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レポート

しきるソフトウェアコンテスト 本選レポート

本選の様子と受賞作品のご紹介
株式会社オージス総研 OSCA事務局 木村 めぐみ
2022年11月29日

オージス総研主催のソフトウェアアイデアコンテストOGIS-RI Software Challenge Award 「しきるソフトウェアコンテスト」の本選と最終審査を2022年11月9日(水)に当社東京オフィスとオンラインのハイブリッド形式で開催しました。本レポートでは受賞した全6作品を中心に本選の様子をご紹介します。

第13回 OGIS-RI Software Challenge Award「しきるソフトウェアコンテスト」

コンテストの概要

OGIS-RI Software Challenge Award(OSCA)は今年で13回目を迎えるオージス総研主催のソフトウェアアイデアコンテストです。本コンテストは毎年異なるテーマを設定し、テーマに関連したアイデアを募集しています。今年のテーマは「しきる」でした。

コンテストは6月のエントリーから始まり、2回の書類審査を経て、最終ステージとなる本選で受賞作品を決定します。今年の応募総数は53作品。この中から、9月の一次審査で25作品が通過し、さらに、10月の二次審査で6作品が通過。本選では二次審査を通過した6作品のプレゼンテーションを審査し、受賞作品を決定しました。

コンテスト本選

ここ2年はコロナ禍のためオンラインで本選を開催していました。オンラインで本選を楽しんでいただけるよう本選プログラムをアップデートしてきましたが、今年は3年ぶりに本選出場者をお招きしたい、と東京本社に設置した会場とオンライン参加者を結び、ハイブリッド形式で本選を開催しました。

筆者はオンライン側のスタッフとして本選を見守っていましたが、会場の参加者が会話する様子が見えたり、会場から拍手が聞こえたり、オンラインだけで開催していたときとは違う臨場感がありました。今回は会場に来ていただける人数を制限したため、希望されたすべての方にご来場いただくことはできませんでしたが、オンラインで参加された本選出場者の方々が少しでも本選の緊張感、高揚感など感じていただければ幸いです。

表彰式
本選会場の様子


会場には3チーム6人の本選出場者の方々が来てくださいました。本選が始まる前にはチーム間で会話をされたり、終始、笑顔が飛び交う楽しい雰囲気だったそうです。そのおかげだと思いますが、本選から表彰後の交流会まで和やかなムードはオンライン参加の筆者にも伝わってきました。ハイブリッド開催を決めたとき、会場でチーム間の交流もできればうれしいと思っていましたが、こちらの予想以上にチーム間の交流を自然としていただいたことが分かり、とてもうれしく思います。

審査について

コンテスト本選のゲスト審査員には株式会社RATH CEO 原田 謙一様をお招きしました。原田様は、本選出場チームの新鮮なチャレンジを、同じような事業に携わるならどのように取り組むかという視点でご覧くださいました。また、本選出場チームによる作品発表後の質疑や講評、交流会の中で、将来的な視点を含めた数々のフィードバックをしてくださいました。

RATH 原田様
株式会社RATH CEO 原田 謙一様


本選の審査はゲスト審査員の原田様に加え、当社において各技術開発や研究で活躍中の社員6名を含めた全7名で行いました。本選後、全審査員による厳正な審査により受賞作品を決定し、表彰式において全作品の表彰を行いました。最優秀賞、優秀賞、ゲスト審査員賞、特別賞の受賞作品はこの後、作品の概要とともにご紹介します。

表彰式
当社社長 中沢正和(オンラインで参加した受賞チームへの授与の様子)


受賞作品のご紹介

ここからは本選の発表内容をもとに、受賞した全6作品をご紹介します。各作品の詳しい内容については、受賞チームの方々のご了承を得て「アイデアを説明する文書」を掲載していますのでご覧ください。

なお、本レポートでは各チームの発表内容を元に筆者の理解でご紹介しています。見出しも筆者がつけたものです。ご了承ください。

最優秀賞

最優秀賞

チーム:num(ナム)
作品名:ダルマニー
和歌山大学大学院 上野 友裕さん、中村 鴻成さん、諸麦 克紀さん


numチーム
numチームの皆さん(写真提供:numチーム)

小学生のおこづかいもキャッシュレス化!?

