「生活者インサイトリサーチにおける新たな挑戦」セミナー
開催レポート(2)(ハウス食品株式会社様)

2022年11月30日(水)に、Zoomにて『生活者インサイトリサーチにおける新たな挑戦』と題して、セミナーを開催しました。
本セミナーでは、長年弊社とお付き合いのある、花王株式会社様、ハウス食品株式会社様にご登壇いただきました。本コラムでは、ご講演の一部をご紹介します。

1.花王株式会社 秋田様 『デジタルツールを活用した新たな生活者研究手法の探索』
2.ハウス食品株式会社 小田川様 『食品における新しい開発アプローチへの取組み』

※本コラムは登壇者様の発表内容を可能な限りそのまま載せておりますが、読みやすさ向上のため一部改変しております。


2.ハウス食品株式会社 小田川様 
『食品における新しい開発アプローチへの取組み』

 このセミナーでは、我々がどんな課題認識をしているかとオージス総研との取り組みを紹介します。
 今、顧客が欲しいものは大概見つけることができる時代です。ハウス食品も新製品の開発など課題を感じており、そのやり方を変えるためにチャレンジをしています。まだ、もがいている状況で、大成功となってはいませんが、どうもがいているかという点でお話ができればと思います。

 (中略)

 ハウス食品の課題ですが、これまで、どちらかといえば伸長市場やセグメントを発見し、マスCMを中心とした一気呵成のブランド育成をしてきました。当然ながら、経済成長期には効果的なアプローチですが、現在は国内食品マーケットがシュリンクしてきており、2000年以降新たなブランドが育ちにくい状況になっています。そこで、開発のアプローチを変えていく必要があると感じ、およそ10年前に開発力の強化をスタートさせました。

 基本的な考え方として、もちろんモノづくりも重要ですが、より重要なのはユーザー体験を創っていくことです。コトをつくっていくことを大切にしようと社内で考えました。
 例えば、多数派を見つけるマスデータだけでなく、インサイト探索型の個への着目も重視し始めました。また、社内外一体共創で他部門や外部企業と取り組んでいこうとしました。また、確実に売れるということが証明できない時代ですので、小さく試行するスモールスタートを重視していこうと考えました。

 活動としては、大きく分けると、インプット、アウトプットの強化です。インプットの強化として、デザインシンキングや、オージス総研にご協力いただいた行動観察、生活者心理・人間工学の習得、失敗学を取り入れました。アウトプットも、外部協業で、オージス総研とも取り組みました。

 オージス総研と取り組んだプロジェクトは、「キープゴーイング」というプロジェクト名でハウス食品8名とオージス総研で行いました。2018年1月~3月という短期ですが、メニュー専用調味料の新しいコンセプトを3~4テーマを導き出すことをゴールとしました。アプローチとして、従来型は、市場を見つけ、コンセプト化、リサーチという流れですが、この場合、実際のニーズとずれてくることがありました。そこで、今回は、初めにお客様を徹底的に理解するというプロセスを重視しました。

 (中略)

 まず、生活実態のファクトを収集しました。料理好き、料理嫌いの各2名を観察しました。これまでも、試作品を作ってお渡しするということはやってきましたが、食に関わる全般を捉えることはしていませんでした。非常に面白いのは、事前のアンケートと訪問した時のお客様の実態にギャップがあるところです。
 行動観察で面白かった例は、料理嫌いの方なのに、すごく使い込まれたレシピ本があったことです。このように、「あれ?」と心に引っかかる部分は非常に重要です。行動観察は何を見て、何を聞くかは専門的なところで、ここはオージス総研に非常に助けていただきました。そして、ファクトをマッピングし、インサイトを出しました。このインサイトを出すのが、非常に大変で重要なフェーズでした。

 料理好きの方、料理嫌いの方と分けて分析することで、その違いがより明確に理解できました。その分析を通じ、メンバー間では、料理嫌いな人を助けたいという想いにまとまっていきました。料理嫌いの理由は、「スキルがない」「面倒だから」ということだろうという先入観を持っていましたが、そうではなく、自身で料理の「正解」を作り、自らハードルを上げ、そこに至らないことで自信をなくしてしまっているということがわかりました。

 (中略)

 実際のテスト販売の様子ですが、13日間行いました。レビューを見ると、狙ったターゲットに届いたのではと思います。併せて課題もいただきました。お客様のインサイトに寄り添ったアプローチとして、このプロジェクトは非常に意味があったと思います。

 まとめですが、データを眺めてもインサイトはつかめません。N=1を大切に、お客様と対話し、共感することが重要と感じます。今後も、このことを大切にしていきたいと思います。

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