「今すぐAPIを公開したい」と言われたシステム担当者が取り組むべき三つのこと(第2章)

第2章 まず、ビジネスモデルを検討しよう

APIエコノミーの市場は2018年、グローバルで2.2兆ドル規模に到達し、この数年間は関係するサービスが150%以上のペースで成長していくという予測(※)もあるほど大きな潜在市場です。では、APIを活用したビジネスモデルとは、具体的にどのようなものが考えられ、さらにビジネスシナリオを策定するにあたって、どのようなアプローチ方法をとるべきかを解説していきます。

オープンAPIがもたらす多様なビジネス

第1章でも触れたように、APIによるデジタルビジネスに参画するメリットは、API公開側とAPI利用側のそれぞれにあります。
APIのエコシステムでは、コアサービスを有しAPIを公開する企業はAPIにより他社に必要な情報だけを安全に連携できるようになり、市場の拡大が期待できます。API利用側は優れたAPIを利用することで高度なサービスやアプリケーションを迅速にユーザーへ提供できるようになります。
例えば、FinTechなどのデジタルビジネスが真価を発揮する為には、コアサービスを持つ企業がAPIを公開し、それを他社や開発者が活用することによって新たなビジネスが生まれる流れを確立しなければなりません。
このようにAPIによるデジタルビジネスでは、APIを有料で公開し直接的に収益を得るだけでなく、さまざまなビジネスモデルが考えらます。

6つのビジネスモデルに分類

APIによるデジタルビジネスに参画すること、特にオープンAPIで新たな収益を得るビジネスモデルは、大きく6種類に分類できます。

    • モデル1 APIの無料公開
      無償提供による自社サービスのユーザー拡大が目的です。一部のデータや機能をAPIとして公開し、顧客ベースの拡大を目指します。代表例に、FacebookやTwitterのAPIがあります。

    • モデル2 開発者が支払
      企業や開発者に有料APIとして提供します。提供するデータ、サービスそのものの価値に課金するモデルです。代表例にGoogleマップ(一定アクセスまでは無料)があります。また、第1章で取り上げたヘルスケア分野でもデータを有料で提供しているサービスがあります。

    • モデル3 開発者に支払
      開発者にアフィリエイト(成果報酬型広告)プログラムを提供します。APIの公開でユーザー拡大や新しい販売チャネルを開拓することが目的であり、得られた収益の一部を開発者に還元します。Amazon.comやUberなど、グローバル企業がAPIアフィリエイトプログラムを提供してぃます。

    • モデル4 間接収益(プレミアムサービスとして提供)
      プレミアムサービスとしてのAPIを提供します。上位サービスのみに提供されるデータや機能のほか、上位サービスのみAPIを顧客システムに組み込み可能にすることでユーザーが得られるメリットの差別化を図ります。ユーザーを上位サービスに誘導(アップセル)し、顧客単価増を狙います。例えば、セールスフォース・ドットコムのサービスでは、上位エディションのみAPI利用が可能になります。

    • モデル5 間接収益(パートナーとのビジネス拡大)
      APIをパートナーに公開することで、ビジネス拡大を目指します。特定業界に強い販社など有望なチャネルを持つ企業と連携することで、パートナー経由による自社データやサービスの販売拡大、企業連携による新規サービスやビジネス展開を目指します。FinTechにおいて、銀行が主にターゲットとしているモデルです。

  • モデル6 間接収益(生産性向上、コスト削減)
    最近、注目されるAIスピーカーはその代表例になります。連携させる製品に個別対応するのではなく、コアを共通化してAPIを公開することで、新規アプリケーションや新規サービスの立ち上げ時における工数削減や開発期間を短縮します。

APIビジネスモデル(期待効果)

APIビジネスシナリオ策定のアプローチ

多様なビジネスモデルが考えられるAPIによるデジタルビジネスですが、実際にAPI公開をビジネスに結びつけていく為のポイントは、次の3点です。

  • API公開の目的を明確にする
  • APIの利用者および公開範囲を明確にする
  • APIとして公開するデータ、サービスを明確にする

まず、「API公開の目的を明確にする」ことは、ビジネスの目的・ゴールを設定することです。なぜAPIを公開するのか、どのようなビジネスモデルを目指すのか、あるいは複数のモデルの組み合わせになるのか、などを検討したうえで目的を明確化する必要があります。

次に、設定した目的に対して、どのような利用者を想定するのかを考えることが「APIの利用者および公開範囲を明確にする」ことにつながります。自社のAPIを活用してくれそうな開発者、パートナー、さらにはその先にいるエンドユーザーなども含めて、具体的に誰が使うAPIなのかを明確にしなければなりません。

最後に検討するのがAPIとして公開するデータ・サービスですが、目的と利用者が決まれば、自然と公開すべきデータ・サービスは明確になります。

apiビジネスシナリオ策定のアプローチ

ビジネスシナリオ策定のアプローチを経て、自社として目指すビジネスモデルが固まってきたら、次の段階はAPI公開プロセスです。しかし、デジタルビジネスは変化が激しいため予測が難しく、API公開を成功させる為には変化へのすばやい対応が重要になります。 また、APIは一度公開して終わりではなく、デジタルビジネスの成長や変化に合わせた改修やバージョンアップなど、ライフサイクルを管理していかなければなりません。第3章では、API公開のライフサイクル管理の重要性と取り組み方法について解説します。

※出典:IBM「IBM Unveils Matchmaking Technology to Navigate API Economy」

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ThemiStruct(テミストラクト)

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