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技術講座

IEEE Software November/December 2015 目次と要旨(日本語訳)

翻訳:オージス総研 オブジェクトの広場
2016年4月7日

本記事はIEEE Software編集部から頂いた原稿をオージス総研の有志で翻訳したものです.

NovDec2015表紙

私たちの使命: 先導的なソフトウェアの実践者のコミュニティを作ること.

IEEE Software誌は迅速な技術の変化についていかなければならない思慮深い開発者やマネージャーに対して先進的なアイデアや専門家の分析,確かなアドバイス,思慮深い洞察を提供します. ソフトウェアの理論を実践へと翻訳するオーソリティです.

ソフトウェアアーキテクチャー (Software Architecture)

謹んでIEEE SoftwareNovember/December 2015 (Vol. 32, No. 6) 号 の目次と要旨をお送りします. 各号では無償の記事(英語)やポッドキャスト(英語)がいくつか提供されており, それらは要旨の下のリンクから入手することができます. 残りの技術的な記事を入手するために, 英語のデジタル版 www.qMags.com/ISW/jp を購読できます. お問い合わせは, 編集長であるBrian Brannon (bbrannon@computer.org)宛てに電子メールでお願い致します.

目次

編集長から (From the Editor)

私たちの分野が使われる範囲を広げる (Extending Our Field’s Reach)

Diomidis Spinellis , Athens University of Economics and Business

複雑なプロジェクト, バージョン管理, 国際的な連携に対応するためにソフトウェア開発者が磨きをかけてきたテクニックやプロセスは, 他の分野や業界にも役立ち得るだろう.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060004.html

コンピューティングについて (On Computing)

私は, 個人的には我らの新たなコンピュータ大王を歓迎する (I, for One, Welcome Our New Computer Overlords)

Grady Booch

すばらしい思考力のAIの台頭を多くの人が恐れている. そのような恐れは, 良くて根拠がなく, 最悪誤解を招く.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060008.html

洞察 (Insights)

クラウドにおけるコネクティッドカー (The Connected Car in the Cloud)

遠距離通信サービスをプロトタイピングするプラットホーム (A Platform for Prototyping Telematics Services)

Tobias Häberle , Daimler TSS
Lambros Charissis , Daimler TSS
Christoph Fehling , University of Stuttgart
Jens Nahm , Daimler TSS
Frank Leymann , University of Stuttgart

コネクティッドカーのプロトタイピングプラットホームは, コネクティッドカーと相互作用するアプリケーションのバックエンド及び, 開発者に対するそのような接続されたデバイスの抽象化をもたらす. このプラットホームは, 身元管理やデータストレージのようなサービスも提供する. このプラットホームの主な目的は, アプリケーションを成功させるための実験, プロトタイピング, アイデアの評価, 市場への投入時間の短縮である.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060011.html

依頼記事 (Invited Content)

編集者: Steve Counsell, Brunel University, Uxbridge, UK

コードの責任者の観点 (Code Ownership Perspectives)

“コードの責任者—品質の課題”というエッセイで, Sigrid Eldh氏は特定の状況で品質に注目し, テストコードの責任者も考慮してコードの責任者を適応させることを論じている. “コードの責任者—研究が暗示するよりもややこしい”というエッセイでBrendan Murphy氏はコードの責任者のより広く, 深い分析を論じている.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060018.html

証拠の声 (Voice of Evidence)

アジャイルコンパス:アジャイル開発チームの成熟度を見極めるツール (Agile Compass: A Tool for Identifying Maturity in Agile Software-Development Teams)

Rafaela Mantovani Fontana, Pontifical Catholic University of Paraná
Sheila Reinehr, Pontifical Catholic University of Paraná
Andreia Malucelli, Pontifical Catholic University of Paraná

