初公開!価値づくり実践プログラム「GMC」開催リポート

本コラムでは、オージス総研が年に一度開催している、価値づくりを実践するプログラム【GMC(Growth Mindset Community)】の取り組みの様子をお届けします。
実は、GMCは今年で9回目になるのですが、コラムとして内容を公開するのは今回が初めて。どのようなことが行われているのか、ぜひ読んでみてください!

GMCについて

GMCって何?

GMCってなんの略?とよく聞かれます。これはGrowth Mindset Communityの頭文字を取ったもの。価値づくりには「Growth Mindset(能力には限界がなく成長/変化し続けるという考えや精神)」が欠かせませんが、そのマインドを以てしても、その道のりは険しく、一人で成し遂げられるようなものではありません。
だからこそ、価値づくりに取り組む気概のあるGrowth Mindsetを持った仲間、あるいは、これから持とうとしている仲間たちで、業界や会社を超えてつながり、支え合いながら、価値を探索し創造していこうという想いを込めています。
また、GMCを通じて体感できる価値づくりのプロセスや面白さ・手応えを、参加者の皆様には自社のお仕事にも活かしていただけることを願っています。

GMCでは何をするの?

プログラムは毎年進化し続けていますが、現在は、全7回にわたる半日程度のワークショップを約3ヶ月かけて駆け抜けます。参加者は、当社のお客様から募集した、さまざまなバックグラウンドを持つ少数精鋭の約12名前後。2~3つのグループに分かれて取り組みますが、それぞれのグループには、オージス総研のコンサルタントが1名ずつ伴走し、参加者とともに切磋琢磨します。
プログラムの目玉はフィールドワークです。これまでの考え方や固定観念が揺さぶられるようなフィールドに足を踏み入れて、新たな気づきのある事実を集めます。そこからインサイト、ソリューションアイデアを考え、最終日にはグループで発表し、仲間同士でフィードバックし合います。

開催場所 内容
第1回 対面(当社東京オフィス) チームづくり&気づきをもたらす事実を見つける
第2回 オンライン 周囲へのインタビュー(宿題)で集めた事実から洞察してみる
第3回 フィールド(東京・大阪) フィールドワークで事実を集める
第4回 オンライン インサイトを導く
第5回 オンライン 提供価値を考える
第6回 オンライン ソリューションアイデアを考える
第7回 対面(当社東京オフィス) グループ発表し、お互いにフィードバックする

このプログラムはオージス総研が独自に開発してきた行動観察のアプローチによるものです。フィールドで新たな事実に気づき(Fact)、そこから新たな仮説を導き(Insight)、より良い未来に向けた方向性やアクションを描く(Foresight)ことが基本フレームとなっています。この一連の流れを"やってみる"のがGMCです。


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また、GMCにおいて大切にしているのは「Do & Learn」、そして「受容と学習」の姿勢です。
分からないことがあっても、まずは「やってみる」、そこから学ぶということ。そして、自分とは異なる視点や考え方に出会ったとき、これまでの自分にとらわれずにまずは受け止め、他者から学ぼうとする。GMCでは、このような姿勢を持ちながら、仲間とともにハードルを乗り越えていきます。

どんなテーマで取り組むの?

現在の時流や未来への変化の芽をとらえて、参加者の皆様が関心を持って取り組めるようなテーマを設定しています。
第9期(2025年度)のテーマは、【「見える化社会」が変える人の意識と行動を考える】
技術の進歩により、見える化(データ化・可視化)が進んだことで、私たちに気づきをもたらし、意識や行動を変えるきっかけにもなっています。その一方で「見えにくくなったもの」や「見えなくなったもの」もあるのではないでしょうか。GMCでは、「見える化社会」における私たちの意識や行動の変化に目を向けながら、これからの暮らしや社会の姿を探究していきます。



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第1回 チームづくりから始まる、「気づき」への第一歩

2025年7月11日

まずはチームづくり!

今年度は、自動車メーカーから新興のテック企業まで、さまざまな業界のお客様14名が参加します。ここにオージス総研のコンサルタントが加わり、3チームに分かれて取り組んでいきます。
この日は参加者にとって初顔合わせの日。自己紹介や他己紹介のワークを行い、会場の空気はどんどん打ち解けたものに。休憩中や終了後もあちこちで立ち話が続く光景が見られ、エネルギーに満ちた良いスタートとなりました。

気づけないのはなぜ?

