オージス総研「OGIS Group Forum 2024」開催レポート 後編
2024年11月13日から15日の3日間にわたり、「急速な社会変革への対応と新たな価値創出に向けた挑戦」をテーマに「OGIS Group Forum 2024」がオンラインで開催されました。オージス総研グループがご支援する、攻めの姿勢でビジネスを加速するお客様の先端事例が広く紹介され、さまざまなビジネス、ITに関する課題をお持ちのお客様に向けて、変革へのヒントを提供する場となりました。その模様を前編、後編に分けてレポートします。※「OGIS Group Forum 2024」の各講演の講演者、講演内容など詳しい情報は以下サイトをご覧ください。
OGIS Group Forum 2024(外部サイト)

新価値創造
講演されたお客様紹介

「生成AI×行動観察で、新たな仮説生成をドライブする」
ソリューション開発本部 コンサルティング・サービス部 新価値創造チーム 中村 和哉
オージス総研では、人々の行動を観察し潜在的なニーズや課題を導く「行動観察」手法と生成AIとを組み合わせて活用する取り組みを進めてきました。本セッションでは、行動観察と生成AIを組み合わせた、新しい仮説生成手法の解説でした。一例として、90年代を代表するJ-POP歌手のファンの音楽遍歴調査への活用例が紹介されました。この調査では、生成AIを使って生成した仮想の調査対象者から、ある歌手にまつわる詳細なエピソードを引き出す手法が用いられました。例えば、歌手Aのファンはビートやダンスに惹かれ、40代で再び聴き始める傾向がある一方、歌手Bのファンは歌詞やメッセージ性の共感がベースであり、年齢を重ねてから戻ることが少ないという結果が得られました。この「生成AI×行動観察」の手法は、プレ調査や簡易調査、インタビュートレーニングなどでの活用が期待されています。
「新規事業開発のボトルネックを解消!VANTIQでアイデアをサクっと形に!」
ソリューション開発本部 エンタープライズソリューション第五部 第二チーム 奥山 悠里
新規事業のPoC(Proof of Conceptの略、概念実証)におけるボトルネックは、検証用システム構築の手間や時間がかかること、PoCの中でシステムを改善しても効果をすぐに確認できないといった点が挙げられます。これらの問題に対し、本セッションでは、オージス総研が開発した「VANTIQ」の導入により、共通システム基盤の構築、開発時間の短縮、リアルタイムの効果確認が可能となることを解説しました。VANTIQの主な特徴は3つあります。 1つ目は、高速開発:ビジュアル開発ツールを用いたローコード・ノーコード開発が可能、2つ目にはPaaS(Platform as a Service):開発から運用までの環境をワンストップで提供、そして3つ目は、 イベント駆動アーキテクチャ:リアルタイム処理の実現です。奥山氏は、VANTIQを新規事業開発の共通システム基盤として活用することで、アイデアを迅速に形にできると期待を述べました。
システム運用自動化
講演されたお客様紹介

「圧倒的なシステム運用工数削減!~Daigasグループ運用自動化への挑戦~」
プラットフォームサービス本部 クラウドソリューション部 データエンジニアリングチーム 安藤 誠
クラウドサービスの活用が加速する一方で、システム運用が複雑化している実態があります。また、2030年までにIT人材が最大80万人不足すると指摘されており、これらの問題に対処するためのシステム運用自動化技術が注目されています。本セッションでは、大阪ガスグループにおけるシステム運用の自動化への取り組みが紹介されました。大阪ガスグループでは、システム監視対象は約4,000台、月間アラート数は20,000件という非常に大規模なシステム運用を行っていましたが、運用自動化により16,500時間もの工数削減を達成しました。この大阪ガスグループでのノウハウをもとに開発された運用自動化ソリューション「Cloud Arch(クラウドアーチ)」、AIOps (IT運用のための人工知能)、生成AI適用について紹介されました。
生成AI
講演されたお客様紹介

