WEBマガジン

「<人工知能, Global Businessなど> Topics(2)」

2018.12.17 株式会社オージス総研  乾 昌弘

1.はじめに

10月号 に引き続き、(2010年7月より当Webマガジンに掲載した)余談特集をお送りいたします。「歴史は繰り返す。古きを温ね新しきを知る」という観点から 「その時代の背景など」もわかると期待しています。前回より真面目な?内容になると思います。

2. 英語に関すること(下)

2-1.「マンション」に驚いた!

(1)以前、京都に住んでいたアメリカ人の青年が、お母さんに電話で日本の住所を教えた時でした。「、、、 ××Mansion ○○Cyo Kyoto City」と言うと " Mansion !! " と大声で叫んだそうです。
(2)「、、、 ××大豪邸 ○○町 京都市」と思ったようです。英語では、Apartmentが一般的で、購入した場合は、「 condominium(condo)」といいます。

アパートか?マンションか?
図1.アパートか?マンションか?

2-2.アメリカ人は文法どおり話すと思った時

(1)以前、夫婦で米国に住んでいた頃、妻がスーパーに行って「クノールはどこにあるか」訊いたところ「ノール?」と訊き返されたそうである。「ああそうか」"Knorr"でKnだからKは発音しない。 know, knock, knifeなどがそうである。
(2)アメリカ人が二人で私の前を通る時 " Excuse us. " と言った。「ああそうか」
日本人は、ほとんど "Excuse us." とは言わない。複数人でも "Excuse me." を使う。
(3)アメリカ人は文法どおり話すと思った瞬間でした。

2-3."down" は遠ざかるという意味もある

(1)米国のセミナーに参加していた時、トイレが何処にあるかわからないので "Excuse me, where is a restroom?" と訊いたら "Go down to the left." と言われました。
(2)中央に幅の広い階段があったので降りかけましたが「違う」と思って、脇にある細い通路を歩いて行って、左に曲がるとトイレがありました。
誤解するところでした。

2-4." freeze !! "

米国において「参考文献」の発表で(Halloweenで日本の高校生が射殺された件について)「日本ではなぜ、"freeze"を教えないのだ?」という、内容と全然関係のない質問をされた。「これからは教えるようになると思います」旨答えておいた。
「参考文献」M. Inui, et al,: "Simulation Based ICAI with Multimedia" World Conference on Educational Multimedia and Hypermedia, ED-MEDIA, June 1993, Florida USA

安全確保の英語をまず覚えるべき?
図2.安全確保の英語をまず覚えるべき?

2-5.「Big Data」は、なぜ「Large Data」と言わないのか?

(1)2010年頃から「Big Data」という言葉が流行り始めました。その時に思ったのが、なぜ「Large Data」と言わないのか?
(2)「Big」は、感情的に「大きい、でかい」。「Large」は、客観的に「大きい」と言われています。例えば、SサイズMサイズ、Lサイズというのは、一応基準が決まっています。「Big」の反対は「Little」。「Large」の反対は「Small」らしいです。
(3)当初は「ペタバイト以上がBig Data」とか言われましたが、今に至るまで厳密な定義はされていません。

2-6.機械翻訳の発達により英語の勉強は必要ないか?

(1)機械翻訳は訳質が非常に向上した上に、音声認識・音声合成の技術も進歩したため、会話にも使えるようになった。特に関西は外国人観光客が押し寄せており、京都はキャパを越えて困っている状況である。
(2)機械翻訳技術を使って、うまくコミュニケーションをとり、混雑を緩和できないかと思っている。私が住んでいる奈良市は、近鉄奈良駅から東大寺に至る「ゴールデンルート」だけが混んでおり、少し外れると静かなものである。少し分散すると状況は変わるのでないか?
(3)「機械翻訳のお蔭で、もう英語を勉強する必要がない」と言うひとがいる。本当だろうか?機械翻訳は、ディープラーニングのおかげで訳質がよくなったが、一文ごとの 逐次翻訳なので文脈から訳すことができない。従って「 英語の勉強は必要」ということになる。

ゴールデンルート
図3.ゴールデンルート

3.人工知能やITに関すること

3-1.学生時代

(1)「最適化の講義」で先生が「 A地点からB地点まで、、、、、」と言うと、大学院生から笑いが起きたので、先生が変な顔をしたという記憶がある。当時はザ・ぼんちの「恋のぼんちシート」がヒットし始めた時であった。

A地点からB地点まで
図4.A地点からB地点まで

(2)「知能ロボット」の研究をしていた時、トランジスタを組み合わせてインターフェイスを作成していたのだが、ハンダ付けが下手で苦労した。また、「人工知能」の訳本が出る前は原書を読んでいたのだが、英語力と専門知識のなさで苦労した記憶がある。
※「知能ロボット」は下記も参照
 3.大学院時代の研究内容(1979年~2年間)

