・ | 前回の要約前回は、維持管理組織の現状についてケーススタディ的にご説明しました。特に、
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・ | 負のスパイラルを抜け出すためには私の結論は、「自分たちの仕事を良くするには、自分たち自身で何とかするしかない」です。前回から読み進めて来ていただいた方は、「ここまで読んで、そんな結論なのか」と、お思いになるかも知れません。しかし少し考えてみてください。仮に何とか経営層を説得してメンバーを追加してもらったとしましょう。しかし、新たなメンバーにスキルトランスファするには、今いるメンバーの時間を割く必要があります。新たな手法やツールが助けになると誰かが教えてくれたとしましょう。でもそれを習得して使いこなせるようにするには、やはり工数の余裕が必要です。つまり負のスパイラルから脱するためにどのような対策を取るにしても、まず余力を作り出すところからスタートする必要があり、それには今その仕事をしている現場メンバー自身が変わる必要があるのです。もちろん絶望する必要はありません。現場メンバーが腹をくくって、改善に取り組む意思を固めさえすれば、出来ることはたくさんあります。その方法を簡単にご紹介します。 |
・ | 5つのステップ私は現場のサポートをするにあたって、次のような5つのステップで進めるよう指導しています。![]() 図1 5つのステップ
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・ | 改善を駆動する手法これらのステップを推進していくには、以下のような手法が有効です。
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・ | 成否を決めるのは手法ではないどのような改善であっても、効果を表すまではある程度の負荷が現場にかかります。一度にいろいろな活動をするのではなく、自分達で優先順を考え、日々の仕事の中に溶け込ませるようなやり方にすることがポイントです。上記で説明した「改善を駆動する手法」は、「自分のタスクを見える化する」「終わったタスクを振り返る」をデイリーミーティングで実施するということを求めているだけなので、基本的にお作法さえ習慣化してしまえば、現場にプラスアルファの負荷をかけることは無いはずです。もちろん、これら手法は「こうすればうまく行く」といった銀の弾丸ではありません。むしろここでご説明したのは、「まずは試してみよう」という仮説検証型のプロセスを効率的に進めるための手法なのです。 でもうまく行くとは限らない活動に対して、周囲を巻き込むのは容易ではありません。チーム全体が「ダメならやり直せばいい」といったポジティブな空気を持つ必要がありますし、上長も「まずはやってみろ」と度量の広さを示す必要があります。逆に負のスパイラルに陥った組織には、「何をやっても変わりっこない」といった閉塞感が広まりがちなのです。まずはメンバー間でのコミュニケーションを活性化し、ポジティブな空気に変えていくことこそが、一番最初に必要なことであり成否を決定します。私の経験でも、効果・成果を出せるケースとは、コミュニケーションが活性化できている場合なのです。 いつか機会があれば、その秘訣と事例をご紹介したいと思っています。 |
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