IFRSの盛り上がりとともに、XBRLについても注目が集まってきています。XBRLは必ずしも、IFRSだけで使用されるものではありませんが、ここでは、XBRLの基本的な説明とIFRSとの関係について、説明したいと思います。 - ○XBRLとは
- XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は財務会計などビジネスレポーティング情報を異なるシステム間で流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語です。
XBRLは大きく、XBRL-FR (Finacial Report)とXBRL-GL(Global Ledger) に分けることができます。XBRL-FRは財務報告用として使用されます。すでにXBRL-FRは広く使われつつあり、金融庁のEDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)、東京証券取引所のTDnetなどをはじめ広く使用されています。 XBRL-GLは内部報告用として使用することが出来ます。企業内に複数存在するシステムにおいて利用する内部データを、XBRL-GLを利用することで、統一することが可能になります。
表 1 XBRL-FRとXBRL-GL
 - ○XBRLの構造
- XBRLの構造の特徴として、タクソノミとインスタンス文書から構成されていることにあります。
タクソノミは、タクソノミスキーマとリンクベースから構成されます。 タクソノミスキーマーには、勘定科目名や注記事項などの項目名が定義されています。 リンクベースには、各項目間の関係や各項目に対する追加情報などが入ります。 リンクベースは次の種類があります。- * 表示 リンクベース
各項目間の表示順を定義 * 計算 リンクベース 各項目の計算の関係を定義 * 定義 リンクベース 項目間の様々な関係を定義 * 名称リンクベース 各項目の表示名称(ラベル)を定義 * 参照リンクベース 各項目の根拠となる参考文献を定義 インスタンス文書には、タクソノミで定義された項目の具体的な値を入れます。 - ○XBRLのメリット
- 今まで、複数の企業の財務データの比較表を作りたいと思った時、それぞれのWebサイトにある独自の表形式のデータを、それぞれの数値の意味を考えながら、表計算ソフトなどにカットアンドペーストして作成することになります。
もし、この財務データがXBRL形式で作成されていれば、それぞれの数値データが意味付けを持ったデータとして取得が可能なので、必要な数値を簡単に抽出することができます。また取得した情報の加工も簡単に行えるので、データの比較なども簡単です。 - ○IFRSタクソノミ
- EDINETのタクソノミは、日本基準に準拠したものですが、会計基準をIFRSに準拠するようにした場合、IFRSに対応したタクソノミを使用することになります。
・IFRS Taxonomy 2010 ・日本語タクソノミ - ○XBRLの可能性について
- XBRLは、財務報告という面ではすでに広く利用されています。そして会計基準がIFRSに統一されれば、比較が容易になるので、XBRLのメリットはさらに活かせるということになります。
*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。 |