実は、人は「ありのままの事実」に気づけていないことが多いのです。それは、人が本来持っている心理的特性や、認知のクセといったものが、見える範囲を無意識に狭めてしまうことが原因です。
今回は、その「気づきにくさ」に目を向けるため、チームでミニワークにも挑戦。参加者からは「自分の思い込みや視点の偏りにハッとした」や、「チームで話すことで、自分が見落としていた観点に気づけた」といった声があがっていました。気づき力は実践や対話の中で磨かれていく、その変化の始まりを感じられる時間となりました。

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●参加者の声 ― スタートしてみてどうでしたか?
  • チームビルディングで他己紹介を行ったとき、"相手をみんなに紹介する"と思うと、相手をしっかり理解したいという気持ちが強まりました。そのために何を聞こうか考えることで、相手への関心もぐんと高まったと感じました。(電機メーカー/システム企画部門)
  • 普段の仕事では意見を主張し合うような議論が多いですが、今日は異なる背景を持つ方々との「対話」を通じて、多様な発想や視点に触れられたのが新鮮でした。対話の大切さや楽しさを実感できたため、仕事でももっと対話を取り入れたいと思いました。(交通インフラ企業/事業開発部門)

第2~3回 フィールドワークで事実を集める

2025年7月17日

それぞれが集めてきた「事実」の共有からスタート!

第1回の終わりに、参加者には「周りの人にインタビューして、"使うことで暮らしが心地よくなった、「見える化」に関わるモノやアプリ"を探してくる」という宿題を持ち帰ってもらいました。これは、「"見える化社会"が変える人の意識と行動を考える」というテーマを、まずは自分の生活圏に引き寄せて考えるための第一歩です。
第2回は、宿題で集めた事実の共有からスタート。
参加者からは、「休日を共有するために友人と始めた予定共有アプリが、いつの間にか個人の細かな予定やコメントも交わす場となり、これまでよりLINEでの連絡頻度も増えた」「"yukiyama"というアプリで、ゲレンデでの位置情報をスノーボード仲間と共有。以前はメッセージをやり取りしても会えないことが多かったが、アプリによって待ち合わせや偶然の合流がしやすくなった」など、興味深いエピソードが次々に飛び出しました。

新しい仮説はどうやって考える?

新しい仮説を考えるときに大切なのは、ありのままの事実を受け止めた上で、そこに隠れた背景や意味を探っていくこと。
グループごとに宿題で集めた事実を見つめ直し、「どうしてこうなっているのだろう?」、「他の事実とあわせると何が見える?」と問いを重ねました。普段の仕事では、"原因を整理する"ために考えることが多いですが、ここでは事実の背景や意味を考えることが大切です。最初はこの違いに少し戸惑いもありましたが、ワークが進むにつれてさまざまな解釈が広がっていきました。
最後には、参加者から「まずは気づきのある事実を集めることが大切だと感じた」や「メンバーと話すことで、自分一人ではたどりつけなかった解釈に触れられた」といったコメントが相次ぎました。


2025年8月1日

第3回は、いよいよフィールドワークへ!

さて、第3回では、いよいよ皆でフィールドに飛び出します。今回のフィールドワークの狙いは、「見える化」に対する先入観や固定観念から飛び出し、さまざまな角度から「見える化」を考えるため、多様な事実を集めること。
全国から集まった参加者がそれぞれアクセスしやすいように、関東と関西の2拠点に分けて実施。訪問先はオージス総研にて選定し、性質の異なる「見える化」がある場所を2ヶ所ずつ訪れることにしました。
関東組は、ミュージアムと商店街へ。関西組は、複合商業施設と昔ながらの問屋街を巡りました。

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フィールドワークの様子(イメージ)

ミュージアムでは、さまざまな体験プログラムやデモンストレーションに積極的に参加したり、複合商業施設で「見える化」に関連するサービスを一人の生活者として体感したりしました。
一方、商店街と昔ながらの問屋街は、数値などのデータによる「見える化」は少ない場所。店員と顧客のやり取りや、商品を探したり手に取ったりする様子など、その場と人の営みの中に潜む「見える化」を自由に観察して拾い集めました。

どんな事実に気づいた?

