ChatGPTとは?安全にビジネス利用するために知っておきたいメリットや課題を解説

 皆さんはChatGPTをどのように生活に取り入れていますか?日常的なケースや、ビジネスで活用している方も多いのではないでしょうか。
 本コラムでは、ChatGPTの基本的な仕組み、ビジネスで活用する際の利便性やセキュリティ課題について解説いたします。

ChatGPTの仕組み

ChatGPTとは

 ChatGPTとは、対話形式のインターフェースであり、入力した質問や要望に対する回答を提示します。
 アカウントを登録するだけでWebやアプリから誰でも利用できる手軽さと自然な会話ができるAIとして、公開された2022年11月から一大ブームを巻き起こしています。

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GPTモデルとは

 ChatGPTは、OpenAI社が作成した大規模言語モデル(LLM)である「GPT」をベースに開発されたAIチャットボットです。  GPTは「Generative Pre-trainined Transformer」を省略して呼ばれており、以下のようなそれぞれの言葉の意味通り「学習済みの生成AIモデル」です。

  • Generative
     「生成的な」という意味であり、GPTが入力データに対して新しいデータを生成することを表しています。
  • Pre-trainined
     「事前学習済みの」という意味であり、作成に必要となるモデルの学習がすでに完了していることを表しています。
  • Transformer
     Googleが2017年に発表した自然言語の深層学習モデル名であり、GPTをはじめさまざまなモデルがTransformerのモデル設計をもとに作られています。

 GPTモデルは、2018年に公開された初期モデルである「GPT-1」からアップデータが繰り返されており、「GPT-2」「GPT-3」「GPT-3.5」から、現在は20233月にリリースされた「GPT-4」が最新版となっています。(20243月現在)
 ただし、ChatGPTでは公開当初からGPT-3.5がベースになっており、月額$20の有料プラン「ChatGPT Plus」であればGPT-4をベースに選択できます。(20243月現在)

ChatGPTにおける3.5と4の違い

 ChatGPTの搭載モデルをGPT-3.5からGPT-4すると、以下のような改良点があります。

1. 学習データの期間

 GPT-3.5は2021年9月までの学習データでしたが、GPT-4では2023年4月までの学習データとなりました。また、有料プランのChatGPT PlusではGPT-4を利用しているだけでなく、標準のWebブラウジング機能によって、最新の質問にもWeb検索を行って回答することが可能です。

2. マルチモーダル対応

 GPT-3.5ではテキスト、音声を処理することができます。GPT-4からはさらに画像の処理もできるようになったことで複数のデータ形式を処理できるマルチモーダルAIの特徴を持ち、画像の翻訳やテキストからの画像生成が可能になります。

3. 受け答えの精度

 GPT-3.5に比べてパラメータ数が大幅に向上したことにより、GPT4ではモデルの表現力が上がり受け答えがさらに自然となりました。また、GPT-4では回答が事実に基づくかどうかに関する精度がGPT-3.5より40%向上しています。

4. 日本語の精度向上

 GPT-3.5では英語の精度が一番高く、日本語の精度は比較的低く回答も不自然という面がありました。しかし、GPT-4では日本語精度が79.9%となり、GPT-3.5での英語精度70.1%より高くなりました。

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ChatGPTのユースケース

 ChatGPTは日常的な個人利用や社内でのビジネス利用などさまざまな用途で活用できます。
 日常的な場面では、ブログの文章を生成したり、食事の献立を考えたり、ふとした疑問を質問したり、使い方は無限大です。
 ビジネス面でもChatGPTを活用することで業務効率化や顧客満足度向上を実現できます。ここからは、ChatGPTをビジネスで活用するユースケースをご紹介します。

1. 開発者向けのユースケース

 ソフトウェア開発においても業務効率を上げるためにChatGPTを活用することができます。ChatGPTはチャットベースで依頼することで要件にあったソースコードを作成することができるため、正規表現やプログラムの実装結果を回答してくれます。
 また、プラグインを利用してさらに便利になります。例えばテキストエディタである「Visual Studio Code」のChatGPT拡張機能を利用すれば、コメントから新規で実装したりソースコードのリファクタリング、テストコードの作成が自動化されます。

2. 会議支援

 ChatGPTに議論の目的や要件を伝えることで、会議のアジェンダを事前生成することができます。
 また、会議の音声データからの議事録生成、生成した議事録から会議の要点をまとめたり、要点からタスクを起票することも自動化できるので、担当者の負荷を軽減します。

3. 文書作成・検索

 文書作成や検索でもChatGPTで業務効率化を実現できます。例えば、あらゆる業務文書のドラフト案を作成したり文書の変更点抽出や誤字脱字チェック、翻訳を自動化することができます。
 また、新しい知識を習得する場面でも、インターネット上の広範囲の知識を迅速にまとめて表示してくれるため、効率的に情報収集することができます。
 ChatGPTによる効率的な情報収集とコンテンツ生成により、顧客サポートや開発担当者の工数を削減し、より生産的な作業に集中できるようになります。

ビジネス利用の課題

 ChatGPTを利用することにより得られるメリットは大きいですが、以下のような課題も伴います。

1. セキュリティリスク

 ChatGPTは外部サービスのため、企業内で利用する際は情報漏洩などのセキュリティリスクが懸念されます。例えば、ChatGPTでのユーザーの質問文(プロンプト)はモデルの学習に利用されたり、OpenAI社員やサードパーティ業者にレビューされる可能性があるため、チャットでは個人情報や社内機密情報を入力しないよう個々の従業員が意識しなければいけません。
 また、コンプライアンス上不適切な利用を社員にさせないために利用ルールの策定も検討した方が良いでしょう。
 ChatGPTにはやりとりの内容などユーザー利用状況の監視機能が用意されていないため、厳密に管理するには別途実装する必要があります。OpenAIのプライバシーポリシーでもセキュリティ対策が記載されていますが、脆弱性によるサイバー攻撃や障害による情報漏洩を考慮して企業側でも対策を立てる必要があります。

2. 情報の正確性

 GPTのバージョンアップにより受け答えの精度は上がってきていますが、実際に利用する際には懸念点があります。
 ChatGPTはGPT-3.5モデルの場合、2021年9月までの学習データであり以降の情報を反映していないため、古い誤った情報をあたかも最新の正しい情報として提供することがあります。ですので、ユーザーはGPTのバージョンによるデータの学習期間を意識しながら利用しなければいけません。
 また、ChatGPTの回答内容はオリジナリティが少なく、インターネット上の内容を要約して回答しているので正確な情報だけではありません。精度を過信して社内の重要な意思決定をChatGPTからの回答だけでするのではなく、信頼できるソースの情報と比較し、情報が正しいか確認まで行うことが重要です。
 さらにChatGPTでコンテンツを作成しそのまま利用すると、元の作成者の著作権に気付かず盗作となる恐れがあります。

3. 社内独自のノウハウに対応していない

 ChatGPTは一般的な知識だけで、社内独自のノウハウは持っていません。そのため、社内の規定に関する質問に対しても一般知識だけで回答するため、誤った情報でユーザーに回答する恐れがあります。  ChatGPTのAPI機能を利用してチャットボットを導入しても一般的な日常会話のみで社内独自のノウハウに関する回答はできないため、ビジネス利用は難しいでしょう。

 これらの課題を対処することで、社内でもChatGPTの利便性を最大限に活かしながら利用することができます。

ChatGPTを安全にビジネス利用するために

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