前回はBPI(ビジネスプロセスインテリジェンス)の概念についてご紹介しました。BPMとKPIを紐づける必要があるのですが、大事なのは適切なKPIを設定することです。 今回はこのKPIに関する考察からはじめます。 1.KPIに求められる要件 ビジネスプロセスのパフォーマンスを評価するために,どのような指標(KPI)を定義すべきなのであろうか。その要件を次のように整理してみました。
(1)ビジネスプロセスとの関係が定義されている 当該指標の値からビジネスプロセスの良し悪しを判断する必要があることから,KPIとビジネスプロセスの関係性が明確になっていないといけない。
(2)共通的に利用できる 異なる工場間,競合他社との比較ができるようにその指標は少なくとも同じ業態では共通的に利用できないといけない。
(3)都度変更されない (2)とも関連するが,同一ビジネスプロセスに対して,担当者が変わるたびに異なった指標で管理されると継続性が失われる。 この要件を満足させるにあたって企業グループにおいて独自の指標群をセットすることも可能ですが,既存の指標を流用することが有効です。そこでBSCのテンプレートを用いてKPIを設計してみました。 2.トライアルの概要2.1. ターゲットとするマネジメントモデル 図1が目的とするマネジメントモデルです。  図1 対象とするマネジメントモデル
全社視点のKPIをモニタリングしつつ異常の兆候があった場合は製造工程のプロセスのKPIまでブレークダウンして対象を特定するという考え方です。 2.2. 対象モデル企業の概要 KPIモデルを構築するにあたって,現業の関心を引くためには,各自の問題意識に近いケースを設定する必要があります。そこで,本トライアルではグローバル展開している製造業をとして下記のモデル企業を設定しました。
【前提】 ・一般的な組み立て型製造業を対象とする ・BtoCなど家電のイメージ ・量産品(見込生産)を対象とする
【背景】 ◇第1次グローバル展開 ・製造コストが低い地域での生産が必要なため,海外(東南アジア)に工場進出した。 ・日本での製造スタイルを(そのまま)現地に適用。 ・マーケットは日本が中心(国内のデリバリーネットワークは完成している)
◇第2次グローバル展開 ・海外マーケット(欧州,北米,南米)への進出 ・東南アジアでは引き続き日本向けの生産を続けている。 ・各国の機能と品質については,以下の通り。
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