WEBマガジン

「ユーザーの行動や体験を意識したSEOへ」

2017.02.21 株式会社オージス総研  松井 隆昌

総務省「平成26年通信利用動向調査」によると、平成26年度の「情報通信端末の世帯保有率の推移」は、スマートフォン64.2%(PCは78.0%)と半数以上がスマートフォンを保有しています。平成22年の9.7%から約7倍近い保有率となり、今後もスマートフォン保有率は上昇していくと思われます。

経済価値の進展の最終形態
図1.「図表7-2-1-1 情報通信端末の世帯保有率の推移」
(出典)総務省「平成26年通信利用動向調査」

またWEBサイトへのアクセスはスマートフォンが主流になってきています。検索サイトを使って目的のサイトに訪れたり、facebookやinstagramなどのSNSを通してサイトに訪れたりと多用な訪問経路がありますが、今回は(モバイル)Google検索を使って訪問するユーザーのためにどのような対策を取るべきか見ていきたいと思います。

スマートフォンのブラウザアプリ(iPhoneであれば「Safari」、Androidであれば「Chrome」)のデフォルトの検索エンジンはGoogleが多いかと思います。スマートフォンの位置情報機能をもとに検索結果を表示するように、Googleはユーザーの状況に応じて検索結果を反映しています。ユーザーがどのようなシチュエーションでスマートフォンから検索し、情報を得ようとするか考えて対応する必要があります。

■お店を出していたり、事務所がある場合は「Googleマイビジネス」に登録を!

食事会をするのに参加者の都合のいいエリアにお店がないか探したり、身体を鍛えるために自宅近辺でスポーツジムを探したりするのにGoogle検索を使う際、「エリア名 イタリアン」や「エリア名 スポーツジム」と検索されるのではないでしょうか。
Googleマイビジネスに登録していると、「エリア名 スポーツジム」で検索すると下図のように検索結果として表示されます。
住所だけでなく営業時間や訪問数の多い時間帯、店舗内の写真などを掲載することができ、スポーツジムを検討している人にアピールすることができます。

検索結果 例1
図2.検索結果 例1

また、Googleマイビジネスに登録すると、Googleマップにも掲載されますので、目的地までの行き先を調べるためにGoogelマップアプリを利用する人にも表示させることができます。
お店を運営している企業やオーナーの方はGooleマイビジネスを登録しておくべきです。

■(映画などの)レビューやレシピなどの情報提供をしているなら構造化データの設定を!

WEBページに書いている内容に、何を意味するかを表す情報(メタデータ)を一定のルールで付加することでコンピュータが効率よく情報を収集・解釈できる構想を「セマンティックWEB」と言います。このセマンティックWEBを実現するための1つに構造化データがあります。
構造化データを利用することで、Googleはそのページの内容を理解しやすくなり、検索結果に反映することができます。
レシピ情報を提供しているサイトであれば、材料や分量、カロリー、調理時間などを構造化データ化することで下図のように検索結果へと反映することができます。

検索結果 例2
図3.検索結果 例2

このように検索結果に表示されることで、カロリーを気にした人に訪問されやすくなります。
レシピ情報や飲食店、映画などのレビューを紹介しているサイトを運用している場合は構造化データを取り入れるべきです。

■定期的な情報提供をしているならAMP対応を!

WEBサイトを読み込むとき、ページがなかなか表示されずイライラすることがあるかと思います。
AMP(Accelerated Mobile Pages)とはGoogleとTwitterで共同開発した、スマートフォンなどのモバイル端末でWEBページを高速表示するためのプロジェクトおよびフレームワークのことを言います。
このフレームワークを取り入れることでWEBページの表示スピードが早くなります。

検索結果 例3
図4.検索結果 例3

Googleで検索した際、上記のようなカルーセル表示で検索結果が表示されたことがあるかと思います。「AMP」と表示されたこのニュースは、AMP対応されたもので、クリックするとすぐにコンテンツが表示されます。
定期的にコンテンツ提供をしているサイト(ニュースサイト等)はAMP対応することで、ユーザーのページ離脱を減らすことができます。

■SEOからSXOへ。ユーザーに最適な検索体験を!

Googleは「パンダ・アップデート」や「ペンギン・アップデート」と呼ばれるアップデートを実施して、検索結果の上位に表示するためだけの対策をした品質の低いWEBページの順位を下げる対策をしてきました。 またGoogleは「RankBrain(ランクブレイン)」と呼ばれる機械学習をもとにした人工知能システムを新しいアルゴリズムを導入し、ユーザーがどういった目的でサイトを検索したかを学習・予測し、正しいコンテンツに誘導する仕組みを取り入れています。
これまでこうした作業はGoogleのエンジニアがコードを修正していましたが、RankBrainが自動で修正し、精度の高い検索結果を表示できるようにしています。
機械学習によりGoogle検索の精度があがることで、「全ユーザーの検索クエリを個々に対応するアルゴリズム」から「各ユーザーごとの検索クエリに対応するアルゴリズム」へと変化しつつあります。検索エンジンに上位表示させるためのページづくりをするのではなく、検索から訪れたユーザーがそのサイトでどのような体験(満足・解決)をするかが大切になってきます。そうした検索を通してユーザー体験を最適化していくことをSXO(Seach Experience Optimization)といいます。

SXOでは、「ユーザビリティ(Usability)」、「レリバンス/適合性(Relevance)」「オーソリティ(Authority)」が重要になります。
  • ユーザビリティ(Usability)
    ユーザー体験の向上やコンバージョンにつなげるために、ページの表示スピードを早めたり、モバイル対応したりして、どのようなシチュエーションでも最適なコンテンツ提供が重要になります。
  • レリバンス/適合性(Relevance)
    ユーザーの検索意図を理解してコンテンツを提供することが重要になります。
  • オーソリティ(Authority)
    ユーザビリティを高めて、ユーザーの検索意図を捉えたコンテンツを展開したあとに、自然とリンクが集まる(リンクしたくなる)ことが重要になります。
ユーザーとコンテンツ(WEBサイト)の結びつきを強めるために、ユーザーのシチュエーションを考慮した対策やユーザーの検索意図を超えた(満足)コンテンツ提供がますます大切になっていきます。

出典・参考文献

1.総務省「平成26年通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
2.Googleマイビジネス
https://www.google.co.jp/business/
3.セマンティックWebとは - IT用語辞典
http://e-words.jp/w/セマンティックWeb.html
4.AMPとは | SEO用語集:意味/解説/SEO効果など [SEO HACKS]
https://www.seohacks.net/basic/terms/amp/
5.Google: RankBrain | Search Engine Land
http://searchengineland.com/library/google/google-rankbrain
6.What Is Google RankBrain And Why Does It Matter?
http://www.forbes.com/sites/jaysondemers/2015/11/12/what-is-google-rankbrain-and-why-does-it-matter
7.From SEO To SXO: Search Experience Optimization
http://searchengineland.com/seo-sxo-search-experience-optimization-223812
8.2017年のSEOは「SXO」へと進化する
http://webuma.net/sxo

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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