フィールドに足を運ぶと、机上では予想していなかった事実が次々と現れました。
  • 自分の身体状態を測定するサービスを体験すると、実年齢より若い肌年齢が出ました。それで気を良くして、次に寄った場所でも似ている肌診断を受けてみると、今度は一転して実年齢を超える結果に。最初の測定は非接触式、後の診断は接触式だったので、「結果が思わしくなくても、やっぱり接触式で測った結果を信じてしまうなぁ」と思いました。
  • 中華料理屋に入ると、2人掛けのテーブルに1人分だけ湯呑と箸が並べられていました。「2人掛けだけど1人で座っていい席なんだな」と思い、そこに着席。言葉で "1人用" と示されていなくても、モノの配置によって自然と分かる状態が興味深かったです。
  • 包丁専門店では、豊富な知識とこだわりを持つ店員に導かれながら、野菜の試し切りも体験し、100種類もある商品の中から、思わず手持ちの包丁を買い替えたくなるようなものを見つけられました。切れ味の好みや使い心地など、自分でも気づかなかったこだわりが浮かび上がる、ぜいたくな時間を過ごしたと感じました。
  • とある衣料品店に "マッコリ" の広告が。「なんで服屋さんにマッコリ?」と気になって声をかけると、店員さんは「実は食品商社もしていて、日本ではまだ珍しいマッコリを取り扱い始めたところ」とのこと。思わず、その場でマッコリを買ってしまいました。
  • 集めた事実の一つひとつに、「なぜだろう?」と考えたくなる芽がありました。次回はそれを掘り下げていきます。


●参加者の声 ― フィールドに出てみてどうでしたか?
  • 「ミュージアムは子ども向けの場だと思い込んでいましたが、実際に訪れると自分のような大人にも多くの学びや楽しさがありました。"自分向けではないから"と思って、普段は行かない場所に敢えて足を踏み入れることで、新たな気づきを得られることを体験できました」(自動車メーカー/商品企画部門)
  • 「身体状態の測定・分析で自分の状態が見える化される体験はとても新鮮でした。フィールドワークの休憩時間には、各自の測定結果をきっかけに自然と会話が広がり、参加者同士の距離が縮まったことも印象的です。測定そのものだけでなく、その後のやり取りまで含めて"体験"なのだと実感しました」(自動車メーカー/品質管理部門)

第4~6回 インサイトからアイデアをつくり、深める

2025年8月7日

集めた事実をどう読み解く?

第4回は、前回のフィールドワークで集めた事実を付箋に書き出し、一枚ずつボードに配置していくワークに取り組みました。一つひとつの位置を考えるプロセスを通じて、事実同士の関係性やそこから立ち上がる意味を探ります。
ポイントは、似ている事実をただ分類するのではなく、「この事実のどういうところが気になるのか?」、「この事実はどんな背景を映しているのか?」と問いを立てながら置いていくこと。細やかな配置の違いが対話を生み、どのグループでも「なるほど」「そういう見方もできるね」との声が上がりました。

初めて実践するワークに、最初は多くの参加者が戸惑いを見せました。唯一解のない問いを前に、自分やメンバーの考えや感じたことと向き合いながら付箋を置いていく時間が過ぎていきます。けれど、ボード上に付箋が少しずつ増えていくうちに、誰かのコメントが次の人の気づきを呼び、場の空気が少しずつ変わっていきました。
最後には、お互いの視点が重なり合い、普段は見落としがちな「見える化社会における生活者や場の実態・構造」を紐解き、インサイトをとらえることができました。

参加者からは「一度インサイトとして言葉にすると、"あれもそうかも"と、インサイトに当てはまる身近なエピソードが連鎖的に出てくるのが面白い」といった声も聞かれました。


2025年8月28日

インサイトからどんな提供価値につなげる?

