事例

業務可視化サービス導入事例 三井生命保険株式会社様(現 大樹生命保険株式会社様)

「効率UP!しごと見える化!?」プロジェクト。業務効率化とサービス品質の向上を実現し、現場のマネジメント力も向上

「いつの時代も、お客さまのためにあれ」を掲げ、戦前より各種保険商品を展開し、市場環境の変化や多様化するお客様ニーズに応えるべく変革に挑戦し続ける三井生命保険様。
同社の保険契約事務全般を担う事務センターでは、業務が属人化し定年退職による業務継承などの問題を抱えていました。そこで、業務の見える化により業務改善の仕組みの基盤を構築し、業務効率化およびサービス品質の向上を実現。現場のマネジメント力向上や組織間のコミュニケーションが活発化するなど大きな効果を挙げています。

導入背景

「事務センターBPR計画」の中核として業務の見える化をスタート、「4つの見える化」を実施

三井生命保険様は1927年創業以来、初代社長の団琢磨氏が掲げた「いつの時代も、お客さまのためにあれ」を経営哲学とし、各種保険商品の販売と保険金支払、資産運用事業を展開しています。新商品の開発やタブレット型情報端末「ミレット」を活用した契約手続きのペーパーレス化など次々と新サービスを打ち出し、市場環境の変化や多様化するお客様ニーズに対応すべく変革に挑戦し続けています。

同社の事務センターは、個人および企業保険契約の事務全般を担っており、長い歴史があります。業務機能の集約化に伴いお客様窓口としての重要性も高まり、現在700名規模で運営しています。

しかしながら、担当者間で生産性や品質にばらつきが発生するなど属人化が進み、ベテラン担当者の定年退職時の業務継承の問題などを抱えていました。

業務効率化推進室の室長を務める石司氏は、次のように語ります。

「業務効率化による組織の生産性向上、高品質なお客様サービスの実現は、事務センターの重要課題でした。そこで、『事務センターBPR計画』を立上げ、見える化プロジェクトを業務効率化の中核施策として位置づけました。業務効率化の効果が高いシステム化は、これまでに一定の対応を行ってきたため、本計画では「見える化」による業務改善・効率化を重視しました。「見える化」は全従業員を巻き込む必要がありますので、キャッチフレーズを『効率UP!しごと見える化!?』と定め、事務センター全体を対象としたプロジェクトをスタートしました」


同プロジェクトでは、次の「4つの見える化」を実施しました。
1つ目の「事務手順の見える化」では、既存の事務手順書類を体系的に記述し直す作業を行った上で、業務処理単位を設定し実績を把握できる仕組みを構築しました。
2つ目の「業務実績の見える化」では、設定された事務処理単位毎に各担当者が処理時間などを入力。
3つ目の「業務運営状況・改善活動の見える化」では、入力された実績データに基づき、管理者が課題を明確化し、改善プランを策定・実行していきました。
4つ目の「相互支援の見える化」では、管理者が業務量を予測し、要員配置をタイムリーに見直すことにより、組織のパフォーマンスを向上させていきました。

上記の1つ目は「可視化フェーズ」、2~4は「改善フェーズ」という位置づけであり、「可視化フェーズ」を全面的にお手伝いしたのがオージス総研グループでした。

導入のポイント

保険業界の知識と可視化業務の実績がオージス総研グループ採用の決め手に

オージス総研グループをパートナーとして選んだ理由について、業務効率化推進室審議役の藤村氏は、「同業他社の事例を収集したり、ベンダーからの提案を比較検討したりする中で、複雑な保険事務業務に精通、かつ保険会社における手順書整備の実績をお持ちのオージス総研グループにお願いするのが最適と判断しました」と語ります。

三井生命様の保険システム開発や保守業務を20年以上受託しているさくら情報システムの実績と信頼に加え、保険業界での可視化業務ノウハウを持つオージス総研との“協働”提案が高く評価されたのです。

藤村氏は、事務手順の見える化を外部委託した背景について次のように語ります。

「実は、過去に何度か手順書の見直しを行っていたのですが、記述レベル・ルールがバラバラである等により利用面での問題が生じていました。そこで、『新しく配属された要員が理解し業務が遂行できる』というコンセプトを策定し、全組織の記述レベルを揃え体系化することにしたのです。初の試みだったこともあり、オージス総研に任せて着実に遂行したいと考えました」 

オージス総研では、三井生命様が収集した既存の手順書や担当者の手書きノートなどを元に、業務フローやマニュアルなどのドキュメントを完成させました。

また、さくら情報システムでは、可視化されたドキュメントを元に設定された業務処理単位毎の実績を把握する仕組みとして「見える化システム」を開発し、業務実績をモニタリングできる仕組みを作りました。こうしたオージス総研グループとしての“協働”の取り組みにより業務遂行を支援したのです。