スマホで手軽に決済できる電子マネー。キャッシュレス決済の比率は年々上昇しており、たとえば電子マネーPayPayの利用者は、2022年8月に5000万人を突破しています。

このような状況の中、小学生のおこづかいをキャッシュレスで渡す家庭も増えつつあり、今後キャッシュレスの普及が進めば、おこづかいのキャッシュレス化がさらに進み、キャッシュレスに触れる小学生が増えることが考えられます。

キャッシュレスはお金の価値が学びづらい

手軽でとても便利なキャッシュレスですが、現金と比べてお金を軽視してしまう可能性があると考えられます。大人でもつい使いすぎてしまうのに、子供たちはもっと使いすぎてしまうことが懸念されます。キャッシュレスはお金の価値が学びづらいため、子供のマネーリテラシー形成が課題であると考えました。

そこで、電子マネーに焦点を当て、お金の価値を楽しく学べる貯金システム「ダルマニー」を提案します。

「ダルマニー」で電子マネーをしきる

「ダルマニー」は、本来、貯金というアクションの必要がない電子マネーをあえて貯金へとしきり、電子マネーで貯金と引き出しを楽しく行いながら、貯金を通してお金の価値を学習することをサポートします。ターゲットは小学校低学年の子供とその保護者です。

電子マネーのおこづかいをスマート貯金箱で出し入れ

「ダルマニー」の利用の流れは以下のようになります。

  1. アプリを使って貯金の目標を決める
  2. お手伝いを頑張っておこづかいをもらう
    お手伝いのお駄賃は事前に保護者がアプリで設定。子供がお手伝いをしたら保護者はお駄賃を電子マネーで送金します。
  3. おこづかいをスマート貯金箱「ダンクさん」に貯金する
    「ダンクさん」は貯金箱をイメージしただるま型のデバイスです。貯金する金額をアプリで設定し、スマホを「ダンクさん」の前で振って貯金します。貯金をするためにスマホを振る時、チャリンチャリンというお金の音が鳴り、電子マネーでは得られにくいお金の所有感を演出します。
  4. 「ダンクさん」からお金を引き出す
    引き出す金額をアプリで設定し、「ダンクさん」をスマホの上で振ってお金を引き出します。「ダンクさん」を振ると、お金が入った貯金箱を振った時のようなジャリンジャリンという音が鳴ります。貯金額によってお金の音が変わり、お金が貯まっていく感覚を得られます。

システム構成とビジネスモデル

ダルマニーアプリはコード決済アプリとアカウントを連携。電子マネーや貯金のデータはデータベースで管理します。スマート貯金箱「ダンクさん」は顔部分に液晶パネルを付けて表情を変えたり、加速度センサーを用いて貯金箱が振られた動作に応じたお金の音を出力します。

「ダルマニー」の主な利益はスマート貯金箱「ダンクさん」の購入代金、グッズ販売、提携店の契約料です。提携店はダルマニー限定クーポンの配布により販売量の増加が期待できます。


プレゼンでは、ダルマニーアプリとスマート貯金箱ダンクさんを使って電子マネーを貯金したり引き出す様子が映像で紹介されました。お金を出し入れするときのチャリンチャリンという音があることで本当に貯金箱に貯金している感覚を覚えました。とてもかわいいダンクさんは3Dプリンタで造形されたそうです。デジタルとアナログがうまく融合した魅力的な作品でした。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「ダルマニー」 (PDF: 約 1.4MB)

ゲスト審査員賞

ゲスト審査員賞

チーム:西の国会疑似堂
作品名:DF&OF~守るか攻めるかどっちなんだい?~
大阪工業大学 林 一志さん、猪飼 人大さん、大平 都雲さん、森井 満優子さん


西の国会疑似堂チーム
西の国会疑似堂チームの皆さん(写真提供:西の国会疑似堂チーム)