(3)「 スペースインベーダゲーム40周年
 大学院時代にものすごく流行したゲーム。ブロックくずしが流行ったこの頃、タイトーの一人の社員が作った「 敵が攻撃してくる『世界初のゲーム』」。100円硬貨が不足するという社会現象も起きた。
 芸術性にも優れ、ニューヨーク近代美術館に収蔵されているそうである。日本人の発想はすばらしい!
(4)学生時代、統計は腑に落ちなかった
 大学1年の時に「 統計熱力学」の授業があった。箱の中に空気があり、空気が右半分に偏る確率が、0に限りなく近いが0ではなかった。私は「右半分に偏る瞬間があるのか?」ということで随分悩んだ記憶がある。

箱の中の空気
図5.箱の中の空気

3-2.家電、パソコンなど

(1)1980年代の後半、東大の坂村健氏が提唱した TRONの一種であるBTRONを、文部省は教育用パソコンの標準規格として採用する予定であった。優れたOSで、私は大変期待したのだが、米国が「自国製OSを脅かす」として非常な圧力をかけてきた。結局、日本は屈して、その後のWindowsやUNIXに独占されることになった。自動車の輸出自主規制などと合わせ、悔しい思いをした技術者は多かったと思う。
(2)ある家電メーカが1990年代、洗濯機の宣伝で「 ニューロ、ファジーの次はステンレス漕」と言ったので、「ガクッ」ときたことがあった。

ニューロ、ファジー家電が大流行
図6.ニューロ、ファジー家電が大流行

(3)「 英会話教育システムの開発」をしていた頃、当時、教育システムに関して日本の第1人者は女性の大学教授でした。ある時、身の上話をして下さいました。
  • ~四国の高校から京大理学部物理学科に進学、湯川秀樹研究室に入りました。卒業時に同じ研究室の男子学生との結婚が決まり、湯川先生は「2人とも素粒子論の研究をするのは難しいから、あなたはソフトウェアをやりなさい」と言われました。~
  • その女性は1955年卒。当時は計算機がやっと世の中に出た頃。しかも物理学研究者に「 ハードではなくソフトをやりなさい」と言われたことに感心しました。
※「英会話教育システムの開発」は下記も参照
3.音声認識を利用した英会話教育システム
(4)つい最近のことであるが、画面の前に立つと瞬時に男性・女性の判別と推定年齢が表示されるシステムが展示されていたので、試してみた。事前の話によると、アメリカ人をモデルにしているので、若く判断されるということであった。
 結果は 5歳年上に判断されたので、気分を害して帰宅したという記憶がある。女性であったら、どうなっていたことか!

5歳も年上に判断するとは
図7.5歳も年上に判断するとは

3-3.最適化、ロボットなど

(1)イグノーベル賞と最適化
  • 人工知能と深い関係にある最適化問題で、イグノーベル賞を2回受賞した日本人がいる。
  • <認知科学賞> 2008年
    「単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があったことを発見」
    中垣俊之(北海道大学/理化学研究所)小林亮(広島大学)石黒章夫(東北大学)手老篤史(北海道大学/Presto JST)山田裕康(名古屋大学/理化学研究所)
  • <交通計画賞> 2010年
    「輸送効率に優れた最適なネットワークを設計する研究」
    中垣俊之(公立はこだて未来大学)小林亮(広島大学)手老篤史(科学技術振興機構さきがけプロジェクト)高木清二(北海道大学)三枝徹(北海道大学)伊藤賢太郎(北海道大学)弓木健嗣(広島大学)ら
  • 迷路の中に 真正粘菌変形体をちぎって撒き、迷路のスタートとゴールに餌を置いた。すると、かけらは融合して迷路全体を覆った後、行き止まりや迂回路からは撤退して、スタートとゴールを結ぶ 最短経路のみに体を残した。

    http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2008/2009-01/page09.html" を参考

迷路を解く粘菌
8.迷路を解く粘菌

  • 人工知能も人間を含む生物から学ぶことは多いと思う。
(2)人間はITには従う?
  • 古くから「 Nurse Scheduling Problem」というテーマがある。シフトのスケジュールを複雑な制約を満たしながら自動作成することである。対象領域は違うがオージス総研でも、数理計画法のツールを使って作成したことがある。
  • 従来は人間が試行錯誤で時間をかけて作成していたのだが、できたスケジュールに不満を持つ人が多かった。自動作成後は、誰も文句を言わなかったそうである。
  • 人間の判断に対しては文句を言う人でも、人工知能が出した結論に対しては、黙って従うそうである。
  • 受付ロボットが多少失礼なことを言っても、来客者が受け入れるそうで、不思議な現象である。
    (シフトスケジューリングは下記も参照の事)
    「組合せ最適化でシフトスケジュールを作ってみる」

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

『WEBマガジン』に関しては下記よりお気軽にお問い合わせください。