「極小サイズの機械学習(TinyML)の紹介と今後の展望」
ソリューション開発本部 組み込みソリューション部 ビジネスインキュベーションチーム 古城 章久
ビジネスでのAI導入が進んでおり、業務効率化や人員不足の解消、イノベーション創出などが期待されています。特に、製造業におけるAI導入メリットとして、改善・効率化、検知・予知、製品価値向上が挙げられます。一方で、AIの動作環境は、クラウドやエンドポイント(通信ネットワークに接続されたユーザーの端末や機器のこと)など多様化・複雑化しています。本セッションでは、「TinyML」の概要、適用例などについて解説されました。TinyMLとは、組み込みデバイスなどで機械学習を実行するための技術のことです。オージス総研の取り組みとして、メモリや処理能力の限られたデバイス上で機械学習を実行するためのモデル構築、実装などのTinyMLソリューションや技術コラムが紹介されました。
オージス総研のグループ会社の講演では、DX化、生成AI活用、データ管理など各社の最先端のソリューションが紹介されました。
「生成AI+AI OCRソリューション『AI TextSifta』ご紹介」
さくら情報システム株式会社 サービス推進部 統括部長 藤田 葉子 氏
同社では、請求書はじめ企業固有の非定型な電子帳票や写真を、生成AIの力で高精度にデータ化し、各項目の単純なデータ化だけでなく、生成AIが判断可能な付加情報まで出力可能なサービス「AI TextSifta(エーアイ・テキストシフタ)」を2024年6月より提供しています。具体的なユースケースと共に、本サービスの活用方法が紹介されました。
「AVEVA™ PI System™(信頼性の高いデータ管理インフラ)ご紹介」
株式会社宇部情報システム デジタルエンジニアリング部 マネジャー 原田 崇司 氏
お客様にデータ利活用支援サービスを提供する同社のデータインフラツール「AVEVA™ PI System」が紹介されました。このツールは、工場内のさまざまな設備と連携し、データの収集、一元管理、可視化、利活用を実現することで、工場内で閉ざされていたデータを全社で活用できるデータへと拡張するものです。また、他システムとの連携についても説明されました。
「DXが実現する、持続可能な次世代のデータ活用基盤」
株式会社アグニコンサルティング BA部 シニアマネージャー 小川 和輝 氏
DWH(Data Ware House:データウェアハウス)の構築は、企業の一大プロジェクトと位置づけられますが、プロジェクト終了まで時間がかかりデータ活用を迅速に開始できないといった課題があります。 現在はコスト・リスクを大幅削減するELT(「Extract 抽出」「Load 書き込み」「Transform 変換」の略称)の考え方が主流となっています。同社は、リアルタイムでのデータ連携での活用の促進、SAPデータをテンプレートで約7割をDWH化しお客様の開発における伴走型での支援を説明しました。
「2024年製造業の実態とDX推進について」
株式会社アミック 販売推進室兼アカデミー準備室 室長 船田 清一 氏
製造業向けのERPパッケージを30年以上にわたり開発・販売してきた同社では、現在の製造業の状況について、経産省「ものづくり白書2024」およびIPA 「DX動向2024」から得られた考察を解説しました。特に、製造業におけるDX推進の重要性、DXを進める上での課題に焦点を当てました。
「kintoneを利用したDX事例 問合せ管理、営業活動管理、組合活動管理など3つの事例をご紹介!」
株式会社システムアンサー
「kintone」を利用した開発事例を3つ紹介しました。
(1)受発注問合せシステムー商品の注文に関する問い合わせを受領し回答するシステム(必要に応じてメーカーに対して回答を依頼)
(2)販売施工支援システムー営業マン、施工担当の日々のスケジュールおよび活動履歴を管理するシステム
(3)投票・意見集約システムー組合員の管理、投票実施管理、定期的な意見確認を実施し、レポートするシステム