スマホを利用する中高生の安全を確保するために

スマートフォンの普及により不正アクセスやパスワード流出という言葉をよく耳にするようになりました。現在、中高生の大半はスマホを所有していますが適切なパスワードを学ぶ機会はほとんどありません。また、子供の親世代は情報セキュリティを学んでおらず子供の安全を確保するのが難しいケースも多いでしょう。

攻撃者の標的になりうる中高生に、パスワードの攻撃手法や安全なパスワードを学んでもらいたい、でも座学だけでは難しい。そこで中高生が夢中になれるゲームを組み合わせてセキュリティを学ぶシステムを提案します。この提案が情報教育の補強になること間違いなしです。

ゲームを楽しみながら安全なパスワードを学ぶ

本提案は中学校や高校など教育現場で、ゲームを楽しみながら安全なパスワードを学ぶことができるシステムです。

ユーザーを守る側と攻める側に仕切り、守る側は破られないパスワードを考え、攻める側は速く少ない回数でパスワードを破るアルゴリズムを考えます。ゲームにすることで、楽しく実践的に正しいパスワードの知識を身に着けることができます。

パスワード当てゲームの遊び方

用意するものはアプリを入れたスマホと3Dプリンタで作った英字(a-z)や数字(0-9)のブロックです。

  1. 参加者は守る側、攻める側に分かれます。守る側と攻める側に、情報流出を仮定した架空の人物のプロフィールカードを配ります。
  2. 守る側はお題の条件に合わせてパスワードを考えます。お題は「小文字英字と数字(4~8文字)」など、パスワードの文字列条件と同じものです。パスワードはメモせずに覚えられるものを考えます。
  3. 攻める側は、プロフィール情報やお題に合わせて攻撃するパスワードを考え、英字や数字のブロックを並べます。並べたブロックをアプリで読み取ると、攻撃コードが自動生成されます。攻撃コードを実行し、指定された回数と時間内にパスワードを敗れたかどうかで勝敗が決まります。
  4. 対戦後はアプリ上に条件に合わせた解説が表示されます。

ノーコードでパスワード攻撃のアルゴリズムを学ぶ

本提案の特徴の一つはノーコードです。コードの代わりにブロックを並べてOCR技術を用いて読み取ります。たとえば、英字(a-z)のブロックを読み取ると、aからzまで順番に文字を入れ替えて攻撃するコードが自動生成されます。

また、攻撃にかかる時間が直感的にわかるよう、ブロックには計算量に比例した重りを入れています。どういう種類のブロックが計算量が多いのかすぐに分かります。

教育現場への展開と今後の方針

教育現場に導入するためのハードルである手間、金銭面、知識についても考慮しました。アプリはスマホに入れるだけ、通信は不要です。また、アプリと3Dデータは無料で公開します。英字や数字のブロックを作成する必要がありますが、外部の3Dプリントサービスを使えばブロック一つあたり500円程度で作成できます。セキュリティに関する解説は全てアプリで行うため、専門外の先生も使えます。

今後、本システムはオープンソース化し、自由に改変できるようにします。また、フィッシング詐欺を体験できるアプリや最新の攻撃手法の教材作成も考えています。


本選会場にブロックを持って来てくださっていたので、会場から参加されている方は実物を見ることができました。アプリの世界だけで閉じるのではなく実際に手に触れるブロックを用いる仕組みを取ることで、ユーザーの中高生がより楽しく体感しながら学ぶことができそうだ思いました。ゲスト審査員の原田様はすぐに実用化できる可能性と、日本のIT教育に対する素晴らしい打ち手であると高く評価されていました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「DF&OF~守るか攻めるかどっちなんだい?~」 (PDF: 約 1.2MB)

優秀賞

優秀賞

チーム:snoW
作品名:ユニノーツ
和歌山大学 杉崎 早希子さん、山本 朱莉さん、松浪 優斗さん、佐藤 智宏さん、飯村 祐月さん 


snoWチーム
snoWチームの皆さん(写真提供:snoWチーム)

コロナの制限があってもライブで一体感を

新型コロナウイルスの収束点が見えない現在、人々はコロナとどのように共存するのか考えています。不要不急と言われて中止されていたライブやイベントも様々な工夫を行うことで楽しむことができるようになりました。

