VANTIQによるスマートビルの構築 第5回 ~スマホアプリによる社員現在位置の見える化~
前回のコラムでは、AIカメラを用いた社員見える化アプリをVANTIQで構築しました。このアプリに対して、スマホアプリでも社員現在位置の登録/確認できるようにしてほしいと要望があります。そこで、今回のコラムでは、AIカメラを用いた社員見える化アプリを拡張し、スマホアプリで社員現在位置の登録/確認をできるようにします。あわせて、VANTIQを用いたスマホアプリの開発/動作確認/テストの方法についても紹介します。
「スマホアプリによる社員現在位置の見える化」のユースケース
- スマホアプリによる社員現在位置の見える化のユースケースを下記に記載します。
- 社員は、スマホアプリに、現在座っている座席情報を登録する。
- スマホアプリは、社員が登録したデータを、前回のコラムで構築した「社員現在位置見える化アプリ」に送信する。
- 「社員現在位置見える化アプリ」は、スマホアプリが送信したデータを処理して、スマホアプリに反映する。
- 同じ組織に所属している社員は、スマホアプリで社員が登録した現在位置を確認する。 上記のユースケースの流れを下図に記載します。

VANTIQを用いたスマホアプリの開発
VANTIQで、スマホアプリを開発するには、VANTIQ Mobile ApplicationとVANTIQサービスの2つを使います。
VANTIQ Mobile Applicationは、スマホアプリの画面を開発、動作確認できるツールです。スマホアプリ画面の開発は、webブラウザ上で開発可能で、ボタンなどの画面部品をドラッグアンドドロップで配置することで、簡単にできます。スマホアプリの動作確認やテストは、スマートフォンが手元になくても、webブラウザ上で実際に操作し、確認できます。
VANTIQサービスでは、スマホアプリのボタンを押下した際のサーバー側の処理等を実現します。VANTIQサービスについては、今までのコラムで紹介した内容と同じ方法で作成します。詳細は第二回のコラムを参照してください。
VANTIQ Mobile Applicationで開発したスマホアプリの画面とVANTIQサービスを、イベント連携することでリアルタイムな情報の登録や情報の表示を実現できます。下図のようなスマホアプリの開発ができます。
「スマホアプリによる社員現在位置の見える化」のシステム構成
スマホアプリによる社員現在位置の登録/確認を実現するため、第三回のコラムをベースに、AIカメラを用いた社員見える化アプリを拡張したものが下図となります。
スマホアプリによる社員現在位置の見える化のシステムは、スマホアプリと社員現在位置表示サービスの2つで構成します。
スマホアプリは、VANTIQ Mobile Applicationで作成します。社員現在位置表示サービスは、前回までに作成したVANTIQサービスをそのまま使います。また、スマホアプリと社員現在位置表示サービスをつなぐデータ送受信モジュールである、社員現在位置データ送受信サービスを作成します。
ユーザーは、スマホアプリに社員IDと座席情報を入力します。スマホアプリに入力された社員IDと座席情報は、社員現在位置データ送受信サービス経由で、社員現在表示サービスにイベント連携されます。社員現在表示サービスは、社員IDを社員情報に、座席情報を現在位置に変換します。変換された社員情報と現在位置は、社員現在位置データ連携サービス経由で、スマホアプリにイベント連携されます。スマホアプリは社員情報と現在位置をスマホアプリの画面に表示します。
このように、VANTIQ Mobile Applicationで開発したスマホアプリの画面とVANTIQサービスを、イベント連携することで、リアルタイムに情報の登録や閲覧を行うスマホアプリを実現することができます。
「スマホアプリによる社員現在位置の見える化」の動作
それでは、今回開発したスマホアプリの動作を確認します。VANTIQ Mobile Applicationで開発したスマホアプリの動作確認は、アプリを実際のスマートフォンで動かして行います。下記に、スマホアプリが動作している様子の図と、冒頭のユースケースに合わせた説明を記載します。
- 社員は、スマホアプリの画面に座席情報(C-1)と社員名(オージス三郎)を入力し、「座席位置を登録する」ボタンを押下する。社員名は、ログインしたユーザーIDに応じた名前が最初から表示されている。
- スマホアプリは、座席情報と社員IDを、社員現在位置データ送受信サービス経由で、社員現在位置表示サービスに送信する。
- 社員現在位置表示サービスは、社員名を社員情報に、座席情報を現在位置に変換する。
- 社員現在位置表示サービスは、社員情報と現在位置を、社員現在位置データ連携サービス経由で、スマホアプリに連携する。
- スマホアプリは、クライアント画面に社員の現在位置と社員情報を表示する。 このように、VANTIQ Mobile Applicationで開発したスマホアプリを利用して、社員の現在位置登録と確認をすることができました。
まとめ
今回は、AIカメラを用いた社員見える化アプリを拡張して、スマホアプリで社員の現在位置の登録/確認できるようにしました。そして、VANTIQ Mobile Applicationを用いることで、スマホアプリの開発/動作確認/テストができることも確認しました。今後は、以下のような機能追加をして行きたいと考えています。
- スマートビル内のコーヒー店に注文をすると、自動的にロボットがコーヒーを運んでくれる。
- コラム三回目までに説明してきたセキュリティゲートの仕組みと組み合わせ、セキュリティゲートを通過したことを、従業員の位置情報見える化で参照できるようにする。
2025年07月14日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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