなんぞやって、みんなで付箋に時と連想するワードをいっぱい書き出してみて並べて、安易に思いつきそうなものを外していって。傘のアイデアに行き着いたのは本当にもう、応募の直前・・・。

松井- 応募締切の1週間前です。

濱上- 応募締切の1週間前に、やっと自分たちの中で落ち着くアイデアが出てきました。

藤井- 雨と傘というのは、同時に出てきたのですか。

濱上- 雨というより、アイデアを出す際に結構いろんなアプローチで攻めたんですね。最初、時と言ったら時計とかタスク管理とかがやっぱりたくさん出て来て、それだと被ったり面白くないんじゃないかと、いったん時を離れて、ITが関与してない所を攻めよう、と。

藤井- ああ、なるほど。

濱上- そうなんです。そっちから攻めた結果、生ものとか、水回りが出てきて。そこから、水を基準にお風呂や洗面所やキッチンとかどんどん広げていって。

松井- 家の外、家の中、中はこんな所があって外はこんな所がって、場所全部出して。

濱上- 結果、傘に行き着きました。ぱっと思いついたというよりはもうひねりだしたというか、あれは違う、これは違うと言って行き着いたのが、傘と雨です。

藤井- 定期的に打合せをしたのですか?

濱上- はい、週に1、2回はしました。毎回1時間か2時間くらいかな。持ち帰って、また出して、というのをずっと繰り返してました。

藤井- すごいですね。やっぱりアイデア出しのところが苦労したのですか?

濱上- はい。傘に行くまでが本当に一番大変な思いをしました。逆に、傘と決まってからすごくスムーズだったんです。

松井- みんなして、傘、いいね、みたいな。

濱上- 傘と決まってからは、傘だったらあれができるとかこれができるとか、こんなの付けたら面白い、ってどんどん膨らんでいきました。

藤井- そうですか。結果的にはそれがすごくインパクトがあったというか。少し考えて出てくるところからかなりかけ離れたところで作品を作られたというのが、優勝の大きな要因があったんじゃないかなという気がします。

意見をぶつけ合える関係がHMIチームの強み

インタビュー風景

藤井- 今回のコンテストでチームを結成して、学んだことや良かったことはありますか。

濱上- 僕は明らかに自分一人じゃできないものが完成できたというところで、チームは強いなと思いました。多分一人でやっていたら、まず見た目がそもそもうまくできないですし。チームでやり取りをして弱いところを、いっぱいたたき出したんですよ。最初にアイデアを一つ出した時に「傘でこういうのがあったらいいよね」っていう話を始めて。でもこれは既にあるとかこれは面白くないとか、そういうのをどんどん他の方向から意見をぶつけて、これなら絶対自信を持てるというところまで話をしているっていうのは、やっぱりチームならではだと思います。一人だったら妥協というか、これ絶対面白いよと思ったらそれで終わっちゃって、きっとそんなに強いものができなかったと思います。

松井- 審査員に絶対こんなこと言われるよ、とか、ここを突っ込まれたらどう答える、みたいなところをすごく話しました。研究してると「前の研究と何が違うの?」という指摘もされるので、それをこのコンテストのチームでも言ってみたり。

藤井- 確かにそれが結果としてうまく機能したと思いますが、どうしてそういう関係が成り立ったんでしょうか。

濱上- ぶつけ合える関係ですか。

藤井- はい。普通そこまでなかなか行かないのかな、と思いますが。

濱上- それは、コンテスト自体は初めてなんですけど、学校の課題がなかなか重い課題が多くてそれをまた先生が結構厳しく指導してくださるんですよね。それに対して答えを出さないといけない。その時に僕は彼女らによく見てもらってたんです。一緒に編入で入ってるので取ってる授業は被ってたので。これどう思う?みたいなのを編入して1年間やり続けたのがあったので、意見をぶつけてもらうことに抵抗もなかったですし、彼女らが言うことが割と当たっていたり正しいというのも思っていたので、自分のアイデアの弱いところを言われたときにすんなり受け入れられた。いきなり組んだチームではないということです。

藤井- その話を伺って、分かったような気がします。既に、強い良い関係があって、その中に新しい課題が出てきた、という。

松井- 毎日学校で遅くまで残って、ずっと課題の話してるみたいな感じです。

濱上- 眠くて相手を気遣えない状態での意見のぶつかり合いも既に経験しているので、口が悪くなっても許してくれるっていうのと、気を遣わなくてもいい、遠回しにぶつけて来ないので議論ははかどるというか。

松井- 折れるよりかは、納得するまで話し合えるみたいな。

濱上- 「ごめん、俺が間違ってた」「余計なこと言った」みたいなことをよく言いました。

藤井- いい関係ですね。

デモが出来上がったのは本選前日

藤井- デモ用のハードを作り始めたのは、二次審査結果が出てからですか?

