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「SysMLによるシステムモデリングの実際 -システムモデリングの取り組み(3)-」
2017.04.17 株式会社オージス総研 時岡 優
・はじめに
図 1. 本質的な問題に対する対策
・「部分最適から抜け出せない」への対策
<機能と部品の分離>
図 2.機能と部品の分離
最も多いのが、機能展開をしているつもりが、いつの間にか部品展開になってしまうパターンです。例えば、車の機能展開にエンジンが登場してしまいます。エンジンの機能(役割)は何でしょうか。それはひとつでしょうか。機能展開では、これらをよく考える必要があります。つまり、機能展開をするためには、システムの本質を的確に捉える必要があります。
また、候補として挙がる部品(方式)の選択肢が少ないというパターンも良くあります。例えば、荷物を垂直に上げ下げする必要がある場合に、ソフトウェア視点では、センサを駆使して複雑な制御で実現しがちです。しかし、メカ視点でもアイデアを出すことができれば、簡単なリンク機構で実現できるかもしれません。専門家は特定の分野には精通しているものですが、それが裏目に出ると、その専門性のみで物事を解決しようとしがちです。より良い選択肢を増やすためにも、様々な視点で実現方式を検討できると良いです。
機能と部品の割り当ての最適化については、いろいろな観点で評価する必要があります。対象とするシステムの特性によって一概には述べられませんが、例えば、IoTのようなシステムでは、処理負荷や通信負荷などを考慮する必要があります。
図 3.振る舞い図による分析
SysMLのアクティビティ図で、動作(やること)やモノ(情報)の流れを分析し、PCと装置に対する動作やモノの割り当てパターン(方式)を可視化しています。方式1の場合は、PCと装置の間で情報1を受け渡します。一方で、方式2の場合は、情報2を受け渡します。通信頻度や通信量などを考慮してどちらが適切か判断します。また、受け渡す情報が異なるため、PCと装置のそれぞれが担う動作にも違いが生じます。方式1の場合は装置の負荷が高いですが、方式2ではPCの負荷が高くなります。
方式選択の評価は必ずしも定量的である必要はなく、定性的な評価でも十分な結果が得られることがあります。定性的な評価で方向性を定め、詳細を定量的に検討するなどのように、段階的に方式を選択すると軌道修正がしやすくなります。
・「目的や根拠が曖昧」への対策
<要求と仕様のトレーサビリティ確保>
と先に述べましたが、その評価項目は要求分析の結果と紐付いていると、方式選択の目的や根拠が明確になります。図 4にその概念図を示します。
図 4.知識や経験の見える化
例えば、図 4の場合、方式1と方式2の○と△の数は一緒ですが、要求展開を根拠にすると、仕様4の重要度が低いと判断できるため、総合評価では方式1を最も高く評価しています。
ここで説明したのは方式選択における根拠の明確化でしたが、同じように、目的-手段の関係で要求を展開し、システムの様々な設計結果と結びつけることによって、設計過程における各種判断の目的と根拠を明示し、残すことができます。
・まとめ
ただし、一朝一夕に効果が出るものではありません。テーマを絞って短期間で実施したプロジェクトもありますが、人材育成と絡めた数年がかりでの取り組みが大半であるのが実際です。
図 5.連載のまとめ
・おわりに
図 6.システムモデリングを使いこなすために
*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。
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