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インタビュー

一度だけつかえるソフトウェアコンテスト優勝者インタビュー

2021年1月21日
チーム「DSP」
チーム「DSP」
和歌山大学大学院 北村 朋哉さん、北中 浩之さん

昨年11月10日に開催したオージス総研主催のソフトウェアアイデアコンテスト第11回 OSCA(OGIS-RI Software Challenge Award) 「一度だけつかえるソフトウェアコンテスト」で最優秀賞を受賞された「DSP」チームへのインタビューをお届けします。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためインタビューはオンラインで行いました。(ここ数年恒例となっておりました大学と研究室への訪問は残念ながら取りやめました。)

インタビュアー:水野 正隆
(編集:木村 めぐみ)

チーム「DSP」メンバーご紹介

-- コンテスト最優秀賞おめでとうございます。今日はオンラインでのインタビューとなりますがいろいろとお話を聞かせてください。早速ですが、お二人とも和歌山大学大学院生と伺っていますが何年生でいらっしゃいますか。

北村、北中- 修士2年です。

-- 2年ですか。それではもうこの春で卒業されるんですね。お二人は所属されている研究科も同じですか。

北村、北中- 同じです。 システム工学部 システム工学研究科 デザイン科学 に所属しています。学部のときのメジャーで言うと メディアデザインメジャー になります。

-- 大学院ではどのような研究をされているのでしょうか。

北村- 私はディープラーニングを使って人の顔を男と女で分類して、分類の基準になったところを可視化する研究をしています。

北中- 私はニホンオオカミという絶滅した動物を骨からCGで復元して、それをVRで見られる展示システムを作る研究をしています。

-- ニホンオオカミというのはどういう経緯でテーマとして出てきたのでしょう。

北中- 和歌山大学にもともとニホンオオカミのはく製があるのですが、そのはく製の形がおかしいなどいろいろ問題がありまして。それをCGで復元するというのが研究室のテーマの一つとしてあって、それを選びました。

-- なるほど。面白いですね。

卒業までに優勝したいという思いで応募

-- 和歌山大学さんからは継続的に応募していただいてますが、お二人が今回応募しようとしたきっかけがあれば教えていただけますか。

北村- 毎年応募しているということもあるのですが、これまで二次審査を通過して本選まで行けたことがなかったので、今年は最終の学年でもありますし何とか優勝したいという思いで応募しました。

-- そうですか、毎年ご応募いただいていたのですね。ありがとうございます。一次審査を通過するまでがこれまでは最高だったのですか?

北村- そうですね。一次審査は通過するのですが、二次審査のところでいつも落選という結果でした。

編集注:コンテストの審査は一次、二次と2回の書類審査がある。二次審査を通過した作品が本選でプレゼンによる発表を行い、プレゼンの評価に基づいて最終的な賞を決定する。

-- 和歌山大学さんは周りで受賞される方が多いと思いますが、そういうことがプレッシャーになるようなことはなかったですか?

北中- プレッシャーというよりも、大学で同じような内容を学んできているので、自分にもできるはずという自信にもなっていたと思います。受賞した作品を参考にしたり、ノウハウを教わるということもできるのでメリットもあったと思います。

北村- 一緒に競うという意味でライバルでもあるので、それが面白いとも思います。

-- いい関係ですね。

二人でとことん考えを投げ合った

-- 今回、エントリー段階から大体の構想はできていたのでしょうか。それともまずはエントリーして考えられたのでしょうか。

北村- エントリー番号は13番だったのでエントリー自体早かったと思うのですが、まずはエントリーして逃げ道をなくす、というわけではないですけど、エントリーしてから本気で時間をかけてアイデア出しをやりました。

-- 今回のアイデアはどうやって出てきたのでしょう。子育て世代などお子さんに関心のありそうな年代の方からではなく、大学生のお二人から子どもと親をサポートするような今回のアイデアがどうやって出てきたのか興味があります。

優勝したアイデアの詳細は以下の文書からご覧いただけます。
アイデアを説明する文書「ウォシュリー」 (PDF: 約 2.1MB)

北村、北中- 最初は、今回のテーマが「一度だけつかえる」だったので一度だけ使えるというのをキーワードとして中心に置いて、そこからマインドマップのような形で連想するものを網羅的に書いていくということをしました。そこで出てきたのがきっかけだったと思います。

-- 「手洗い」というキーワードが出てきたのでしょうか。

北村- 確かそうだったと思います。日常的に行うこと、というようなところから派生して出てきました。

-- そうですか。そこからはどのように進んでいったのでしょう。

北中- そのあとのアイデアを作っていくところでは、お互いに自分がいいと思ったアイデアを持ってきて相手にどう?と見せ合う形で進めました。今回のアイデア自体も私が持って行ってどう?と聞いたらいいんちゃう?となったので、そこからは二人でいろいろと考えを投げ合って確認しながら発展させていきました。

北村- 今回、二人だけだったので、考えを言い合うときも「これは別にいらないんじゃない?」みたいに気を遣うことなくできたのがよかったです。

子どもの視点も親の視点も自分の体験から

-- 今回のアイデアはターゲットユーザーが2種類いて、子どもと親でしたよね。子どもに使ってもらうものだけど親が介在する、というようなパターンはそのバランスが難しかったのではと思うのですが、あの形まですんなりまとまったのでしょうか。

