身近にあるモノや出来事を題材に、簡単な【お題】を出題し、皆様でモデリングを楽しむ活動を進めているUMLモデリングカフェ「Square」ですが、今回は趣向を変えて初心者向けのお題を複数ご用意しました。
今回は株式会社ゆめみ 奈良輪夢美さん協力のもと、モデリングの「楽しさ」の原点に立ち戻り、「誰もが楽しめるモデリング」を目的にお題を考えてみました。
進め方は、いつも通り【お題】を出題し、次回に投稿いただいた回答モデルをいくつか紹介する予定です。全問答えていただけると嬉しいですが、やってみたい問題を回答するかたちでも投稿を受け付けています。
問題として考える対象は簡単そうだと思っても、モデルに完璧な正しさはないと思っていますので、
・意図に沿ってモデルを作成する
・よりよいモデルを作成する
にはどうしたら良いかについて、本連載でワイワイと議論できれば幸いです。
目次
1.今回は特別回
今回のコラボ企画のきっかけは、2024年3月24日に開催されたオブジェクト指向カンファレンス2024で、スポンサーとして参加していた株式会社ゆめみ様のスポンサーセッション内のモデリングワークショップにモデリングカフェ編集員が参加（Object-Oriented Conference 2024 参加レポートを参照）したことでした。 同じくオブジェクト指向を愛し、モデリングを愛している者同士として意気投合した私たちは、さらに株式会社ゆめみ様の社員借り放題制度の話を伺い、「ぜひ一緒にモデリング企画をやりたい！」と話が盛り上がり、今回のコラボレーションが実現しました。
当初は、通常のモデリングカフェのお題と回答を一緒に考える形を想定していましたが、打ち合わせを重ねるうちに、お互いのモデリングへの情熱や最近のモデリング事情が見えてきました。
- 「モデル」じゃなくて「モデリング」が大事
- 一緒にやるのが大事
- その人の考えている「こだわり」や「理解」が分かることが楽しい
- 初心者が楽しめる問題にしたい…
そのような議論の中で、「いつもと違うモデリングカフェを行ってみよう！」と意見が一致しました。
そこで今回の企画では、次の3点を目的としています。
今回のモデリングカフェの趣旨
- モデルをじっくり読むこと
- 既存のモデルの中から優れたところを見つけ出すこと
- ひとつのオブジェクトを深く掘り下げて考えること
モデリングカフェ編集員として、最初は、「簡単すぎると面白くならないのでは？」という懸念もありました。しかし、奈良輪夢美さんとの議論を通じて、初心に立ち返ることで「楽しいモデリングとは何だったのか」を見つめ直す機会となり、同時に、これまでのモデリングカフェで読者の皆様にどれほど難しいお題を出してきたか、反省するきっかけにもなりました。
モデルの対象は複雑だからといって「面白い」とは限らず、逆に簡単だから「楽しくない」というわけでもありません。皆様には今回のコラボ企画を通じて、対象をまっすぐに見つめ、それをモデルとして描き出そうとしたときに感じる困難さや形にできた達成感、新しく発見した気付きを得る楽しさを味わっていただきたいと願っています。
2.今月号の問題 (出題)
今回のお題は、4つのカテゴリーに分けて全部で9問あります。
全問すべてにご回答いただいても、分かる部分のみ投稿していただいてもかまいません。
皆様の自由な発想によるご回答を楽しみにお待ちしております。
では、今回のお題です。
【お題03】モデ筋エクササイズ
問1 これな～んだ？
モデルで表現したものが何かをお答えください。
回答方法は「何のモデル」であるか、そのように考えた「理由」をお答えください。
問2 これってどういうこと？
モデルで一番表現したかったことは何だと思うかを選択肢から選んでください。
回答方法は「選択肢」と、それを選択した「理由」をお答えください。
選択肢5は自由記述なので、皆様から「自身が思うモデルで表現したかったこと」をお答えください。
モデルで一番表現したかったことは何か、以下から選んでください。
- 単品の組み合わせで定食の料金が決定する
- ごはんに汁もの、主菜と区別できれば、それは定食である
- 見て分かる構造を分かりやすく表現した
- 食堂などで、あらかじめいくつかの料理の組み合わせを決めてある献立である
- その他（回答者による自由記述）
モデルで一番表現したかったことは何か、以下から選んでください。
- クリスマスには良い子しかいない
- プレゼントは一つなので組み合わせ商品（ままごとセット）の方が有利(?)