松井- Raspberry Piなどの処理のプログラムは二次審査の結果が出る前に始めました。Raspberry PiやPythonなどの言語は知ってても損しないのでやっておこうと少しずつ始めて、作る準備をしていました。基板やはんだ付けは、二次審査結果が出てからです。

藤井- 今村さんは応募書類のデザインを担当されたんですか?

今村- はい。応募した資料に図がいっぱいあったと思うんですが、それを描いていました。

優勝したアイデア「雨音傘」の詳細は以下の文書からご覧いただけます。
アイデアを説明する文書「雨音傘」 (PDF: 約 1.5MB)

松井- 企画系のコンテストなので、デザインがすごく大事だと思って今村さんを誘いました。

藤井- そういう意味では、最初から分担ははっきりとしていたのでしょうか。

今村- 私はデザインで。

濱上- 実装かな。

松井- ハードは絶対に一番強いのでハードを。あとはできるところを分担しました。

濱上- 完全に分担と言うより、みんなで同時に行っている感じでした。

藤井- 8月末に応募した後も定期的に一緒に作業したのでしょうか。

濱上- はい。他の研究室のイベントもあったので、常に週に1回だったと言う訳ではなく、週2、週3とずっと集まってる時もあれば、ちょっと今週は忙しくて集まれない、みたいな時もありましたが。でもこの数ヶ月間はずっと集まってました。研究室が同じフロアにあるんで、いつでも集まれるんですよね。

藤井- それは良いですね。先生には自分たちの作品を見ていただいたり、レビューしていただいたのでしょうか。

松井- 最初、見ていただくつもりだったんですが、結局自分たちだけでしました。

濱上- チラッと見ていただいて、「あ、そのデザインとか良いね」みたいなコメントはいただきました。修正箇所を出されたというより褒められただけです。褒められて自信を持って出せたっていうのはあるんですけど。

藤井- そうですね、プレゼンやスライドもすごくきれいでしたよね。デモも音楽も入ってマルチメディアでとても良かったと思います。発表のリハーサルは結構されたのでしょうか。

松井- 本選前日が卒業研究の中間発表で、もう全然コンテストの方に手を付けられてなくて、デモが出来上がったのが本選前日なんです。

濱上- ある程度デモはできていたのですが、それを当日いかにうまく安定して出せるようにするかというところを調整していました。最初はもっと曲の変化が分かりにくい曲だったんです。同じ曲で少し変化がある程度にしてたんですけど、それだったらデモ映えしないよねってことで、曲もちょっといじり直したりして、微調整をずっとしてたら結局完成したのが前日の夜になりました。

編集注:HMIチームが提案したアイデア「雨音傘」の機能の一つに「雨の日のBGM」があります。場所、時間、雨量に合わせた音楽を傘のスピーカーから再生します。本選当日のデモでは、この機能を実装したプロトタイプを使って雨量によって音楽の曲調が変わる様子を実演しました。雨を降らす代わりに指先で傘をたたき、たたく強さを変えると流れる音楽が静かな曲調からビートの効いた激しい曲調に変わりました。

松井- スライド自体は受付30分前くらいに完成しました。受付の1時間か2時間前に本選会場の隣のショッピングモールに集まって打ち合わせをして作ったんです。そこから軽くどういう内容を言うか相談をして。他の人が発表してる待ち時間に練習したらいいや、みたいに思ってたんです。何を言うかは大体決まっていて、2人とも学会発表に結構行ってて発表できるし、きっと大丈夫、何とかなるだろうと思って行ったら、まさかの一番手でした。

藤井- そうですよね。トップバッターだったから練習時間が取れなかった。順番が最初になってしまった時はどう思われたんですか?

松井- 一番最初か一番最後がいいなというのはもともとあったんですけど。一番最初で練習する時間ないから、皆頑張ってねっという感じでした。

インタビュー風景

当日デモがうまく行かなくてもアイデアを伝えるための万全の準備はできていた

藤井- 自分たちの発表をしたとき、手ごたえはどうでしたか?

