事例
株式会社アデランス様|ルールベース開発プラットフォーム「yonobi®」活用事例
複雑化したシステムの保守にローコード開発ツール「yonobi®」を導入。仕様の見える化、ツールの導入により、お客様主体の保守体制を実現。

導入背景
複雑なビジネスルールをもつシステムの仕様変更作業が、長年の運用により困難に
株式会社アデランス様では、商品の過剰販売によるトラブルや、企業の信頼度低下を防ぐため、契約内容をチェックするシステム(以下、契約チェックシステム)を自社で構築し運用されています。この契約チェックシステムには、各商品や契約内容ごとに販売ガイドラインで定められたルールが存在しています。仕様が複雑なこのルールに変更があるたびにシステムへ適用していましたが、長年の運用により、以下のような課題が発生していました。
●ブラックボックス化しており、仕様の正確性判断や変更箇所の特定が困難
●作業が属人化しており、担当者が多忙なため、保守対応のボトルネックとなり、システム改修の即時対応が困難
●仕様の複雑化や作業の属人化により、新たな担当者への引き継ぎが困難
これらの課題を解決するために、現行の契約チェックシステムを再構築することを決定され、最適な開発手法や、ツールの導入を検討されていました。
導入ポイント
ビジネスルールに特化した「ルールベース開発」を採用
検討の結果、課題解決のための開発手法として、「ルールベース開発」を採用されました。「ルールベース開発」とは、企業活動の源であり、変化しやすい(=仕様変更頻度の高い)「ビジネスルール」をデジタル化する開発手法です。決定表形式で実装が行えるため、システム開発に詳しくない人でも、仕様把握が容易となります。また、仕様変更時の変更箇所の特定がスムーズに行えるようになります。
契約チェックシステムはまさに「ビジネスルール」を扱うシステムであり、ルールベース開発の適用が効果的ではないかとご判断いただきました。
図:ビジネスルール分離イメージ
従来のJavaなどのプログラミング言語を利用した実装方法と違い、専用言語の習得を必要としないため、特に本事例では属人化の解消、防止に効果を発揮しました。
さらに、オージス総研が培ってきたルールベース開発の実績を評価していただき、システム再構築時の業務整理、システム構築を実施する運びとなりました。
図:yonobi®補足説明

導入効果
アデランス様が主体となる管理しやすいシステムを構築
契約チェックシステムの再構築にあたっては、ビジネスルールの整理、ルールベース開発適用に加え、スキルトランスファーを実施し、アデランス様主体でルール変更など保守を実施しています。ルールベース開発の適用および、yonobi®の導入により、以下の効果を得られたとアデランス様には実感いただいています。
●複雑な仕様の見える化
・仕様の正確性が増し、関係者間で仕様の共有、合意ができた。
・変更箇所の特定や影響範囲の確認が行いやすくなった。
●適切な保守体制の構築
・仕様の見える化、ツールの利用により順調にキャッチアップが進み、新規担当者への引き継ぎができた。
・スキルトランスファーの結果、アデランス様主体の保守体制が構築できた。
●リードタイムの短縮
・適切な保守体制の構築でボトルネック解消ができたことにより、仕様の見える化との相乗効果でさらにシステム改修の対応スピードが向上した。
図:フェーズにおける開発主担当の変遷
また、これに伴い、これまでの仕様の曖昧さや、解釈の誤りなど、問題点が浮き彫りになった。
問題点があることが判明してしまったのは残念だが、一方で、販売ガイドラインを管理する営業企画部と協力して正しい仕様に見直す良いきっかけになった。」と石川マネージャーは振り返ります。
現在、yonobi®を使って契約チェックシステムの保守を行っている小菅氏にyonobi®を利用した感想をお聞きしました。
「当時、私は入社1年目で、契約チェックシステムの引き継ぎに入る前は、まだSQLを使った開発しか経験がない状態だったが、yonobi®の利用は特別なスキルが必要なく、web画面からの操作で行うことができるので、初回に半日ほど直接のレクチャーを受けただけで、操作自体はすぐにキャッチアップすることができた。」
ルールベース開発の適用やyonobi®の導入により、当初の課題解決はできましたが、現在のアデランス様主体の開発体制に至るまでには段階を踏む必要がありました。
「初期構築に関しては、これまでのルールベース開発のノウハウを活かしてオージス総研が対応した。
構築後、すぐにはアデランス様主体で保守していただくのは難しく、しばらくの間はオージス総研が修正方針の提案を行い、それをアデランス様で対応いただくという形であった。
そこから、対応を続ける中でスキルトランスファーを行い、現在は、業務のコアとなるビジネスルール部分の保守を小菅様主体で対応いただく形になった。」と、開発を担当したオージス総研の内田は語ります。
スキルトランスファーの工程について、小菅氏は
「いきなりアデランス主体で保守を行うのは難しいと感じていた。
yonobi®の操作はすぐにキャッチアップできたものの、業務のルール変更に合わせてどのように修正するべきかを自身で考えられるようになるには業務の理解と実践経験が必要であった。
途中、大きな改修対応が発生したことがあり、その対応をきっかけに業務を理解し、実践経験を積むことができたので、今では、通常発生する業務のルール変更には自身で対応できるようになっている。」と語りました。
写真:(左)アデランス 石川様、(右)アデランス 小菅様
今後について
社内のシステム・体制改革への第一歩
石川マネージャーに今後の展望をお聞きしました。「現状、ルールベース開発やyonobi®は、契約チェックシステムのみで利用している状況である。
しかし、今後に向けては、ルールベース開発の理解をさらに深め、他の業務においても同様にこの開発手法やツールを活用し、システムや体制改革の取り組みを促進していきたいと考えている。」
オージス総研では、今後とも、アデランス様のシステムに関する取り組み促進にあたり、引き続きサポートをさせていただきます。
2023年11月10日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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