そして、第5回では、いよいよ基本フレームの最後の一つである「Foresight」に入っていきます。
いきなりアイデアを出すのではなく、インサイトを踏まえて「誰に対して、どのような価値を提供し、どのような未来の暮らしを作りたいのか」を考えていく時間です。

参加者は、解決したいことや、もっとこうなったら良いと思う未来を所定のシートに記入しました。我々はともすると、「自分たちにできること」と「やらなければならないこと」の範囲内で発想しがちです。GMCでは、ここに、ファクトやインサイトを得る過程で生まれてくる「自分たちのやりたいこと」も含めて統合的に考えていきます。
最初は手が止まっていた人も、一つ書き始めると、次々とシートが増えていく様子が印象的でした。

個人で提供価値を考えた後は、いつものようにグループでの共有へ。「同じインサイトをベースにしていても、自分とは異なる方向性のアイデアも出ていたのが興味深かった」、「メンバーそれぞれのバックグラウンドが違うからこそ多様なアイデアが出せるのだと思った。グループで考える大切さを実感した」と話す参加者もいました。


2025年9月4日

提供価値をどんなアイデアに育てる?

第5回の後、宿題として、参加者はインサイトや提供価値をもとに、その価値をどんな形で生活者に届けるかを考えるアイデアシートの作成に励みました。このシートでは、既存の商品やサービスに不足していることにも踏み込み、それらを解決する視点も持ってアイデアを考えます。
第6回では、各自が持ち寄ったアイデアシートを共有した上で、グループごとにアイデアコンセプトを決めました。コンセプトとは、「誰が(もしくは何が)、どんな状態になることを目指すのか」を表す軸。GMCでは、正解を出すことよりも、"このコンセプトに込める想いや狙い"をグループで共有できることを大切にしています。

そして、ここからは、コンセプトをもとにしたサービスアイデアの具現化です。大事なのは、初めに出したアイデアに固執せず進化させていくこと。宿題で考えて来たアイデアを土台に、対話を重ねながら、提供価値をより体現できる形へと磨き上げていく姿がありました。
次回は最終発表です。第6回のグループワークの時間内だけでなく、それ以外の時間にもグループで集まって準備を進めます。発表では、対話と思考を重ねて生まれた"未来の暮らし"につながるサービス案が披露される予定です。


第7回 ソリューションアイデアを共有する

2025年9月19日

GMC集大成の発表へ!

2ヶ月以上にわたって進めてきたGMCも、ついに最終回。
これまでの探究の成果として、各グループがサービスのアイデアと、そのアイデアに至った過程を発表しました。会場はオージス総研の東京オフィス。会場の様子はオンラインで中継し、参加者の上司や同僚の皆様に見守られながら発表が始まりました。

530_gmc311.jpg 発表スライドの表紙
(Aグループ/Bグループ/Cグループ)

どのグループも、限られた期間の中で、深めたインサイトからコンセプトを定め、具体的なサービスの形へと昇華させていました。
発表後は、他のグループの参加者や運営メンバーに加えて、オージス総研のシニアコンサルタントからも率直なフィードバックが送られました。それを受け、「他のチームの発想に刺激を受けた」「もっとこうすれば広がりそう!」など、各グループではアイデアを更に育てるための対話が続きました。
最後には会議室で懇親会も開催。お互いの健闘を称え合い、達成感に包まれながらGMCの幕が閉じました。

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●参加者の声 ― GMCを終えて、どうでしたか?
  • 「グループ全体でファクトを理解してインサイトまで導出したことで、アイデアを出すときに迷いがなかったなと思います。メンバー間でも「それ違うよね?」と前提がズレることがほとんどなく、みんな同じ土台の上で話を進められた経験は新鮮でした。」(交通インフラ企業/事業開発部門)
  • 「一番盛り上がったのはフィールドワークでした。子育て中だと目的なく探索するのは難しいですが、GMCを経て、日常にもワクワクを取り入れ始めました。また、対話の力も実感しました。いろんな人の意見を取り入れることで、より良いアイデアが生まれることを改めて体験できたのは大きな収穫です。これまでは効率重視で考えることが多かったですが、自社でも対話の場を設けようと思っています。」(日用品メーカー/リサーチ部門)
  • 「GMCは価値づくりを実践するプログラムでしたが、営業職やエンジニア職でも取り入れられると分かりました。顧客やユーザーの言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、その裏にある背景や意味を考える取り組みは、自組織にも浸透させていきたいです。」(システム開発企業/営業部門)

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2025年8月8日公開
2025年11月20日更新
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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