松井- デモがちょっと失敗したし、練習してないのが丸分かりなプレゼンをしてしまったので伝わってるかな、と不安でした。

濱上- 僕の中では、デモは失敗したけれど自分たちが伝えたい内容は伝わるであろうという最低ラインはクリアできてたので、ぶっつけ本番ではありながら、万全の準備はしていたので、失敗はしていなかったと思ってます。本選当日の自分の話術とか発表力に依存しない、安定して伝えることは全部伝えられるであろうスライドを用意してもらっていて、それに合うようにデモや映像も全部作っていたので。

今村- 私はあがってしまって。練習しないと自分は全然しゃべれないので、練習無しでちょっときつかったです。でも一応しゃべれたので良かったかなとは思います。

藤井- そんなにあがってる感じはしなかったですけどね。ただ、本選でデモされるチームって大抵トラブルがあって、見てる側も結構ひやひやするという・・・。

松井- デモできなかったときのために映像で伝えようと思って、デモできない前提でスライドは作ってました。

濱上- そのスライド中に音も仕込み、動いている映像も仕込み、実際のものの写真も入れ、たとえ当日持って来る途中に傘が壊れたとしても伝わるようにっていう準備をしてたつもりです。

藤井- なるほど、すごい。

松井- 作る前から傘をどうやって持っていくかみたいな。

濱上- 確か最初は配線の都合で傘を畳めなかったんですよね。でも、ちゃんと配線いじりなおして、畳めるな、となって紙袋に入れて持ってきました。デモに関しては、当日きっとトラブルがあるに違いないという前提で準備をしていたので、今回デモは失敗したんですけどそこまでダメージはなくて、自分の中でも「まあ仕方ないよね」って感じではありました。たとえ駄目でもいけるだろうという準備をしてたので、安心して失敗したという感じかな。

藤井- その後、他のチームが続々と発表されましたが、他のチームで一番の強敵だと思ったのはどこでしたか?

松井- 「いしなみ。」の結婚式のアイデアです。

藤井- 「いしなみ。」チームさんは同じ大学ですよね。

濱上- はい。下の学年だったので、特に個人的に負けたくないみたいなところがあったんですけど。

松井- プレゼンがしっかりしていると言うか。デモもリアルタイムでやってましたし。

「いしなみ。」チームのアイデアの詳細は以下の文書からご覧いただけます。
アイデアを説明する文書「ハートに想いをのせて」 (PDF: 約 2.4MB)

濱上- 自分たちの今回の発表における強みというのが今村さんのデザインで、きっと他の情報系の人たちに比べたら勝てるだろうと思ってたんです。なので、そこを強みとして来てたんですけど、「いしなみ。」チームも同じ学科でもちろんデザインも強い所だったので、一番勝負どころが被ってくるとちょっと怖いなって思ってました。

藤井- そうですね。過去に和歌山大学さんのチームでDELTA GUARDという戦隊ヒーローのすごく凝ったプレゼンがあったので、確かに和歌山大学さんはプレゼン力やグラフィックのスキルが高いなと感じました。

自信はあったけれど優勝が発表されるまでどうなるか分からなかった

藤井- 表彰式で優勝チームは最後の方に発表されましたが、優勝が発表されるまでどう思われましたか。もう、勝ったという感じだったのでしょうか。

松井- 準優勝チームの「いしなみ。」が最初に発表されたので、優勝もあるかな、とちょっと期待はしてたんですけど、もしかしてとんでもないところから来るかな、と。インパクトは与えられてるからそういう意味では結構自信はあったんですけど、あんまり伝わっていなかったらそのインパクトも意味がない状態なので、そこが心配で、どっちかなと私は思ってました。

濱上- 僕も、IoTという純粋なソフトウェアだけじゃないアイデアだったので、それがこのソフトウェアコンテストで正しく評価されるのかどうかが不安でした。もしそれがOKなんであったら自分らは勝てただろうと。もしこれはソフトウェアじゃないよね、と思われてしまったら駄目だろうなと思ってました。

藤井- 過去はいろいろなんですよね。ソフトだけという作品もあれば、優勝チームでハードもあるという作品もあったので。その辺はどちらでもOKというスタンスです

濱上- 今回、他はすべてアプリだったので、そういうコンテストなのかなって少し思ってたんです。

たくさんの人に喜んでもらえた優勝

藤井- コンテストで優勝されて、先生も含めて大学の周りの人たちの反応はどうだったのでしょうか。

濱上- 大学でこのコンテストの知名度は高いんです。過去に松井さんや先輩方が受賞されてるというのもあって「それ、なに?」というよりは、「え、本当に?すごいね」みたいな感想をたくさんもらいました。先生方も大変喜んでくださいました。言われたね、「おめでとう」って。

松井- すごい言われた。

濱上- 大学で、過去に確か優勝はいないんですよね。準優勝までがこれまで一番だったので、優勝だったのがさらに良かったみたいです。

コンテストに出場してよかったこと

藤井- コンテストに出場して良かったのはどんな点でしょうか。

松井- やっぱり、やるきっかけ、原動力になったのが何よりも良かったと思います。さっき彼も言ってましたが、やっぱり評価してもらえるというのが一番良かったのかなと思います。

