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「サービスデザイン思考 ―インタビューの醍醐味について―」
株式会社オージス総研

2019年05月号
  • 「サービスデザイン思考 ―インタビューの醍醐味について―」
株式会社オージス総研   仙波 真二

はじめに

新たな製品やサービスを創出するためには、「ユーザーの本質的な問題を把握する」ことから始めるのがサービスデザイン思考のオーソドックスなアプローチで、そのための手法としてインタビューや行動観察に代表される定性調査があります。先日、定性調査について講演する機会があり、その際にインタビューのコツについて紹介しました。例えば「Open Questionで質問した方がインタビュイーの多様性を引き出せるので良い」「反論をするとインタビュイーの発言の意欲を低下させるのでよくない」「誘導はインタビュアーの価値観を押し付けてしまうのでよくない」というようなことを話しました。すると、3つ目のポイントについて「意外だった」というフィードバックをいただきました。今回の記事ではこの点について考えてみます。

インタビューのシーン
図1. インタビューのシーン

誘導するのは良くないというのは意外?

前述の「意外だった」というコメントをしてくれた人に、なぜそう思ったのか聞いてみました。すると「TVでよくやっているインタビューが普通だと思っていました。あれって、改めて考えると誘導ですよね。なので、誘導が良くないのは意外でした。」とのことでした。そういえば、スポーツの試合後に「あそこで決めることができたのは、球場につめかけたファンの声援もあったからではないですか?」と、ヒーローインタビューで質問するインタビュアーをよく目にします。そのような問いかけをされてしまうと選手は「そうですね。ファンのみなさんのおかげです!」と肯定せざるを得ないですよね。もし否定しようものならSNSでディスられてしまうので選手も大変です。一方、視聴者の中にも聞き心地の良い返答を期待する人も一定数はいるのかもしれませんので、視聴者が期待するストーリーを制作側が作ってしまうのかもしれません。そのような予定調和の世界が、前述の「インタビューで誘導するのはよくないというのは意外だった」というコメントにつながったのではないかと分析しました。

インタビューの醍醐味は?

では、インタビューの醍醐味は何でしょうか。これまでにない製品やサービスを開発する際には「これまで作り手側が全く知らなかった興味深い事実」をインタビュイーから引き出すことだと考えられます。あるいは「インタビュイー自身も気づいていなかった興味深い考えや価値観など」を引き出すこともインタビューの醍醐味ではないでしょうか。いずれの場合も予定不調和を楽しむ姿勢がそれぞれ(インタビュアー、インタビュイー、第三者)に合意されていることが必要だと思います。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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