けれども今のライブは、コロナ前と比べて盛り上がりに欠けると感じたことはありませんか?盛り上がりの重要な要素である”声出し”が制限されたことで有観客ライブで一体感を感じるのが難しくなっています。

そこで、本アイデアではコロナの制限下でもコロナ前のような一体感を、今までにない手段で楽しめるソフトウェアを提案します。

”士気る”ソフトウェア「ユニノーツ」

「ユニノーツ」はライブ会場全体で行うリズムゲームをテーマに、ライブ会場全体に一体感を持たせ、”士気を上げる=士気る”ためのブレスレット型デバイスを用いたソフトウェアです。

ライブ会場にいる観客全員が曲に合わせてブレスレット型デバイス(ユニノーツ本体)を付けた手を動かし、観客全員が同じリズムを取ると会場の演出が変化。観客の手の動きの一致度が演出の変化により目に見えることで、会場にいる観客全員が一体感を感じることができます。観客全員がリズムゲームを通して演出の変化という共通の目標を達成しようと盛り上がることができるのが特徴です。

「ユニノーツ」を使ってライブで盛り上がる

「ユニノーツ」は以下のように使います。

  1. 事前に楽曲に合わせた動きををモデルデータとして保存する
  2. アーティストや演出の指示に合わせてユニノーツ本体を付けた手を動かす
  3. 観客全員の動きの一致度に応じて会場の演出を変更する

システム構成

ユニノーツ本体には加速度センターが搭載されています。事前に本体を装着して認識させたい動きを行い、加速度データを収集します。そのデータから動きの特徴を示す指標を算出してモデルデータを作成し、データサーバで管理します。

ライブ会場で、ユニノーツ本体を装着した観客が手を動かすと、モデルデータとの類似度をスマホで計算します。動きが類似すれば類似度をスマホからサーバに送ります。それぞれの観客から送られてきたデータを元に会場の一致度を求めます。

「ユニノーツ」はライブだけでなく、スポーツ観戦や祭りなど観客全体で盛り上がりたいイベントで使うことができると考えています。


snoWチームは大学2回生だそうで、学生時代がコロナと重なっているからこそ今回のアイデアが出せたとおっしゃっていました。コロナ禍で人との距離を気にする必要があったり、集団での活動が難しい生活が続いている中で、一体感というキーワードは響きました。コロナ禍でライブに行っている審査員からはユニノーツに対する期待の声も挙がっていました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「ユニノーツ」 (PDF: 約 1.2MB)

特別賞

特別賞

チーム:DC.DC.(デコデコ)
作品名:MoguRun
香川大学 横田 一晟さん、奥野 唯織さん、新田 宗史さん


DC.DC.
DC.DC.チームの皆さん(写真提供:DC.DC.チーム)

話しかけるタイミングが分からない人へ

オフィスで仕事をしているとき、自習スペースで勉強をしているとき、上司や友達に話しかけたいけれど邪魔になってしまうのでは、と話しかけづらいことがあります。相手の状態が分かれば話しやすいのに…

話しかけられる側からすると、作業に集中しているときに話しかけられて作業が中断させられると残念な気持ちになることがあります。自分の状態を周りに知らせられればよいのに…

そんな話しかけるタイミングが分からないことを解決するため、公共スペースで自分の状態を知らせ、相手の状態を知ることができるアプリ「MoguRun」を提案します。

ARでしきりを作る「MoguRun」

「MoguRun」はAR技術で自分や周りの人から確認可能なしきりを作ります。集中したい人がしきりで自分の状態を周りに知らせることで、話しかけたい人は相手の邪魔をせずに話しかけるタイミングを知ることができます。

「MoguRun」の利用シーン

仕事中、上司の山田さんに質問をしたい佐藤さんは話しかけるタイミングが分かりません。一方、上司の山田さんは作業中に話しかけられて集中が途切れるのは不快と感じています。

そこで上司の山田さんは「MoguRun」で30分間の集中モードを設定。すると「MoguRun」が山田さんを囲む仮想のしきりを作成します。 部下の佐藤さんは、上司の山田さんに話かけるタイミングを確認するため「MoguRun」を使って山田さんの状況を確認。山田さんがあと20分間集中モードに入っていることが分かったため、20分後に声をかけることにしました。

