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「行動観察とIT~後篇:事実の現場力をどう仕組みにつなげるか~」
2018.07.19 株式会社オージス総研 行動観察リフレーム本部 矢島 彩子
1.はじめに-事実を捉えた結果をどう解釈し、洞察をするか(要求を明文化し、まとめる)-
図1:行動観察×IT プロセスの全体像
2.システム開発における行動観察-要望、要求、要件-
2-1.要求、要件定義の課題
2-2.現場からシステム化への基本的な流れ
(1)は、顧客の要望や利用状況など、現状の顧客のやりたいことを把握するフェーズである。顧客側からは、業務効率化/新事業形態構築/中期経営計画の実現にむけた共創/新商品開発コンセプト構築、部門イノベーションなど、様々な相談事が来る。その部分を明文化し、続く要求につながるようにするフェーズである。
(2)は、(1)の要望を具体的な"要求"として言語化し、関連するステークホルダーと合意ができた状態である。
(3)は、(1)、(2)をシステム開発者にわかるようい伝えるために言語化し、要件に『翻訳』し、システム開発につなげられるようにするフェーズである。
図2.現場からシステム化への基本的な流れ
2-3.言葉の整理
1)要望:顧客が作ってほしいこと(もの)の抽象的な表現。本当に顧客がやってほしいのか、は顧客間でも未合意。顧客・ユーザー観点での希望、理想に留まっている場合が多い。「●●だったらいいなあ」というレベル。
2)要求:顧客が作ってほしいこと(もの)の条件。顧客がやりたいこと、として明確になっているが、どのレベルまでやりたいか、という詳細までは顧客間では合意されている。構造的に「●●●●●にしたい」というレベル。
3)要件:こと(もの)自体が満たすべき条件。やりたいことをどう実現するか、ということや、一方でできないこと、効果がないことなども明文化されている。「Aは、Bごとの帳票で整理する。BはAに対して、設定している手数料を円未満切捨てとする・・」と表現できるレベル。
上記の説明を考えると、1)2)は主に現状を把握し、顧客起点で明文化する必要がある。1)2)→3)と、要件として理解・合意するためには、翻訳する必要があることがわかる。要求から要件への翻訳、というのは、要求を明らかにしてシステム部門へわかるように伝える、ということだけではなく、「明文化した要求を顧客部門に対して解決してあげるにはどうしたらいいか、を考えること」といえる。
表1.言葉の定義
3. 具体的な可視化例:調達部門の業務効率化と働き方プロジェクトより
図3.全体の流れとアウトプット
3-1.要望(顧客の現状)の可視化
3-2.要望から要求へつなぐための明文化
3-3.要求から要件へつなぐための明文化
3-4.要求から要件へ、合意するための可視化
4.今後の展開
<参考文献&言葉の用語の意味>
<用語の補足説明>
*1: | 社団法人情報サービス産業協会、情報サービス産業における技術動向調査2009より |
*2: | あくまでも、行動観察リフレーム本部として、用語を定義した、というレベル |
<参考文献>
・鰺坂 恒夫 (2008)ソフトウェア工学入門 サイエンス社 |
・本園 明史 (2004)要求定義のチェックポイント427 翔泳社 |
・森 敏昭他 (2005)認知心理学キーワード (有斐閣双書KEYWORD SERIES) 有斐閣双書 |
・サトウタツヤ (2015)心理学の名著30 ちくま新書 |
*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。
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