研究者らは, アジャイルソフトウェア開発チームがどのように発展するかを調べた. 彼らは, 9チームのプラクティスの発展を分析し, その過程が特異であることを見つけた.各チームは, そのチームの環境を元にプラクティスを取り入れ, 直面した課題に基づいてプラクティスを改善した. この調査を用いて, 研究者らは実際のチームの価値と原則に裏付けられたアジャイル開発の改善のガイドライン集に基づくアンケートであるアジャイルコンパスを設計した.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060020-abs.html

信頼できるコード (Reliable Code)

限界の外 (Out of Bounds)

Gerard J. Holzmann, Jet Propulsion Laboratory

信頼できるコードを書くことは, 限界を理解するということである. 計算で利用できるのは有限なメモリー量にすぎず, 計算を実行するためには有限の時間しかなく, 我々が保管し, 変更するすべてのオブジェクトは有限でなければならない. リソースには同様に限界がある. スタックに限界があり, キューに限界があり, ファイルシステムの容量に限界があり, 数字にすら限界がある. このことでコンピュータ科学の世界は数学の世界とまったく異なったものになるが, コードを書くときにそのことを考慮する人はあまりにも少ない.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060024.html

ゲスト編集者の イントロ (Guest Editors’ Introduction)

リファクタリング (Refactoring)

Emerson Murphy-Hill, North Carolina State University
Don Roberts, University of Evansville
Peter Sommerlad, Fachhochschule Ostschweiz / Hochschule für Technik Rapperswil
Bill Opdyke, JPMorgan Chase

リファクタリングは,通常ソフトウェアの設計を改善するために, 外部から見える振る舞いを変更せずにプログラムのソースコードを変更する. 本号に選んだ記事は,リファクタリングの研究の起源を探る歴史的なものから,リファクタリングに関するソフトウェア開発者の知見を探る実践的なもの,世に出回っていない新しいリファクタリングテクニックを探る理論的なものまでの範囲に及ぶ.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060027.html

特集:リファクタリング (Focus: Refactoring)

リファクタリングの誕生 (The Birth of Refactoring)

影響の大きなソフトウェア工学研究の特徴に対する振り返り (A Retrospective on the Nature of High-Impact Software-Engineering Research)

William G. Griswold, University of California, San Diego
William F. Opdyke, JPMorgan Chase

本記事では, リファクタリングのアイデアが如何に登場し, それが2つの博士論文で育まれたかを振り返る. その分析は, 自らの仕事に大きなインパクトを求めている研究者と実践者の両方にとって有用な洞察を提供する.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060030-abs.html

リファクタリングの迷信 (Refactoring Myths)

Munawar Hafiz, Auburn University
Jeffrey Overbey, Auburn University

リファクタリングの迷信は, ツールの意図, ツールが従う原則, ツールの頑強性, ツールへのサポートというようなツールに基づくリファクタリングの一般的な誤解である.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060039-abs.html

リファクタリングの導入に対する課題と解決策(Challenges to and Solutions for Refactoring Adoption)

産業界の観点 (An Industrial Perspective)

Tushar Sharma, Siemens Technology and Services Private Limited
Girish Suryanarayana, Siemens Technology and Services Private Limited
Ganesh Samarthyam, independent consultant and corporate trainer

リファクタリングの産業界での導入を促進するためには, いくつかの実践上の課題を解決しなければならない. Siemens社のインドの開発センター での調査結果からリファクタリングの導入に関する共通の課題が浮かび上がった. 開発センターは, これらの課題に対応する方法を考案し, 実装している.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060044-abs.html

モバイルデバイスの非同期実行のためのリファクタリング (Refactoring for Asynchronous Execution on Mobile Devices)

Danny Dig, Oregon State University

同期コードを非同期コードに変えるリファクタリングで, モバイルアプリの応答性が改善し得る. しかし, 非同期を使うことで障害ももたされる. 研究者らは, 助けとなりえる教育的なリソースとツールを開発した.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060052-abs.html

リファクタリング-暗闇の1発か? (Refactoring — a Shot in the Dark?)