水槽に潜っているようなイメージを演出

「MoguRun」は潜ることがコンセプト。水槽に潜るような状態を演出します。しきりの色、時間、表示するメッセージを設定できます。

プロトタイプの開発ではARアプリの開発をUnity、オブジェクトの位置を複数の端末で同期するためにPhoton Unity Networkingを使い、iOS向けのARフレームワークにARkitを使いました。

ARグラスを使えばより良いものに

プロトタイプでは、しきりを確認するために相手にスマホを向ける必要があり、向けられた側が嫌な感覚になることが分かりました。ARグラスに対応すればカメラを向けずに情報をスムーズに得ることができます。また、現在は自分で集中モードを設定しますが、JINS MEMEを使えば没入度を図ることが可能で、自動で集中モードに設定できることが分かりました。今後、これらの改良を加えれば、「MoguRun」はより良いものになると考えています。


DC.DC.チームは発表後のコメントで、集中していることを水の中に潜るように表すところが好きとおっしゃっていました。筆者も水の表現になるほど!と気に入りました。集中が切れたら息継ぎをするように出てくるそうです。上司の立場である審査員からは、気を遣わせる上司ではなく、逆にメンバーから積極的に話しかけてほしいとアピールする使い方もありそう、というコメントもありました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「MoguRun」 (PDF: 約 1.2MB)

特別賞

特別賞

チーム:mary(マリー)
作品名:カラフレンド
和歌山大学 藤川 さきさん、石橋 孝太郎さん、橋爪 汐音さん


mary
maryチームの皆さん(写真提供:maryチーム)

友達と行くお店がなかなか決まらない

友達とカフェに行こうと思ったけれどなかなかいい店が見つからない、という経験はありませんか?

たとえば既存サービスのSNSは友達がおススメしているお店の雰囲気がよく分かりますがどこにあるのか分かりません。地図アプリは場所からお店を探せますがお店の雰囲気が分かりにくいです。また、グルメサイトのレビューは誰が投稿したか分からず信用できるものか分かりません。

そこで、色で仕切られた地図で信用できる友達がおすすめするスポットを探せるアプリ「カラフレンド」を提案します。

信用できる友達のおすすめスポットを「カラフレンド」で色(しき)る

「カラフレンド」は自分の行った場所と友達が訪れた場所を地図からすぐに探せるように表示し、おでかけの場所選びをサポートするおすすめスポット共有アプリです。信用できる友達のおすすめスポットから行きたい場所を選べます。また、自分が行ったお気に入りの場所にピンを立てて記録することもできます。

地図上のピンで場所選びを簡単に

「カラフレンド」は地図表示がメイン。自分の行った場所や友達のおすすめスポットが地図上にピンで表示されます。ピンは自分と友達で形が異なり、行った場所の写真をピンの画像に表示するので、地図を見ればおすすめスポットの雰囲気が分かります。

使い方は用途によっていろいろ。自分が行ったところにピンを立てると周りの地図に色が付き、まだ行ったことのない場所が一目で分かります。ピンを立ててどんどん地図に色が付いていくことで新たな土地を開拓していく達成感が味わえます。

また、たとえばカフェに詳しい友達がおすすめするお店を知りたいときは、ハッシュタグ検索と人物検索を使って検索することができます。ピンをタップすると写真やアクセスなど、信頼できる友達が投稿した情報を安心して見ることができます。

さらに、お店をゆっくり決める時間がない時は、「カラフレンド」のおすすめ機能を使って、指定した地図の範囲からおすすめスポットを教えてもらうことができます。

「カラフレンド」を使えば日常のおでかけがより簡単に、確実になり、おでかけのハードルが下がります。


カラフレンドは実際のご本人たちの困りごとをテーマに作られたそうです。地図上でピンを見た時の分かりやすさなど、本レポートでは書ききれなかった細やかな機能もプレゼンで紹介されていました。質疑や交流会の場でのチームの方々の話を伺って、このサービスを必要だと思う人がいる!という強い思いが伝わってきました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「カラフレンド」 (PDF: 約 1.5MB)

