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「<Global Businessを通して得た>ビジネス英語の知見(3)」

2019.01.16 株式会社オージス総研  乾 昌弘

1.はじめに

(1)下記のWebマガジンで、ポイントとなるような内容は記述しました。今回は「その他で注意すべき」内容を中心に紹介します。
「<Global Businessを通して得た>ビジネス英語の知見(1)」
「<Global Businessを通して得た>ビジネス英語の知見(2)」
(2)但し、ここで書いた内容が絶対的に正しいかの保証はありませんので、「ああ、そう」と軽い気持ちで読んでいただければと思います。
(3)今回は特に「go & come」「up & down」「Backcasting & Forecasting」を中心に説明します。
文末の「参考文献」も参考にしながら執筆しました。

2.日本語より英語の方が表現が多い場合

2-1.「~する方がよい」

(1)「本シリーズ(1)」で、「~する方がよい。はshouldを使う方がよく、had betterは、かなりきつい表現です」と紹介しました。今回は3通り示します。
(2) "I would ...." は、 "I would ..., if I were you." の省略形で、遠回しに言っているため、"You should ...." より丁寧表現です。従って、"You should ...." 抵抗がある人は、 "I would ...." を使った方が無難かもしれません。

「~する方がよい」の英語表現
図1.「~する方がよい」の英語表現

2-2.上から目線の英語

一般的に「Could やWould」のような過去形を使うと丁寧な表現になりますが、そうも行かない時もあります。
(1) Nashvilleに住んでいた時、人工知能プロジェクトの関係者を「神戸ステーキ」に招いたことがあった。その店は「曲芸まがいのさばきで焼く」人気店であったため、しばらく店内で順番が来るのを待っていた。
 〇順番が来たので "Let's go." と言ったら、教授が "Dinner is served." と言い直した。
 〇"Let's go." は、そもそも命令形なので、良くないことに気づいた。

(2) 待ち人が来たら「お待ちしておりました」というのが日本語では普通である。
 〇"We've been waiting for you." と言うと「随分待たしたな」という意味が含まれるらしい。 "We've been expecting you." の方がよいらしい。

(3)「○○するのですか?」は、明らかに後者の方がよい。 "Do you want to ...?" "Would you like to ....?"

(4) 説明していて相手がわからないような顔をしている時、"Do you understand?" は上から目線で、 "Are you with me?" の方がよいらしい。

(5)会議などで、"Does it make sense?" (道理にかなっているでしょう?)は、上から目線なので使わない傾向にあるらしい。「あなたはどう思う?」みたいな "What ~ ?" で始まる文が好まれるらしい。

2-3.その他

(1) "like"は「単に好き」ということで "prefer"は「比較的好き」になる。従って、比較級の形を取らない。「than」ではなく「to」を使う。
(2)「opportunity」はよい機会という意味で「chance」は偶然という意味。例えば、「a good chance of shower」は、雨の確率が高いという意味です。
(3)「恥ずかしい」という意味の表現は少なくとも3つあり、ややこしい。「ashamed」(罪悪感を覚えること)例えば「Shame on you.」(みっともないぞ)。「embarrassed」(困る、極まりが悪い)「shy」(恥ずかしがり屋)。
(4)「It couldn't be better.」は「It is the best.」より感情が籠っているように思う。
(5)「monitor」は単なる監視「surveillance」は上から監視という意味が含まれる。

3.日本語との意味の違い

3-1.「go & come」

(1) これは有名な例があります。
お母さんが "Dinner is ready." と言うと、子供が "I'm coming." と答えます。
もし "I'm going." と言うと "Where are you going? と訊かれます。

(2)日本語と違って、話題に近づくか遠ざかるかによって使い分けをします。
Would you like to come to the movie with us?
I will come to your office tomorrow morning.

3-2.「up & down」

(1)アメリカ人と話をしていると "go to ~" "go back to ~" と言うところを "go down to ~" go down back to ~" と言う傾向にあることがわかりました。"down" というのは、話題から遠ざかっていく時に用います。
(2)" up and down" は「行ったり来たり」という意味でも用いられます。

4.「Backcasting & Forecasting」

4-1.Castとは

まずCastは「釣り糸を投げる、配役を割り振る、鋳造する」などの意味がありますが、共通するのは「よく考えて対象に向けて物を放つ」ということです。

4-2.Forecasting

(1)Forecastは予測という意味で、「weather forecast」が代表的な表現です。
(2)今の状況から順番に将来を予測していきます。

4-3.Backcasting

(1)将来の目標を先に決めてから、逆に中間目標を決めていきます。デザイン思考でもこの手法が取り入られています。
(2)財団法人に出向中のことです。経産省からの委託で「長期エネルギービジョン(2100 年までのロードマップ)」を作成することになり、私は運輸部門の事務局として参加しました。世界の資源制約や環境制約を仮定して、2100 年に必要な技術スペックを決め「Backcasting」でロードマップを作成しました。
ソフトウェア産業に携わるものにすれば、2100 年など夢物語です。IT 関係では、5 年先のロードマップを作るのがせいぜいだと思います。

※若いときは将来目標をまず決めて、Backcastingで「これからやるべきこと」を決めるが、年配になると「今何ができるか」を考えてから、Forecastingでこれからのことを考える。
「余談」

1.「夏井いつき先生」の何がすごいのか?

(1)番組「プレバト!!」が非常に人気である。その要因が夏井いつき先生の「俳句教室」おかげで俳句ブームになっているらしい。俳句をまったくやらない私も必ず観るようにしています。
(2)新聞によると「まったく俳句に興味のなかった老人が、番組が始まると観ながら一生懸命にメモを取っている」そうです。
(3)番組総合演出の方が「俳句って感覚的なものだと思っていた。でも、思った以上に論理的だった」旨、言われているようです。
(4)英語も感覚的ではなく「楽しく、論理的に」理解した方がよさそうに思います。

「参考文献」
1.井上逸兵講師、番組「おもてなしの基礎英語」Eテレ、2018年
2.大西泰斗講師、ルース・マリー・ジャーマン、番組「仕事の基礎英語」Eテレ、2013年度~2016年度

表1.第1回から第3回の掲載のまとめ
第1回から第3回の掲載のまとめ

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