仮想スマートシティ構築 第1回 VANTIQによるFIWAREを利用した仮想スマートシティ「NooS City」

 近年、スマートシティという言葉をよく耳にします。
 Smart City Takeshiba、トヨタウーブンシティ、柏の葉スマートシティなど日本でのスマートシティ構想は加速してきています。スマートシティが人々にどのような変化をもたらすのでしょうか。

 これまで当たり前であった物理的な距離や、時間的な制約を可能な限り少なくし人々の「本当にやりたいこと」や「余暇」に時間を割くことができるようになり生活の質を向上させることができます。

 これにより人々はコミュニケーションに割く時間、新しいことを体験する時間、それぞれの専門性を磨く時間を増やすことができ結果的に新たなイノベーションに繋げることも見込まれます。
 本コラムでは、スマートシティをどのように捉え、仮想スマートシティ「NooS City」を作成したかを紹介します。

仮想スマートシティ「NooS City」のコンセプト

まず、仮想スマートシティを構想するにあたり、どんな街にしたいか、街を管理する仕組みはどうあるべきかなどを検討しました。その中で我々が実現したいと感じたポイントを以下に記載します。

  • 人々のアクション・街の状況がリアルタイムに連携され、それに応じたサービスを提供する
  • 個々のサービスのために収集されたデータが合わさり、別の新たなサービス・アクションを生む
  • 完成形を実装するのではなくスモールスタートでき、追加の新サービスをスピーディに追加できる

下の絵は上記の「実現したいこと」と、それを可能とする大まかな「仕組み」を盛り込んだ「NooS City」のコンセプトを絵にしたものです。

街の情報連携・判断を「VANTIQ」でリアルタイムに行い、「FIWARE」を介してデータを利活用する「NooS City」のコンセプト

「NooS City」では複数の様々なサービスが存在します。
コンセプト画にあるように「Waiting People Count Service(待機人数情報サービス)」「Digital Signage Service(デジタルサイネージサービス)」「Traffic GPS Service(交通機関位置情報サービス)」などです。

これらのサービスはリアルタイムな情報のやりとりが必要とされており「VANTIQ」でそれを実現します。各サービスによって集められたデータは「FIWARE」を介して業界・サービスの垣根を越えて利活用され、新たなサービスが追加されます。街の状況や、人々の行動がリアルタイムに収集、それが複数のサービスで活用され、人々の生活の質を向上させることの実現を目指します。

個々のサービスと、各サービス間の情報の連携を別々のプラットフォームで実現することにより、それぞれを独立させることができ新たなサービスの構築もスピーディに行うことができます。

コラム2回目では、このコンセプトを形にした仮想スマートシティ「NooS City」を動画を踏まえて、紹介します。
コラム3回目以降では「NooS City」がどのように進化してきたかをお話させていただく予定です。

それでは、第1回目の最後に「NooS City」を実現する仕組み「VANTIQ」と「FIWARE」を、もう少し深掘りして紹介します。

スマートシティ運用・開発にフィットするVANTIQの「リアルタイムデータ連携」「複合イベント処理」「ローコード開発」

VANTIQはDBにデータを保持せずイベントドリブンアーキテクチャという技術を用いストリーム上で発生した事象に対し、リアルタイムにアクションが行えます。

スマートシティでは街中のセンサーや、データストア、WEBサービスなどと繋がり大量データの送受信、ダイナミックな変化が予想されます。この状況に対し、従来通りにDBにデータを格納し、それを参照していては「リアルタイムなデータ連携」は難しいです。VANTIQのリアルタイムデータ連携は人々のアクション・街の状況をリアルタイムにサービスに反映させるために「NooS City」に必要な仕組みです。


VANTIQは単一のストリームに対する判断・アクションだけではなく複数のデータストリームに対し複合的な判断を行うことができます。街中の複数の情報から複合的に状況を判断することを求められるため、VANTIQがフィットします。


VANTIQはこのような機能をローコードで開発できる環境も備えています。「NooS City」では新たなサービスをスピーディに構築することが求められており、ローコード開発環境を備えるVANTIQはスマートシティ構築を促進させます。

スマートシティ運用・開発に必要な機能「リアルタイムデータ連携」「複合イベント処理」「ローコード開発」を持つVANTIQ

業界の垣根を越えて、データを管理する基盤FIWARE

FIWAREとはFI(Future Internet)WARE(SOFTWARE)の略で自治体や企業などの業種を超えたデータ利活用やサービス連携を促すためにEUで開発されたソフトウェア群です。

従来の業種・分野ごとに作成・利用されていたデータ・システムをFIWAREを仲介させ業種・分野・組織を横断し、相互運用可能とすることで、新たなサービスを創出することを目的として開発されたものです。
FIWAREには以下の特徴があります。

  • オープンソースでの提供・・FIWAREを構成するGeneric Enablerと呼ばれるコンポーネントはオープンソースで構成されています。
  • オープンなAPIの採用・・NGSIと呼ばれるオープンなAPI規格を採用しており、これに従うことで、様々なシステム・デバイス・サービスと繋がることができます。
  • すぐに利用できるアプリケーションモジュール群の提供・・FIWAREを構成するコンポーネントを利用するためのDocker imageなどが用意されています。

FIWAREの特徴の内、特に「オープンなAPIにより、統一されたフォーマットで業種・分野・組織を横断し相互運用可能とさせる」という部分が様々な業界・サービスが存在するスマートシティの構築にフィットしています。

分野ごとに作成されていた従来のシステムを横断的に相互運用可能にし、新たなサービスを創出することを目的として開発されたFIWARE

2022年9月20日

※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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