特別賞

特別賞

チーム:フィジる不動王
作品名:MR Facility
大阪工業大学 小林 勇貴さん、岡北 英樹さん
大阪工業大学大学院 上田 晃義さん


フィジる不動王
フィジる不動王チームの皆さん(写真提供:フィジる不動王チーム)

イベント開催者の悩みを解決

展示会やオープンキャンパス、ライブイベントの準備には非常にコストがかかります。看板やテープなど物品の調達を始め、会場の設営はイベント実施の直前にしか準備できないことが多く、短時間で大人数の人員が必要です。また、イベント中に誘導経路を変更したくても、容易に変更できない不自由さがあります。

このような問題に着目し、空間を仮想的に仕切ることで建物を掌握し、イベント開催者が来場者を仕切るための「MR Facility」を提案します。

「MR Facility」の利用イメージ

「MR Facility」を用いたイベントに参加する人は、スマートフォンやARグラスをかけて会場の案内を見ることができます。たとえば、左右に分かれた階段がある会場では、片側が上り、もう片側が下りである案内が表示され、誘導にしたがって進むことができます。

また、状況によって表示する案内を変更することもできます。たとえば、混雑状況によって誘導経路を変えたい場合は、監視カメラの情報から混雑状況を取得して、先ほどの階段の会場の両側の階段を上りにするよう表示内容を変更することができます。

「MR Facility」を構成するプログラムの概要

「MR Facility」を使用したときのプログラムのおおまかな流れを説明します。

まず、準備段階です。イベント管理者は全方位カメラなどで、案内を表示したい会場のパノラマの映像を撮影します。その映像をもとにAR空間作成プログラムでAR空間を作成します。
次にARオブジェクト設置プログラムで、作成したAR空間にARオブジェクトを設置します。

イベント開催時、「MR Facility」を参加者が使うと、作成したAR空間がシリアライズプログラムで圧縮され参加者側へ送信されます。

参加者側のプログラムでは、管理者側から送信されたプログラムを解凍し、映像照合プログラムに送ります。
ここでは参加者が利用するスマートフォンやARグラスからのカメラ映像と照合し、表示するARオブジェクトを決定します。
最後に映像出力プログラムがARオブジェクトを参加者側のスマートフォンやARグラスに出力し、参加者が案内を見ることができます。

外部システムの情報を得て出力することも可能で、災害情報を得て避難経路を出力するような使い方も想定しています。

アミューズメントへの発展

ARグラスが普及すれば、運動会での白線引きや、スポーツアミューズメント施設でのバスケットボールやテニスコートの白線やネットをARで作成することで、物理的な白線やネットがなくても楽しめる環境の提供も可能になります。


ARが再注目されることが予想される今、必要とされる場面は多く、有用なプロダクトだと審査員からもコメントがありました。このアイデアがあれば、一時的に来場者が増える時のためにテープや案内板をあらかじめ置いておく必要もなくなり、参加者にとっても優しい誘導案内になるのでは、と思いました。

アイデアを説明する文書

アイデアの詳細は応募の際に提出いただいた以下の文書をご覧ください。
アイデアを説明する文書「MR Facility」 (PDF: 約 1.5MB)

おわりに

本レポートでは2022年度に開催したソフトウェアアイデアコンテスト OGIS-RI Software Challenge Award の本選の模様と受賞作品をご紹介しました。本レポート内で紹介しきれなかったアイデアの詳細は各作品紹介の最後に「アイデアを説明する文書」のリンクを掲載しておりますのでぜひご覧ください。

最後に、コンテストにご応募くださったすべての皆さんに改めてお礼申し上げます。本コンテストが今後の皆さんのご活躍の一助になれば幸いです。

オンライン集合写真
オンラインで参加したチームの皆さんと審査員


会場集合写真
会場からの参加チームとの記念写真
前列左よりmaryチーム、西の国会疑似堂チーム、DC.DCチームの皆さん、
ゲスト審査員株式会社RATH CEO原田様(後列中央右)、当社社長 中沢 正和(後列中央左)