三井生命様初の大規模な見える化プロジェクトをオージス総研グループ挙げて支援

プロジェクトの遂行にあたっては、大規模かつスケジュール上の制約から効率的に進める必要がありました。

藤村氏は、工夫した点について「初めてで不安もあったので、パイロットチームを選定し、見える化を先行実施し効果を確認した上で、事務センター全体に展開しました」と語ります。
また、苦労した点について、現場の理解や協力を得ることだったと振り返ります。
「ユーザー部門は事務手順の見える化には協力的でしたが、効率化の追求において、業務実績を毎日入力することは業務負荷もあるため、当初は抵抗感もありました。しかし、残業削減効果などをデータで地道に示すことで、現場の意識も次第に良い方向に変わっていきました」(藤村氏)

オージス総研グループでは、キックオフ設定による関係者の意識づけ、専門チームによる品質管理、発生した問題の解決、柔軟な運営などを工夫し支援しました。
プロジェクトは無事に目標を達成し、現在も各部門で継続的にPDCA サイクルを回しています。

石司氏は、プロジェクト成功の要因を3つ挙げます。
「目的を明確化し目標を定量的に示すこと、各所属長の主体的な関与、推進組織が各所属任せにせず積極的かつ継続的に働きかけることがポイントだと思います」

導入効果

生産性向上と高品質化の実現、そしてマネジメントツールへと進化

藤村氏は、効果について次のように語ります。
「見える化は、業務改善の仕組みの基盤であり、改善活動により属人化が解消し安定的な組織運営の礎となりました。定量的な効果として、無駄な空き時間の削減、処理時間の短縮、残業時間の削減が挙げられます。ミスが減少し業務品質も向上しています。繁忙時に他チームへの応援を要請するなど要員計画がタイムリーに行え、全体最適化を実現できました」

「従前は、上司と部下で『すごく忙しい』といった抽象的な会話だったのが、数字を示して話し合うようになり、時間意識の醸成につながっています」(石司氏)
 

さらに、マネジメントツールとしても役立っています。
「チームリーダー層のマネジメント力が格段にアップしました。マネジメント経験が乏しい管理者にとって、チームの運営状況を的確に把握でき、チーム内外でのコミュニケーションに使える見える化は今や手放せません。当初は業務の効率化が主目的でしたが、マネジメントツールも兼ねる形への進化は思いがけない嬉しい効果です」(藤村氏)

今後について

未知なる可能性を秘める「見える化」これからの新しい提案に期待

今後の課題は、業務プロセスの見直しと継続的な効率化の推進、新しいマネジメントスタイルの確立と運用です。
「業務効率化に終わりはなく永続的に続けていかねばなりません。現場の多能工化を進める上で、生産性との両立も重要なテーマです。また、今後も取り組みを持続的に機能させる仕組みづくりも非常に重要です」(石司氏)

最後に、オージス総研グループの評価と期待を語っていただきました。
「手順書を分かりやすくまとめ直していただき、プロジェクト中に発生した問題点や追加要望に対しても粘り強く対応してもらい、依頼して良かったと思います」(藤村氏)
「現在、事務センター以外の一部の本社部門や営業拠点にも「見える化」を導入しており、事務センターと同様の効果を創出できるように取り組んでいるところです。見える化は業務変革につながる未知の可能性を感じます。これからも、オージス総研グループには先進事例の紹介や新サービスのご提案をぜひお願いします」(石司氏)

担当者の声

見える化プロジェクトのノウハウを活かし、業務効率化でお悩みの企業のお役に立ちたい

大規模な事務センターにおいて、業務可視化だけでなく、業務処理単位まで分解・見える化し、処理時間の削減を実現されたのは、稀有な成功例だと思います。

オージス総研グループにとって、このような大規模見える化プロジェクトを協働で行うことは初めての経験でしたが、キックオフ設定による関係者の意識づけ、専門チームによる品質管理、発生した問題の解決、柔軟な運営など、プロジェクト管理のノウハウを活かし取り組みました。

手順書の見直しに関しては、追加資料や内容の変更追加のご要望などいただき、想定よりも作業ボリュームが増えましたが、「お客様に使っていただけるものをご提供する」という目標の下、お客様のご要望にできるだけ沿うよう心がけました。得意とするモデリング技術や業務の全体を俯瞰するスキルを発揮することができました。貴重な経験を与えてくださった三井生命様に心から感謝しております。

この経験を活かし、これからも業務効率化の課題を抱えておられる企業のお役に立ちたいと考えます。

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