VANTIQによるスマートビルの構築 第2回 ~ビルOSが、どのエレベータを呼び出したかディスプレイ表示する機能の追加~

前回のコラムでは、スマートビルにおいて、セキュリティゲートとエレベータをリアルタイムに連携する仕組みをVANTIQで実現しました。このスマートビルの機能に対して、お客様から『従業員がセキュリティゲートを通過したとき、セキュリティゲートのディスプレイに、ビルOSがどのエレベータを呼び出したか表示してほしい。』という要望がありました。そこで、今回のコラムでは、この機能追加をVANTIQで実現する方法について説明します。
前回のコラムでは、スマートビルのシステム構成を中心に説明しました。今回は、VANTIQ上でスマートビルのビルOSをどのように実現するかについて説明します。

ディスプレイ表示機能を追加したスマートビルのシステム構成

セキュリティゲートのディスプレイに、ビルOSがどのエレベータを呼び出したかを表示するためのシステム構成を下図に示します。
前回のコラムで実現した機能は緑矢印で、今回のコラムで実現する機能は赤矢印とオレンジの四角で記載しています。

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    このシステム構成の詳細を説明します。
  1. エレベータシステムは、ビルOSのエレベータシステム連携サービスに、呼び出したエレベータIDを連携します。
  2. エレベータシステム連携サービスは、エレベータ手配イベントサービスに、呼び出したエレベータIDを連携します。
  3. エレベータ手配イベントサービスは、呼び出したエレベータIDをディスプレイ表示情報に変換します。
      エレベータ手配イベントサービスは、変換したディスプレイ表示情報を、セキュリティゲートデータ送受信サービスに連携します。
  4. ビルOSとしてセキュリティゲートデータ送受信サービスは、ディスプレイ表示情報を、セキュリティゲートシステムに連携します。

VANTIQで実現するビルOS内部の構成について

上記ユースケースをVANTIQ上で実現すると、下図のような構成になります。

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ビルOSのサービスは、VANTIQ上でも「サービス」として定義します。サービス間の情報連携は、Topicと呼ばれる機能を介して行います。
エレベータ手配イベントサービスに着目してみると、エレベータイベント連携サービスからTopicを介して情報を受け取り、処理を行います。そして、その処理結果をセキュリティゲートサービスに連携する流れになります。
次に、エレベータ手配イベントサービスをどのように構築しているかを説明します。

エレベータ手配イベントサービスの実装について

VANTIQでは、フローチャートを作成するようにアプリケーションを開発できます。図上の角が丸い四角形のことを「アクティビティ」と呼びます。「アクティビティ」はデータ変換やAPI呼び出し、集計処理といったさまざまな処理を行います。「アクティビティ」をパレットから選択して線で結び、アクティビティのプロパティを設定することで、開発ツール上でビジュアルにアプリケーションを開発できます。

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エレベータ手配イベントサービスに実装したアプリケーションを下図に示します。このアプリケーションでは、フローの上から順に記載した通りの処理を行っています。

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このように、VANTIQではサービスが行う処理を、アクティビティをつなげるだけで簡単に、実現できます。

新規機能追加したスマートビルのシステムの動作について

最後に、新規機能を追加したスマートビルのシステムを実際に動かしてみます。
※尚、エレベータID(EV001、EV002、EV003)は、ディスプレイ表示情報(A、B、C)に紐づいています。また、ディスプレイ表示情報は、スマートビルのエレベータの名前を表現しています。スマートビルのエレベータの詳細は前回コラムを参照してください。

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  1. エレベータシステムは、ビルOSのエレベータ連携サービスに、呼び出したエレベータID(EV003)を連携します。
  2. エレベータ連携サービスは、エレベータ手配イベントサービスに、呼び出したエレベータIDを連携します。
  3. エレベータ手配イベントサービスは、呼び出されたエレベータID(EV003)をディスプレイ表示情報(C)に変換します。
      エレベータ手配イベントサービスは、変換したディスプレイ表示情報を、セキュリティゲートデータ送受信サービスに連携します。
  4. ビルOSとしてセキュリティゲートデータ送受信サービスは、ディスプレイ表示情報(C)を、セキュリティゲートシステムに連携します。
  5. セキュリティゲートシステムは、セキュリティゲートのディスプレイに、ビルOSから連携されたディスプレイ表示情報(C)を表示します。
このように、VANTIQで構築したビルOSのエレベータ手配イベントサービスが、エレベータシステムとセキュリティゲートを連携させることで、エレベータシステムが呼び出したエレベータ番号をセキュリティゲートシステムのディスプレイに表示することを簡単に実現できました。

まとめ

今回は、お客様から『従業員がセキュリティゲートを通過したとき、セキュリティゲートのディスプレイに、ビルOSが呼び出したエレベータ番号を表示してほしい。』という要望を、VANTIQで簡単に実現できることを紹介しました。
次回は、今回構築した仕組みに対して、新たに顔認証システムとセキュリティゲートを連携させたうえで、エレベータを呼び出す機能追加を簡単に実現できることをご紹介する予定です。

2024年6月10日

※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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