今村- 自分は、研究室でやってる研究よりも自由度が高いというか、自分の発想が出せるのが良かったです。研究だったらちゃんと最後まで作らなくちゃいけないけど、これは結構アイデア勝負なので。最終的にものを作ったんですけど、割と自由に発想できるというのが良かったなと思います。

濱上- 僕は、チームで何かを作ったのがこれが初めてだったんです。これまで、高専時代の卒業研究も大学に入っての研究も全部一人の作業だったので、初めて協力して役割分担して何かをやったっていう経験はすごく楽しくて良かったです。

藤井- それは良かったです。

趣味について

藤井- がらっと話題を変えて、趣味を教えていただけますか。

濱上- ずっと好きなのは旅行に行くことですけど、この1年くらい自分の中で一番熱い趣味は自炊です。全くできない自炊を一から始めて、パソコンの力に頼ってまさか料理をするとは思わなかったっていう自分なんですけど。分からないことはすぐ調べたら全部出てくるんですよ。大根の切り方とか玉ねぎの切り方というところから、全部調べて出てきたのを見ながら自炊をすると、全くスタートがゼロでもある程度は簡単に上達できるんですよね。だからすごく楽しくやってます。

藤井- 料理は楽しいですね。基本、物作りだから。

濱上- 楽しい。自分で食べれるんですよ。すぐフィードバックが返ってくるから失敗した時がよく分かるんで。人に見てもらわなくても自分でおいしいかどうか位は分かるので、うまくいったかどうかは1時間ぐらいですぐに返ってくるというのは楽しいです。

今村- 私は去年のクリスマス頃に一眼カメラを買ったので、写真が趣味と言っていいのかどうか分からないですけど、今、写真を撮るのが楽しいです。

藤井- 何の写真を撮るんですか。

今村- いろんなものです。風景の写真とかが、割と好きで。

濱上- ゼミとかで旅行に行くと、彼女とかが写真をよく撮って、皆にあげてます。

今村- 研究室内にカメラが得意な先輩や同級生が二人ぐらいいて、その人たちに教えてもらってだんだんましなものが撮れるようになってきたかなって感じです。

松井- 私はコンテストが終わった11月くらいから釣りを始めて興味があるんですけど、まだ趣味とまでは言えないので・・・、趣味は茶道です。高専の時に茶道部で、週に一回はお茶を飲むことをしてたんですけど、最近ようやく茶道のセットをもう一つ買って出来るようになったので、和菓子を用意してお茶をたててます。

藤井- 他のメンバーにお茶を振る舞うことはあるんですか?

松井- 周りにすごいお茶を飲みたいって言われるんですけど、まだ学校に持っていってないんです。いつか、お茶会まではいかないですけどお茶を振る舞いたいです。

将来の夢は?

藤井- 将来の夢は何でしょうか。

松井- まだハードウェアの面が全然できてないので、何か作りたいとなった時に基板から何から一から自分一人でできるようになりたいなっていうのがあるんですけど、それって夢なのかな。

藤井- いいじゃないですか。ハードから作って物作りをしたいってことですね。

松井- はい。回路の設計から何から自分でできるようになったら、これ作りたいとなった時にぱっと作れて楽しいかなと思うので、できるようになりたいというのが夢、目標です。

今村- 自分はそんな明確な目標とか夢とかあんまり固まってはいないんですけど、なんか面白いもの作れたらいいなと思います。アプリケーションは学校でも作りましたし、今回もソフトウェアの分野をちょっと作ったりしてたので、ソフトウェア的なもので面白いものを作れるようになれたらいいなと思います。

濱上- なんかもうかなり共通してる夢というか目標は同じ所にあるんですけど。ITってなんでもできるじゃないですか。だから見たことないものとか面白いもの、不思議なもの、魔法みたいなものがきっとITならできると思ってて。そのためには彼女らも言ってたんですけど、ソフトの画面だけでできるものはきっとある程度想像が付いてしまう気がして。それなら面白いものを実現するために、まずその技術というかハードから全部作れる技術を身につけて、何か見たことないものを作りたいというのが僕の中の目標です。高専時代にある程度ハードを勉強してたので、大学ではソフトとUI、人間工学的なところをやろうと自分の力を付けている、修行中です。

藤井- なるほど、素晴らしい。

濱上- 学科の特性上、何か作りたいという人が多いんだと思います。

藤井- 一言余計なことを言うと、ハードから作るというのは確かに面白いと思います。ただ、それは物事の半分なのかなという気がして、何をしたいか、何を作りたいかというのを見つけないとなかなかその力は生きないかなって気がするんですね。その点で、今回のコンテストで見せて下さったような素晴らしいアイデアを今後も生み出されて、それともの作りを組み合わせて素晴らしいソフトウェアやシステムを実現できれば素晴らしいですよね。

今日はどうもありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしております。

インタビュー風景