北中- 手洗いのシステム自体はユーザーを子どもとして考えるんですが、やっぱりそのシステムを購入するのは親になります。親が楽しいとか、子どもにさせたい、と思わせるようなものじゃないとなかなか実際に導入してもらうのは難しいと思ったので、どうせなら親もターゲットに織り込んで親も楽しめるようにしようと考えるうちにあの形になりました。

-- 親の目線で言うと、小さい子どもに何かをさせる時の親の負担ってすごく大変なのですが、それをどうやってお二人が認識されたのかなと。観察や調査などをされたのでしょうか。

北中- 自分自身が子どものときに「手洗ったんか」と親から毎日聞かれていたのが、自分にとって結構ストレスだったのが記憶にありました。親も大変なんでしょうけど。それから、私には小学校に上がっていない小さい姪っ子がいるのですが、その子が帰ってすぐに手を洗いに行かずにいつもテレビの前に走っていくのを見て、まぁそうなるだろうなと思った、というような背景があります。

-- なるほど。アイデアが形になっていく過程で、誰かに当ててみたりフィードバックを得るようなことはされたのでしょうか。

北村- 今回はあまりしなかったですね。二人の中で考えを出しあっていきました。

-- コロナウイルスの感染が広がっているような状況の中ではフィードバックをもらいに行くのもなかなか難しいですよね。

一度だけつかえるというテーマの捉え方

-- 一度だけつかえる、というテーマはどう思われたでしょう。難しくはなかったですか?

北村- 難しかったです。一度だけ使える、というのとソフトウェアの関連性が全くないので、これは結構難しいね、と言いながらアイデア出しをしていました。

北中- 一度だけ使えるというテーマで考えたときに、自分たちの中で、1回使ったらそれで終わりのソフトウェアというのはきっとないだろうということになって。今回のアイデアのような、何かが起こると1回、のような考え方をし始めてから、それを活かして何ができるか考えるのは結構時間がかかりました。

-- 今回のアイデアはゲーム性と言うか、わくわくするような要素が多いと思いました。妖精を見つけるとか、手洗いが上達してミラーに映るお手本が一部隠れていても手洗いできればレアキャラが出てくる、というような。そのような要素はどうやって出てきたんでしょうか。

プレゼン動画
本選発表動画より。手洗いができると妖精が出現。

北中- 基本的に子どもが手洗いを楽しくできるように、と考えました。そう考えるうちに、子どもにとって何があれば楽しいか、どういうご褒美があればいいか、そのご褒美と洗面所のミラーでできることを考えたときに今回のようなアイデアが出てきました。

-- スライドのデザインもかわいいと思いました。どちらがデザインされたんですか?

北中- デザインは私の方が多かったと思います。

北村- 最初、かわいい妖精のキャラクターを考えてくれたので、そのモチーフに合わせてスライドも作成していきました。

-- お人柄が出たのか、優しさが伝わりました。スライドの最後にあった「一度しなければならない手洗いを一度だけすることができる手洗い」にするというメッセージもよかったです。

プレゼン動画
本選発表動画より。「一度だけすることができる手洗い」というメッセージが印象的。

北中- アイデア出しのとき、一度だけ使えるということを、ただの回数制限ではなくて、一度だけだからこそ楽しいとか、1回だからこそ良くなる、というようなものにしたいという思いはありました。

-- いいですね。そういう風に解釈してくださったと思うとうれしいです。

-- プレゼンテーションもすごくよかったです。私たちの商品はこれです!という主張ではなくて、手洗いの課題から入って、なるほど、と思わせながら進んでいくストーリーがいいと思いました。プレゼンの方法についても大学で教えてもらうのでしょうか。

北村-- そうですね。良い発表は相手の行動を促す、というようなことを教わりました。相手の行動を促すためには、相手にリスク、危機感を感じてもらう必要があるので、最初に手を洗うって意外と皆さんできていないんですよ、という気づきを与えることを意識していました。

-- なるほど。課題感をちゃんと作ってから、このアイデアで得られることはこんなことですよ、ときちんとお話されていてとてもよかったです。

将来の夢

北村さん、北中さん

-- 最後に、将来どんなことをやっていきたいのか教えていただけますか。

北村- SIerの企業に就職するので、将来はITのコンサルタントとして活躍したいと思っています。顧客の方にアイデアを提案するとき、今回のコンテストでも心がけた分かりやすいプレゼンテーションでお客様にわくわくしていただけるようなアイデアを提案できるような人として活躍したいと思っています。そのために頑張りたいと思います。

北中- 私もSIerに就職するので、その仕事もちゃんとして、お客様にプレゼンテーションをしっかりしてくというのもあるのですが、今、開発だけではなくデザイン面の勉強もしているので、そういう面を活かして何かものづくりを続けていけたらなと思っています。

-- ありがとうございます。皆さんのような方々が活躍されたら日本もすごく良くなると思います。今後のますますのご活躍をお祈りしています。