- サンタクロースは現実にはいない（単なる役割）
- 過去のプレゼントを子供は覚えており、同じプレゼントは怒られる
- その他（回答者による自由記述）
問3 空欄を埋めてクラス図を完成させよう！
モデルの空欄を埋めてモデルを完成させてください。
回答方法は「空欄」に当てはめた言葉と「何のモデル」と考えたか、その「理由」お答えください。
空欄に何を当てはめるかによって、答えが無数にある自由度の高い問題なので自由に考えてみてください。
問4 多重度を埋めてクラス図を完成させよう！
空欄になっている多重度をお答えください。
回答方法は「多重度」と、そのように考えた「理由」をお答えください。
多重度は「1」「0..1」「0..*」「1..*」から選んでお答えください。
多重度の意味は以下の通りになります。
- 1：1つのみある
- 0..1：無い場合や、1つのみある場合がある
- 0..*：無い場合や、複数ある場合がある
- 1..*：1以上ある
3.回答モデルの送付について
締め切り
締め切りは 2025年6月30日 (月) です。
送付先
投稿方法は前回と同様です。
- Facebookへの投稿
- X（旧Twitter）への投稿
- 従来通りメールでの投稿
「Facebookへの投稿」で回答モデルの送付を受け付けます。可能であれば、こちらの形式でお願いします。オブジェクトの広場のFacebookページ（https://www.facebook.com/object.no.hiroba ）の当該記事投稿に返信する形で投稿してください。
「X（旧Twitter）への投稿」はFacebookへの投稿が難しい場合にご利用ください。モデリングカフェへの投稿と分かるようにハッシュタグ「#ogis_modecafe」を付けて投稿をお願いします。
最後に、従来通りのメール投稿も受け付けます。他の方にモデルを見られることに不安がある場合は、メールでのご投稿も利用いただけます。電子メールの場合、下記アドレスまでご送付ください。
- 回答モデル送付先： modelingcafe@ogis-ri.co.jp
- メールのタイトル：モデリングカフェ読者回答モデル【お題03】
Facebook、X（旧Twitter）、メールでも、問題で指定の在った回答を投稿ください。その際には以下に書いた項目も合わせてお知らせください。
- ペンネーム（お名前を記事に掲載しても構わない方は不要です）
- 答えた問題への回答および理由
- 難しかったところや答えた問題への感想
ご提供いただいた個人情報は、本連載記事の編集目的にのみ使用いたします。お客様の個人情報は、当社の個人情報保護方針に基づき、適切にお取り扱いいたします。また、ご本人の承諾なしに、第三者機関へ提供することはありません。
著作権について
（今回はモデルを記載する問題ではありませんが、皆様から回答を埋めたモデルを送付いただく形でもよいです。その場合は）送付いただいた回答モデルの著作権は回答者に帰属しますが、モデルの複製、配布、インターネットでの配信を、オブジェクトの広場編集部が行えるものとします。 特に取り決めのない事項については、オブジェクトの広場編集部の判断により決定します。回答者がその決定を了解できない場合は、回答を撤回できるものとします。
皆様からの投稿を記事で紹介する際には、個別に掲載（および掲載時の見栄えを整える修正）の了承をいただきたいと思いますが、掲載する可能性があることに同意の上で投稿いただくようお願いいたします。
モデルの作成について
モデルは手書きでも、ExcelやWordの作図機能を使って描いても OK です。「モデルの作成」には、以下のUMLモデリングツールなどが利用できます。他のツールや手描きでも構いません。
- astah* ： https://astah.change-vision.com/ja/
- Enterprise Architect ： https://www.sparxsystems.jp/
- PlantUML : https://plantuml.com/ja/
- Cacoo ： https://cacoo.com/ja/
※提出するモデルについては、画像ファイルまたは、astah*のモデルファイルでお願いします。
4.プレゼント企画
今回も株式会社チェンジビジョン様のご厚意で、投稿者の中から優秀なモデル回答読者に「astah*の1年間のライセンス提供」をいただけることになりました。
今回はモデリングすることを求める問題ではないので、回答と、特に回答理由を基に選ばせていただきます。
ライセンスの提供は、ちゃんとライセンス登録し、チェンジビジョン社からのメールで情報を受け取ることが条件とはなるので、投稿時にライセンスを希望することを主張いただけると選ばれやすいかもしれません。
ぜひ、奮ってご参加ください。
5.一緒に企画した奈良輪夢美さんからひと言
今回、モデリングカフェの企画から出題まで奈良輪夢美さんと一緒に行いました。
奈良輪夢美さんからメッセージをいただいたので、皆様にも共有いたします。
【感想】
私がUMLに出会ったのは2018年頃、知れば知るほど面白くて、いつの間にか夢中になっていました。そしてUMTP L2に合格したのは2021年、その頃にはいろんなものをクラス図で表現するのがマイブームでした。当時、オブジェクトモデリングに熱い仲間を探しましたが見つけられず、たどり着いたのはモデリングカフェ「Square」でした。特に「すごろく」や「印鑑」の回を見て興奮したのを覚えています。他の人のモデリングを見られることなんてありませんでしたから、こんなふうにモデリングするのか！と驚きました。
「Square」の再開は、個人的にとてもうれしく、とても期待しています。今回、一緒に問題作りをさせていただいて大変光栄でした。身の回りにUMLやオブジェクトモデリングについて語れる人がいないので、毎回本当に楽しかったです。
今回の問題は、オブジェクトモデリングにはじめて出会う方向けに考えたものです。クイズ感覚で解いてみて、オブジェクトモデリングの面白さを感じていただけたらうれしいです。
【プロフィール】
奈良輪 夢美（ならわ ゆめみ）／UIデザイナー（株式会社ゆめみ）
2023年にデザインテックリードとして株式会社ゆめみに入社。SES、制作会社、デザインコンサルティングファームを経て、フロントエンドエンジニアからUIデザイナーに。UIデザインとクライアントワークが大好き。HCD-Net認定人間中心設計専門家。UMLモデリング技能認定試験L2認定技術者。
6.さいごに
新しいコラボ企画はいかがでしたか。
皆様から「面白かった」「難しかった」などの感想だけでも投稿いただけると励みになります。
今回のコラボの反響が強ければ、また同じような企画を考えていきたいと思います。その時は「ぜひ手伝いたい」などのお声も掛けていただけると助かります。
毎度毎度になりますが、唯一の正解となるモデルというのはありません。観点が変われば違うモデルになることもモデリングしてみると分かります。そういった捉え方の違いも含めて、友人と会話し、様々な可能性やより良い観点を「見出す」ことが、私たちがモデリングカフェを再開した目的になります。
皆様から、Facebook、X（旧Twitter）、メールでの積極的な投稿をお待ちしております。