Marko Leppänen, Tampere University of Technology
Simo Mäkinen, University of Helsinki
Samuel Lahtinen, Tampere University of Technology
Outi Sievi-Korte, Tampere University of Technology
Antti-Pekka Tuovinen, University of Helsinki
Tomi Männistö, University of Helsinki

インタビューを受けたソフトウェアアーキテクトと開発者のグループは, リファクタリングに価値があるが, 上役や顧客に説明したり, 正当化することに難しさを感じている. その人達は, リファクタリングの必要性や影響を定量化するために測定を用いていなかった.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060062-abs.html

データベースリファクタリング (Database Refactoring)

現場で得られた教訓 (Lessons from the Trenches)

Gregory Vial, HEC Montreal

あるソフトウェア開発会社が物流アプリケーションのデータベースをリファクタリングした. そのプロジェクトは明確なデータベースの開発規約を採用し,データベース自体にその規約文書を格納した. 著者らは, 一般的なリファクタリングの運用に関するツールの開発も含む, 重要な教訓を考察している.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060071-abs.html

主張/反論 (Point/Counterpoint)

リファクタリングツールは十分信頼できる(Refactoring Tools Are Trustworthy Enough)

John Brant

リファクタリングツールが有用であるために, 正しさを保証する必要はない. 時として, 不完全なツールがとても助けになることがある.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060080.pdf(574KB) pp. 80

信頼は勝ち取らねばならない (Trust Must Be Earned)

Friedrich Steimann, Fernuniversität in Hagen

バグのないリファクタリングツールを作ることは, 本当に大変である. しかしながら, ツールの開発者は自分達のツールが本当に受け入れられるためにこの挑戦に向き合わなければならないだろう.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060080.pdf(574KB) pp. 81-82

主要記事: 要求工学 (Feature: Requirements Engineering)

大規模な契約に基づくプロジェクトで品質要求に対処する (Coping with Quality Requirements in Large, Contract-Based Projects)

Maya Daneva, University of Twente
Andrea Herrmann, Herrmann & Ehrlich
Luigi Buglione, Engineering Ingegneria Informatica

大規模なソフトウェアシステムを納品する契約は, システム品質, 予定表, 開発コストと労力, サービス品質保証に取り組まねばならない. 20名のソフトウェアアーキテクトに対する調査により, それらの人達がこのような状況で品質要求に対処している方法が明らかになった.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060084-abs.html

ソフトウェア技術 (Software Technology)

未来をのぞいてみる (Looking into the Future)

Christof Ebert, Vector Consulting Services

世界のソフトウェアビジネスリーダーに対する調査とインタビューで, 今後30年間に渡るソフトウェアビジネスを前進させるだろう成功要因を探った. しかしながら, 我々が人間性2.0-あるいはポスト人類の社会に発展するか否かに対する回答は得られなかった.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060092.html

実践者のまとめ (Practitioners’ Digest)

ソフトウェア品質, 省エネ, その他 (Software Quality, Energy Awareness, and More)

Jeffrey Carver, University of Alabama
Aiko Yamashita, Yamashita Research
Leandro Minku, University of Leicester
Mayy Habayeb, Ryerson University
Sedef Akinli Kocak, Ryerson University

本記事では, 2015年のInternational Conference on Software Engineering と結びついたイベントで発表された6件の論文について論じる. これらの論文は, 組織的要因とソフトウェア品質, マイクロクローン, ビッグデータプラットホーム, 省エネコミット, オープンソースソフトウェアアーキテクチャー, そして要求工学を網羅している.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060098.html

ソフトウェア工学 (Software Engineering)

Barry O'Reilly がリーンな企業を語る (Barry O'Reilly on Lean Enterprises)

Johannes Thönes, ThoughtWorks

Software Engineeringラジオが, Lean Enterprise: How High Performance Organizations Innovate at Scaleの共著者であるJohannes Thönes 氏とBarry O'Reilly氏を招き, リーンな企業について論じる. リーンな企業は, その既存の製品を市場で維持しながら, 首尾よくイノベーションを起こす大きな組織である.
https://www.computer.org/csdl/mags/so/2015/06/mso2015060101.html