ビジネスのあり方を変える変化のスピード


エンタープライズテクノロジーがどのようにビジネスを変革しているかを、私は日々、最前線で見ています。間違いなく、世界はかつてないほど急速に変わりつつあります。私が関与しているすべての会社に共通することが1つあります。それは、誰もがビジネスのクロックスピードを上げようとしているという事実です。

「クロックスピード」とは何を意味しているのでしょうか? 従来、クロックスピードとは、デバイスがトランザクションを実行する速度のことです。しかし、エンタープライズというレンズを通して見た「クロックスピード」とは、実行速度(例えば、市場投入までの時間)およびその変化の速度のことです。これを裏付けるかのように、過去10年でクロックスピードが3倍、4倍、さらには5倍に増加し、同様に変化のサイクルも圧縮されていることがわかりました。

「Salesforceの展開に1年はかかるでしょう」と従来のIT部門は言うかもしれませんが、現在では、それを3ヶ月で行う必要があります(複雑な環境でも、おそらく6ヶ月超程度)。また、「アプリケーションに追加のビジネス機能を使えるようにするためには、最初の変更サイクルに6ヶ月が必要です」とも言っていたかもしれません。しかし現在、この変更サイクルは45日程度のようです。つまり、事業展開の環境が変わったのです。現在では、これまでとまったく異なるペースで物事を進める必要があります。ビジネスのために可能なこと、さらに競争相手に対して重要なことを追求する必要があります。現実には、6ヶ月ではなく6週間で大きな変化が起きています。これがまさにビジネスの「クロックスピード」を上げることを意味しています。


変化を強いるテクノロジーのトレンド

「software is eating the world」(ソフトウェアが世界を飲み込む)という予想は、十分な根拠のある現実のものとなり、あらゆる組織がデジタルの組織へと移行しつつあります。テクノロジーは、あらゆるビジネス活動のクリティカルパスにおける主要な項目です。つまり、企業が望ましい結果を生むことができるかどうかは、IT部門にかかっているのです。ただし、このような企業が理解しているとおり、従来のITオペレーティングモデルでは、往々にしてクロックスピードの変化に対応することができないという問題があります。この背景には何があるのでしょうか?

  1. 1つ目は競争圧力です。競争はどこにでもあります。従来の競合他社との間だけでなく、どこからともなく現れるように見える新規参入企業との間にも、競争は起こります。10年前、オンラインの書店に過ぎなかったAmazon社が、ある日クラウドインフラストラクチャ業界の有力企業になるとは誰が想像できたでしょうか?
  2. 2つ目は、組織がビジネス変革を行うためのツールがかつてないほど豊富にあることです。IoT、SaaS、ビッグデータ、ソーシャル、モバイル、クラウド、API(「主要な7つのテクノロジードライバ」)を活用することで、イノベーションの機会、新製品のアイデア、強化できる新しいチャネルが増加します。

このようなテクノロジードライバによって、ビジネスが競争力や即応力を維持するためにできることと遂行すべきことを劇的に加速させています。どのように素早く反応すべきでしょうか?


今日、組織はどのように変化の管理に取り組んでいるか

非常に幸いなことに、私は世界中の有力企業のトップエグゼクティブと話をすることができ、組織がどのように変化しつつあるのかを理解する機会が得られます。興味深かったのは、従業員および従来の経営幹部の役割に関する組織の考え方が、テクノロジーの変化によって劇的に変化しつつあるという話です。

現在、私はCIO、COO、CEOの間に興味深い融合を目にしています。実際、この融合はCPO(最高製品責任者)にまで及んでいます。役割の融合は、新しい事業展開の環境による当然の結果です。主要な7つのテクノロジードライバによって実現されたテクノロジーは、今やあらゆる重要なビジネス活動の中心です。その結果、CIOは本来の業務に加えてCOOとCPOの役割も実質的に果たしています。これは、CIOの役割の典型的な変化をはるかに越えており、CIOの権限について、以前よりもはるかに大きな基本的かつ永続的な変化であることを示しています。

私が目にしているもう1つのトレンドは、経営幹部がマイクロサービス、コンテナ化、DevOps、および関連の戦略にどれほど注目しているかという点です。また、これらのテクノロジー戦略と関連して、CIO、COO、CEOが実際に理解しようとしていることは、この新しい変化のペースにどう対応すべきかということです。

よく耳にするのは、次のような言葉です。「ちょっと待ってください。新しいテクノロジーを活用できるのはわかりましたが、すべてを理解するにはサポートが必要です。さらに迅速化を進め、クロックスピードを上げる必要があるのはわかりますが、では実際に何をすればよいのでしょうか?」


考え方の戦略的な変化

私たちは、必ずしもソフトウェアの購入を促すものではありませんし、ソフトウェアがすべての問題を解決するとも思っていません。また、私たちは大きな変革の取り組みを提案しているわけでもありません。私たちが提案しているのは、ITプロジェクトを達成する方法、さらには拡大されたプロジェクトチームの関与のあり方についてアプローチと考え方を変えることで、クロックスピードに根本的な変化をもたらす、というものです。これは、このプロジェクトだけでなく、ビジネスの相乗的な効果を促進する後続の取り組みすべてに当てはまります。

私たちは、APIこそが企業のコアとなる基本的要素であり、「API-led Connectivity」というアプローチを推進することで、結果としてデリバリの迅速化と再利用の増加が実現すると考えています。ただ、さらに重要なことですが、企業がコンポーザブルになります。このようなコンポーザブルなAPIを活用できる企業が、再利用可能なアセットをダイナミックに構成および再構成し、それによってイノベーションや新しい市場機会を推進し、競争上の脅威に対応できます。

答えは、本当に私たちの考え方を変えることでもあります。つまり、(IT部門内だけではなく)企業全体でいかにアジリティを向上させ、組織にとって不変のものとして、変化に対応する環境をどのように構築していくのかが重要なのです。この考え方および対応するオペレーションモデルの変革を推進できるのは、組織全体と市場全体を見渡し、変化による影響を完全に理解しているリーダーだけです。多くの場合、このようなリーダーは、企業において変化を生み出す権限も持っています。また、リソースや予算を持ち、さらには企業の考え方や経営方針を変えるほどの権限と影響力を持つ人物です。


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本記事はMuleSoftのblogをオージス総研が抄訳したものです。

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